表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【志】  作者: 七薫
3/6

 俺は、小石川の伝通院(でんつういん)で浪士が集まる様子を観察していた。

ある程度、人が集まったところで班編成が行われるらしい。

そこそこ名のある連中もいるみたいで、そこには団体で参加している奴らもいた。


「源さんっ、なんかすげーよな!ここに集まってる奴らみんな、強えぇのかな」


身長やや低めの青年、そして人の良さそうな人だ。

「こらこら藤堂君、あんまり騒いでは若先生に迷惑がかかるでしょう」

「はっはっは、藤堂君はいつも元気だなぁ」


正直、呑気な会話に拍子抜けしてしまうが……。

呆れて様子を伺っていた時、清河ではなく、その隣にいた男が声を張り上げた。


『みな、よく集まった!此度、貴殿等が集められたのはほかでもない、翌年、将軍・徳川家茂(いえもち)公上洛に際し、将軍様の護衛として、我ら共に京へ登り、将軍様のお命狙う、尊皇(そんのう)派の過激攘夷志士(かげきじょういしし)を一層するためである!』


もっともなことをいって、学のない俺たちを信じ込ませる。

何を企んでるかは知らないが、清河の野郎、顔がほくそ笑んでやがる。


『それに際し、隊の統制を図るために組織編成を行った。後ろの紙に隊の振り分けと、それぞれの役割が書いてある故、各自確認するように。再度、出発日時を通達する、以上だ』



そういってさっさと引っ込んでいった男。

解散の声に、みな、意気揚々と張り紙を見に行ったり、また情勢に不満を抱くものは持論を語り合ったりと、それぞれの時間を過ごしていた。


「さて、俺も班見てくるかね……」



人だかりの方へ行くと、身長の低い俺には、紙が見えなかった。


「っち、」

思わず出た舌打ちを聞いた体格のいい男が、話しかけてきた。

「おっあんた、一人で参加すんのかい?名前、確認してやるよ」


「ああ頼む。拳成(けんせい)と申す」

「拳成だな、ちょっと待ってろよ……あ、あああったぜ、あんた俺らと同じ、3番隊の1班だ。よろしくな!」


男の名前は、永倉新八…なんでも、多摩の田舎道場で剣客をしているらしい。

その道場の面子もごっそり参加するとか。


「ああ、よろしく頼む、永倉」


気のいい男と知り合って、ちょっと気分もいい。

この男となら仲良くなれそうだと思った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ