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迷い狐と…

おかあさん、どこいったの?


おかあさん、おなかすいたよ。




…どうして、ボクだけおいていかれたの?




迷子の迷子の小さな黒い狐。


母は藁色の狐。

父は濃い藁色の狐。


兄弟も藁色の狐だった。

最後に生まれた、黒い狐の子は親にも兄弟にも疎まれて、捨て置いて行ってしまった。



ひとり彷徨い、辿り着いた知らない森。


生きた餌の取り方も知らず、小さい木の実を口にするだけで、子狐の小さな命は燃え尽きそうになっていた。


よろよろ歩いて、大きな古木の下でとうとう歩けなくなった。



ああ、ここでおわるのか。





この古木には、森の中で最長老の木霊がいた。

永い永い間、古木のそばで森を見守ってきたけれど、それに飽いていた。


木霊はひとりでは動けない。

木から離れては生きていけない。



そこに、命短い子狐が現れた。



木霊は思った。


この子に私のチカラを与えよう。

この子はまだ生きられるし、私は世界を見る事が出来る。





明くる日、子狐が目を覚ますと途切れそうな命の炎が熱く強く燃えているのに気がついた。

何故か、自分だけではないチカラを感じた。


後ろを振り返ると、大きな古木が一晩の内に枯れ果てていた。

木霊が子狐に自分のチカラを与えた結果だった。






「俺は生まれ変わったのだな」


黒い狐は木霊のおかげで成獣になり、普通の狐では持ち得ないチカラを得た。



小さな子狐は、ヒトに変化して枯れた古木にひとつ礼をしてその場から姿を消した。




木霊からチカラを得た黒狐。

彼の行く末は…


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