アカい月
寝苦しい8月、深夜2時
「(あつ...)」
3時間近くも寝付けずにベッドの上でごろごろしていた。
目を閉じていればいつの間にか寝ているだろうと思っていたのだが...
打開策を練っているうちに完全に目が覚めてしまった。
あと4時間は寝たい。
明日は大事な大事な高校受験だからだ。
だから、勉強を早めに切り上げて床についたのだが、今のこの状況。
正直かなり辛い。
これまで寝たくないのに睡魔に負けて...なんてことは多々あった。
が、今日のような寝たくても寝れない日なんて...
部活の大会の前日だってぐっすりとはいかなかったけど寝れたのに...
リビングにおりてテレビをつける。
『ブゥンーーのニュースです』
家のテレビが最近不調なので立ち上がり?っていうのかな
それが遅い。
「(ブゥンって(笑)」
ニュースを見ながらあの日のことを思い出そうとしていた。
あのとき何か...した?
なんだっけ、何したんだっけ
「(あのときどうしてたんだっけ...)」
『連続通り魔が日本各地でー...深夜にー...さい。』
頭がフル回転しているのか、
徐々に音が耳に入らなくなる
『..もうい....い.。走....きを...。』
なんだっけ...
本を読んだ?
いや、これは風邪で寝付けなかったときだ。
『.....アカ..月....ちゅ...せい...』
勉強をした?
いや、それは今までに一度もないはずだ。
『...左腕....刃渡り......腹部.....され...』
歌った?
いや、これは単なるストレス発散だ。
『...........には...の疑......』
絵を描いた?
いや、クオリティの低すぎる自分の絵なんて...
あ...
「走った...のか」
そうだ、そうだった
家の周りを軽めに走って
シャワーをあびて
ベッドに潜ると不思議とすやすやと眠れたんだ。
「(走るかぁ...)」
テレビの左端に目をやるといつの間にか30分もすぎていた。
寝れないのはだめだからな...
『深夜の外出には十分お気をつけて...』
「(はーいはい、わぁってますって(笑)」
ギィッ
私はテレビが言っていたことをよく理解しないまま
テレビを消し静かに部屋を出て親が寝ていることを確認すると
私はタオルとmpをもって玄関を飛び出した。。
静まりかえる町
闇夜に浮かぶ赤い月
何一つ音がない、光も街灯だけ
「久しぶりだなぁ」
これをしたのは去年ぶり...だよな
まぁ、毎回あったらそれはそれで困るけど(苦笑
「ん~...」
私は伸びをひとつして走り出した。
目的地はない
ただ、ただ、走るだけ。
音楽にあわせて走る。
こんな深夜に通行人はいない
今、ここを走っているのを知っているのは、
自分と、この赤い月だけ
ーー
時間もおしているので15分というすごい短い時間だったけど
徐々にペースを上げていったためそれなりに汗をかいている。
途中誰と会うこともなく赤い月に見守られながら走った。
あとは、帰ってシャワー浴びて寝るだけっ!!
あと少しの距離を呼吸を整えるために歩く。
「(...あ、いい感じに寝れそう♪...)ふぁぁ...」
あくびをひとつしたその瞬間
ドスッ
「...ぁえ?」
『ブゥン...今日の午前2時47分ごろ市内の中学三年生の
==さんがジョギング中に連続通り魔に襲われ...
==さんは刃渡り約20cmだと思われる刃物で
腹部と背中が滅多刺しに...
通りがかった通行人により通報を受け、~~病院に搬送されました。
さきほど~~病院で==さんの死亡が確認され...
この連続通り魔による被害者は37人、
死亡者は==さんを含め8人と...異例の事態になりました。
警視庁のほうでは捜査が強化され...
この赤い月...ブツン』
深夜の外出には十分お気をつけて
8月なのに高校入試ってどゆことすかw
っていうのは突っ込まないで下さい(▽`;)






