想像1と7と3
「んぁぁあ。二度寝してぇ。」
時間は000正直、
遅刻にギリギリ滑りこみアウトゾーンである。
もう諦めてしまおうかとも、
考え無くはない。
しかしだ・・・。
ここで諦めたら俺が廃る。
そんな気がしてならないんだぇ。
きりっと身支度をして、
世界へ羽ばたく...。
定期を置き去りにして。
SA株式本社と、なんだか在り来りな
株式会社がAの目的地である。
そこは、まるで寂れたアパートのような風体で
会社と言われても、信じがたい建造物だ。
そして、何時ものようにギリギリではなく
釈明の余地が無いほどに、
Aは遅刻して、その薄いドアを開けた・・・。
初老というより、定年間近ぐらいの
おっさんがのっそりとしかし、鋭い
パンチを繰り出す!
(っち・・・。こいつは避けようがねぇ)
Aにパンチが炸裂する?
世界が白くなる。
「いやぁね、定期を忘れたのはほんとっすよ。」
Aは必死に弁解する。
「A君ねぇ、とうとう遅刻の原因ネタが尽きたのかい?」
ひどい言われようだが、
正直仕方がない。
Aは時間にルーズだったりする。
この、大それた専務室に声が反響する。
Aはビクビクしている。
それは、怒られるからだとか、
首をかられるとか、
子供みたいな恐怖では無い。
この、若ハゲた皿にヅラを載せた
専務にだ!そして、
そのヅラが空中浮遊しているのである。
「そんな事より、専務!ヅラが...」
バシッと空気の音がし、一瞬で世界が
真っ暗になった。