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第一話 櫻が霞む公園で――

春の物語です。


歌うことが好きな少女と、

ピアノを奏でる少女。


ふたりの出会いは、

とてもやさしくて――

少しだけ、せつないお話です。


ゆっくり読んでいただけたら嬉しいです。


 夢―――?


 (かす)むほど桜に埋もれた公園に、死んだはずの彼女が立っていた。


 精一杯に背伸びをして、遠い遠い空に手を伸ばしている。


 その手は、白い花に届きそうで届かなかった―――。







天ノ川(あまのがわ)……?」


 声をかけられ、ハッとした。

 振り向くと、深山(みやま)くんが立っていた。


「み、深山くん?」


「お――おう。こんなところで会うとか、奇遇だな」


 気まずく笑い合った、その時だった。

 彼の視線が、ふっと凍り付いた。



「……吉野(よしの)……一陽(かずひ)


 その名前に胸が、どくん、と鳴る。

 振り返る―――私。


(よう)ちゃん………ッ!」


 ―――いた。

 確かに、そこに。


 次の瞬間、膝の力が抜けて、その場にへたり込んだ。



「―――おい、天ノ川!大丈夫かよ!?」



 声が遠い。

 喉が震えて、うまく息が出来ない。


 それでも、私―――っ!


 「うう……陽ちゃん、陽ちゃん~ぅう!」


 それしか、言えなかった。


 けれど。


 彼女の姿は、春の陽炎のように揺れて。


 私だけを一人残して。



 涙の海の中に……消え……ちゃった。





    ◇    ◇    ◇




「突然泣くから、ビックリしたよ」


 ベンチで、グスリと鼻をすする私の隣には、苦笑いの深山くん。


「………少し、落ち着いた?」


 頷いた私に、彼は少し戸惑ってから言った。


「ふぅ~……。お前と吉野、仲良かったもんな。まぁ、仕方がないか。

 ………なあ俺さ、お前にずっと伝えたいと思っていたことがあるんだ。でもその前に、お前と吉野のこと、聞いてもいい?お前らのこと、ちゃんと知りたいんだ」



「………うん」


 彼の真っ直ぐな眼差しに……ゆっくりとほどけていく。


 胸の奥の、春の記憶―――。




第一話を読んでいただき、ありがとうございます。


ここから、さくらと一陽の物語が少しずつ動き出します。

音と想いが重なっていく過程を、楽しんでいただけたら嬉しいです。


もしよければ、感想などもお待ちしています。

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