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眠れば眠るほど強くなる、肥満少年の英雄譚  作者: コヨコヨ


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女の子の成長

 多くの者が自己紹介を終えた後、寮に帰る者、部活動見学に行く者、そのまま教室で会話する者という具合に別れた。

 オリオンは特にやることもないので寮に戻ろうと思っていたが、一人の少女が彼のもとに挨拶に来る。


「お久しぶりです、オリオン様」

「おお、メリア、ドンロンスクールの卒業式以来だな。むむむ……、なんだ、なんだ、もしかするとまた、大きくなったんじゃないかー」


 オリオンは茶色の癖毛長髪が特徴的なアメリア・ローズ・バークレイズの周りを子豚のようにクルクルと見回った。彼女の胸に視線が向く。

 実に発育がいい。興味が引かれるのも無理はないが、実に下品な眼差だ。


「もう、オリオン様、いつもと変わりませんね」


 アメリアは膨らみが大きい自分の胸を抱きかかえるように隠す。オリオンの行動に文句はいわない。

 彼がこういう人だというのはすでに知っていた。

 決して貶しているわけでも虐めてくるわけでもないと理解しているからこそ、平然としていられる。


「そりゃあ、おっきなおっぱいは男の夢だからな。にしても、メリアが八組とは、やはりドラグフィード学園は優秀な者が多いんだな」

「まあ、私は筆記だけしか点が取れないので……」

「帝国随一の大きさを誇るバークレイズ商会の娘に武術はいらないだろう。頭が良くて胸さえ大きければいいじゃないか」

「やっぱり、オリオン様に褒められても大して嬉しくありませんね」


 オリオンがドンロンハイスクールに通っていたころ、アメリアも同じクラスメイトだった。

 彼女はルークス帝国の流通を牛耳るバークレイズ商会の娘。

 産業革命時代から国を支え、海に囲まれた島国のルークス王国を帝国にまでのし上げた一族。

 その権力は大貴族、はたまた公爵と同等と言っても過言ではない。

 そんな大金持ちの娘であるにもかかわらず、彼女からは田舎者の雰囲気が漂う。だが、それがいい。


「アルティミスと交流は続いているのか?」

「はい、卒業式後もアルティとよくお茶会していました。オリオン様は呼ばないのと聞いたんですけれど……」


『なにを話したらいいかわからないし、お菓子を美味しそうにパクパク食べている姿を見たら変な顔しちゃいそうだし、おっぱいが大きいメリアがいたらそっちに視線が行くのはわかっているもの。というか、なんで、同い年なのに、メリアばっかりおっぱいが大きくなるのっ』とアルティミスに散々言われたのをアメリアは思い出していた。

 この男のどこがそんなにいいのか理解できないが、不思議と大嫌いになることはない。

 男の魅力はひとかけらもない。にも拘らず、姫の心を鷲掴みにしている。それが気になって仕方ない。

 探求心に溢れた彼女は痴漢される覚悟で、オリオンに近づいた。


「なあ、アメリア嬢の胸ってやっぱでかくね……」

「そうだよな。他のどの女よりもデカいよな……」

「まあ、顔はそこまでよくねえけど」

「あんな、田舎っぽい女、誰にも貰われるわけありませんわ」

「胸の大きさで男にチヤホヤされて嬉しいのかしら」

「ま、顔を見たら一瞬でなえちゃうでしょうけどね」


 教室にいた陰湿な男や女たちが集まり、陰口をこそこそと叩く。

 アメリアにも聞こえる大きさの声で言い合っているのを見るに、貴族ではない金持ちのバークレイズ家の彼女が気に食わないのだろう。


 アメリアは「あはは……」と苦笑いを浮かべ、言い返さずに身を引く。わざわざ火種に飛び込む愚か者ではない。

 ただ、視界がいつもより滲んでいる気はした。


「まったく、お前達、女を見る目がない者は損するぞ。見よ、メリアの立ち姿を。実に姿勢が伸びていて綺麗ではないか。髪も毛先まで艶やかで美しい。癖毛だが手入れを怠っていない証拠だ。女は顔ではないのだよ。足先から頭のてっぺんまでしっかりと見てやらなければもったいないっ」


 オリオンはぼいんぼいんと跳ねるようにアメリアに近づき、じっと見つめる。爪の艶、枝毛がない髪、皴が伸ばされた制服、などなど、細部にこだわっている彼女の努力を見抜いた。


「はわわ……、はわわわ……」


 アメリアはスカートの中身を覗かれているのかと思うほど、頬と耳がじんわりと赤くなる。

 少しは綺麗になろうとこなした努力が認められたような気分だった。


「これだけ胸が大きいなら、尻もさぞかしブリブリなんだろうなぁ~」


 オリオンは彼女のふっくらとした臀部に視線を向けた。

 姿勢よく立っているため、尻の大きさはまだ絶妙にわからない。

 背後に立たれれば脚が出る馬のように、女の背後に立つのは危険だ。

 アメリアも身の危険から反射的に脚を曲げる。その際、オリオンの顎に強烈な蹴りが直撃した。

「ぶひゃぁっ!」と声を上げながら背後に転がる姿は、実に滑稽だった。


「お、オリオン様っ」


 アメリアはすぐさまオリオンのもとに駆けつけ、上半身を抱き起こす。

 その瞬間を見計らったオリオンは大きな胸にごく自然に顔を当て、にちゃりと口もとをゆがませるのだった。


(ふむふむ、これが発育真っただ中のおっぱいの感触かぁ。ヴィミとまた違った温もり。悪くないなぁ~。にしても、メリアのパンツ、純白だったなぁ~)


 顎が熱を持ったように痛む。アメリアが泣いて謝ってくる中、胸の柔らかさと真っ白なパンツの姿がオリオンの脳裏にクルクルと回った。


 ☆☆☆☆


「もう、ほんと、懲りない方ですね……」


 ヴィミは寮の部屋に戻って来たオリオンの姿を見て叫びかけた。顎が腫れ、綺麗だった制服が埃塗れになっていたのだ。

 決して忠誠心が高い訳ではない。だが、奴隷の自分を少なからず大切にしてくれる相手だ。それ故、誰かが彼を虐めたのかと思うと腹が立ちそうになった。

 女の尻を凝視していたら不意打ちを食らったと聞いた瞬間に、いら立っていた自分がおろかだったと気づく。


「いやぁ、女の成長は早いものだなと思ったんだ。胸がこんもり出ていたから、尻もぷりぷりブリブリになっているだろうなと……」


 オリオンは椅子に座り、ヴィミから治療を受けた。

 帰って来て彼女に指摘されるまで自分が怪我している気づけなかった。アメリアの胸の感触にかまけていた自分が悪いと軽く反省中。

 治療が終わると制服を脱ぎ捨て、パンツと靴下姿でベッドに寝転がる。

 脱ぎ捨てられた制服はヴィミが広い揚げ、靴下も彼の足から引っ張り、洗濯籠に丁寧に入れる。

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