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カタルシス  作者: 翠玉
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記録1 吐き気

第一話、よろしくお願いしぁーす!!

亡くなった人は天国か地獄に行く。

真っ直ぐ生きた者は天国へ、道を間違えたものは地獄へ。

だが例外として天国にも地獄にも行けず、この世に度止まってしまう者がいる。

それを人々は〝恨者〟と呼ぶ。

それらを浄化し、冥界へと導くのが恨者浄化機関。

略してPPIと呼ばれるビルのような建物だ。

そのビルの裏で恨者がいると事務に連絡が入った。

そこから真白にも連絡が入った。


「真白さん、ランクはC、呪臓(じゅぞう)は丸型です。頼みます。」

「了解致しました」


ビルから外に出て、クナイのような形の清器(せいき)を持って裏まで走る。


(急がなきゃ…周りの人が殺される…!)


裏まで行くと、呪臓を鞭のように変形させて人を殺害している恨者がいた。女性と男性がいたが、

女性は血が溢れ出し、倒れていた。

男性は唖然としている。


「うわぁぁぁぁ!小春!小春…!」


女性を抱きしめ、女性の名を叫ぶ男性の声に真白は心が痛くなった。


(あと数秒早ければ…!)


真白は自分の無力さに嫌気がさしたが、男性だけでも助けなければと二人の前に立った。


「遅くなってすみません。

貴方だけでも生きてください。下がっていて」


真白は、女性を抱える男性に指示を出し、

清器を持ち、構える。恨者は目の色こそ青いが

普通の男性と何ら変わらない見た目をしていた。

側から見れば生きている人間だ。

死人と思うものはいないだろう。


(やっぱり生きている人間と、目の色と呪臓以外代わりのない見た目をしている…)


真白が持っているクナイ型の清器の中の一本を、

恨者の呪臓に投げる。すると清器が刺さった呪臓の一部分が剥がれとれた。


(この調子で剥がしていけば…)


恨者は時々攻撃してくるが、かわして清器を投げる。


「ギャャャァァァ!!」


剥がれていく感覚が痛いのか、叫び始める。

その隙を狙って真白が清器を構え近づく。


「成仏してください」

「あ、ぁぁ…やさ、しぃ…」


一言残し、呪臓を全て取り出す。

呪臓はこの世の恨みや未練などが可視化された恨者の人間でいう心臓に変わるものなため、全て体から剥がすことで成仏することができる。

真白が呪臓を全て取り出したことで恨者は倒れ、

消えていった。

いや、目に見えなくなったと言ったほうが、正しいのだろうか。

消え去るのを見届けた後、真白は男性に近づく。


「貴方にお怪我はありませんか?」

「はい…でも彼女が…」


もうその女性は亡くなっているだろうと真白は思う。

そして男性と女性の左手薬指に指輪がついているのに気がついた。

恨者は幸せが絶頂の人間を狙いどん底に落とすのが好きなため、結婚前や子供が腹にいる時を狙うなどタチの悪いことをする。このようなことはよくあるらしい。


「申し訳ございませんでした。私の力不足で彼女さんを助けることができませんでした」


真白は頭を下げる。だが男性は寂しそうだが笑っていた。


「貴方のせいではありません。僕を助けていただいたこと感謝しています」

「もうすぐ救護隊が来ます。そこでできる限りの手当てなどをしてもらってくださ…っ!」


突然、気持ち悪さが込み上げて来て、真白は思わず口を手で押さえた。


(ああ、またか)

「あの、大丈夫ですか?どこかお怪我でも…」


男性が心配そうに覗き込む。


「だ、大丈夫です。私は大丈夫ですから…救護隊が来ますので私はこれで」


男性に頭を下げ、小走りでビルに戻る。

途中で救護隊にすれ違ったが、挨拶だけし、

話す余裕などなく、トイレへ駆け込んだ。


「ゔぇ…げほっごほ…」


吐き気が波を押し寄せるようにくる。

真白はしゃがみ込み、便座に近づく。


(今日は大丈夫だと思ったのに…!)


真白が一人で吐き気と戦っていると、外から真白を呼ぶ男性の声が聞こえた。


「染稀ー、大丈夫かー?」

「…は、い。大丈夫です。結晶さん」


ぐったりと疲れ切りふらふらとおぼつかない足で歩いている様子の真白を「仕事、お疲れ様」と結晶が支える。


「何だろうな、その発作みたいなの」

「分からないです…ただ最近恨者を浄化する時、人を殺めているように感じて、それから恨者を浄化させるたびに吐き気が…ゔっ」


また気持ち悪さが来たのか真白が手で口を押さえる。結晶に頭を下げ、急いでトイレまで走った。


(何でなんでなんで!)


この状態に真白は日々頭を悩ませていた。




ーー真白は会社にある寮の自分の部屋に戻ると、ベットに横たわる。今日はもう仕事がないらしい。

吐き気が来ないで済むと安心していたところに

一本の電話がかかった。結晶からだ。

通話ボタンを押さなければと辛い体を起こし、

震える手で電話に出た。


「染稀、体調が優れないところ悪いが六班に案件が入った。五時から会議する。第二会議室だ。行けるか?」

「はい、すぐ行きます」


結晶が無理はするなと言い残し、電話が終わる。

真白は、今は無理をしなければならない時なのだと心の中で返事をし、第二会議室へと走った。

プロローグの後書きにあった通り、キャラクターのプロフィールを紹介したいと思います!

第一回は真白染稀さんです!


名前:真白染稀 マシロソマレ

身長と体重:159cm.48.7Kg

誕生日:不明

21歳 三級浄化官  クナイ型清器を使用している

六班所属


ブックマーク、下の評価を5つ星、よろしくお願いします!次回、《記録2 会議》お楽しみに!

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