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玄関ミサイル

作者: みくた

 我が家の玄関は二枚の引き戸で構成されており、真ん中と片側の二箇所に鍵がある。

 そして、いつの頃からか妻と一緒に家を出る際は・・・

「三、二、一!」

 二人でタイミングを合わせ同時に施錠をするちょっとした遊びをしている。

 その光景を目撃した友人からは、弾道ミサイルでも発射するのか?という素直な感想を頂いた。


 そして、今日も・・・

「三、二、一!」

 掛け声に合わせ二人同時に鍵を回す。


 数分後、スマホからけたたましく鳴り響くJアラート。

 確認すると某国がミサイルを発射したようだ。

 その後も情報を追っているとミサイルは海に落下したらしい。

 まあ、いつも通りのことだと、特にそれ以上の情報を追うことはせず、その日は終わった。


 そして、またある日。

「三、二、一!」

 二人同時に鍵を回し、自宅を出る。そして、家を少し離れたところで鳴り出すJアラート。

 スマホには某国によるミサイル発射の表示。

「前来たときもこんな感じのタイミングじゃなかったっけ?」

 軽いデジャブを覚えつつ、ミサイルが海に落ちた事を確認した。


 さらに別の日。

「三、二、一!」

 この日も同時に鍵を回す。数分後にJアラート。

「またか・・・」

 二度あることは三度あるとよく言うが、流石にこれは気持ちが悪い。

 あまりにバカバカしいが、うちの玄関がミサイル基地と繋がっているのではないかと少し考えてしまった。

 この謎習慣は今日限りでやめるとするか・・・


 しかし、その習慣は癖になってしまっていたらしく、三度目のミサイル発射からものの三日で・・・

「三、二、一!・・・あ!」

 同時に施錠をしたタイミングでやめたはずの習慣をやってしまったことに気づく。

「どうしたの?」

 妻に怪訝な顔をされたので、理由を話すが偶然の一言で片付けられてしまった。

 そりゃまあ、そうなのだが・・・

 そして、喉に魚の骨が引っかかったような気分で数分を過ごすも、何も起こらないまま五分が過ぎようとしていた。

 この時、私は内心ホッとし、やっぱり偶然だったのかとバカバカしくなっていた。

 しかし、そんな空気を引き裂くようにスマホから警報が鳴り響く。

「はわ・・・っ!?」

 変な叫び声を上げつつ慌ててスマホを取り出す。

 確認すると今回はミサイルではなく、海外での地震の影響で極小規模な津波が接近しているというものだった。


 うちの玄関は天変地異のスイッチにでもなっているのか?


 我が家が建っているであろう方向を見つめながら、私はそう思うのであった。

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