弱いものイジメ
「では、タイマンを始めようか。黒豹リーダー大森隆志前へ。そして、不死鳥リーダー代理、冴島大輝前へ。このタイマンは、清水興行若頭である桂川が立会人を努めさせてもらう。」
俺が前へ進むとニヤニヤしたチンピラが進み出てきた。明らかに弱そうだ。それもこの勝負では武器は使用禁止らしい。だとするとすぐに終わるのではないだろうか。
「こんなガキが相手かよ。不死鳥は、解散する気なのか?」
「雑魚のくせによく吠えるな。歳ばっか喰った腰抜けのくせして、よくもまぁそんなに吠えられるもんだ。」
「あ!?」
「ごめんね。睨んでるようだけど、子犬が怯えてるようにしか見えないんだよね。」
「このガキ殺してやる。」
チンピラは、バカ正直に突っ込んできた。俺は、右に躱し、左足を思いっきり奴の顔にぶちこみそのまま蹴り抜いた。身長は対して変わらず、相手は重心を右に置いている。その状況で蹴りぬくと相手は、態勢を崩して地面に倒れ込む。
俺は、倒れた奴の顔面をサッカーボールキックで蹴り飛ばし、顔を抑えた奴の腹に蹴りを決める。
「ぐふぉっ…」
中々効いたようだ。血は吐いていないが、相当内臓にダメージがいったはずだ。あとは時間の問題だな。
「どうすんの?まだ1分も経ってないけど降参する?」
「だ…だれが!」
「良かった!元気そうで。まだイジメ甲斐がありそうだね。」
俺は先程の一連の流れを再度繰り返した後、倒れ込んだ状態から、無理やり引き起こし、奴の肩を無理やり外し、そのまま一本背負いで地面に叩きつけた。
「それで、どうする?まだやるの?」
「…俺の負けです。もう許してください…」
あぁ、いい歳こいて泣いちゃったよ。殺すとか威勢の良いこと言ってたのに。俺は、桂川さんのほうを向いた。
おそらく、彼も怖かったんじゃないかな。満面の笑みで俺が振り返ったから。桂川さんは顔を引きつらせてたままで
「大森の敗北宣言により、勝者不死鳥リーダー代理、冴島大輝!」
勝っちゃった。あぁ、弱いものイジメなんてつまんない