どうして俺が…
咲子のお父さんが来た次の日…
まぁ、日曜日なんだが、俺は特にやることもなかったから、部屋でゴロゴロしていた。映画見たり、小説読んだり、ゲームしたり。家で飼ってる犬と遊んだり。
1日を無駄に潰していたら、家の前で大きなエンジン音が聞こえた。明らかにスポーツカーのような音。最初は気にしていなかったが、明らかに俺の家の前で音が聞こえ続けている。
仕方なく、リビングの窓から外を伺うと、昨日俺に話しかけてきた青年が立っていた。それも俺の方にしっかり目を合わせてきている。何か伝えたいのか?
俺は、パジャマから動きやすい普段着に着替えると、外に出た。そこには、他の連中はおらず、その男だけだった。そもそも、こいつはどうやって俺の家を特定したのか?
「冴島大輝。今日、日本平にて他のチームの代表とタイマンする予定がある。暇なら来ねぇか?」
タイマン…か。どうしようかな…。まぁ、父さんに言えば、行くこと自体に問題はない。警察に見つかっても、
父さんに代われば、問題ない。
「まぁ、別にいいけど。」
「それは良い。じゃあ、乗れよ。お前に話したいこともあるしな。」
「わかった。なら、ちょっとまっててくれ。そんなとこに行くなら、少し着替えてくる。こんな服じゃいけねぇ。」
俺は、喧嘩のときに着ている黒コーデに身を包んだ。そして、
父さんに電話した。タイマンの話をしたら、凄い興奮して楽しんでこいって。馬鹿なのだろうかこのオヤジは。
「待たせたな。行こうか。」
「それで?俺に話ってのは何なんだ?」
「俺等のチームに協力してほしいって話覚えてるか?」
「ん?あぁ…。この前言ってたやつか。覚えてるが?」
「今日のタイマン…お前に変わってほしいんだ。」
「…は?」
「いきなりこんなこと言ってすまん。出ました形になっちまったな。」
「まぁ、そんな気はしてたが、そもそも俺はおたくらのチームのこと何も知らねぇ。協力するにせよまずはそこから教えてもらえねぇとなにもできねぇよ。」
「それもそうだな。俺は、前にもいったが、成川悟という。不死鳥"フェニックス"のリーダーをしている。拠点は、清水。メンバーは50人ほど。簡単に言うなら暴走族に近い。とはいえ、バイクというより車に乗ってる連中のほうが大半だ。」
「ふ〜ん。で?今回の相手は?」
「焼津、藤枝を拠点としている黒豹だ。事の発端は、奴らのメンバーがうちの連中にレースを申し込んだことで始まった。」
「INITIAL Dみたいだな。」
「よく知ってんな…。古いアニメなのに。まぁ、そのとおりだけど。それでそれに負けたことの腹いせでうちの連中にケガさせやがった。その後何度後衝突し、抗争を終わらせるために、リーダー同士のタイマンを張ることになった。負けたほうがチームを解散させることを条件にな。」
「経緯はわかったが、何で俺がそれに参加しなきゃなんねぇの?」
「この前の喧嘩を見て、俺より強いのは明らかだった。それにお前は喧嘩に飢えている気がした。強いやつと喧嘩がしたい。そんな風に見えたんでな。」
「まぁ…間違ってはいねぇが。それなら俺からも条件がある。それを呑めるなら今回のタイマン、受けても良い。」
「何だ?その条件ってのは。」
「もし俺が勝ったら、今のチームを解散して、俺が新しく作るチームに入ること。それが条件だ。」