水無月 柊は期限が悪い(4)
「うそつき」
「嘘は言ってないよ。明日には帰ってくるのは本当だ。ま、あいつが病院行った理由が栄養失調だって言って信じられると思うか?」
「聞いた私も信じられないからね。まあ、あの映像見た後だと特に……。まさか説明なしに実戦に使うって思わなかったけど」
「俺は使うこと事態想定してなかったよ。あれはあくまで保険だったしな」
「にしても……面倒なヤマね。銀行強盗するためにセキュリティガードを乗っ取りなんて」
人が閉じ込められた事件が謎の暴走ではなく、誰かによって意図的に起こされた以上、次はいつどこで起こるか想定しないといけない。それも早く。
「一番厄介なのは正体をばらさなければ、姿を見せずに侵略できるって所か」
急いで不気味なセキュリティを捕まえないと不味いが。それよりも。
「ねえ、今この町だけでセキュリティガードがどれぐらい展開してたか予想できる?」
「大きいのだと県市庁舎に警察、消防。民間もあわせたらキリがないな。不幸中の幸いなのはここが唯一の行政特区だって所ぐらいか」
「対策の立てるのに時間かかるわね」
「セキュリティ破りさえ出来れば誰でも自由にシステムの乗っ取りが出来るって寸法だからな。もっとも、相手がそのセキュリティすら想定しそうって所だけど」
そう麟太郎の言葉に舌打ちする。
「普通そんなこと出来ないんだけど。どうするの物理的に破壊する?」
「お前の妹や昔じゃないんだから、やめとけ」
麟太朗も苦笑いを浮かべるしかない。あの姉妹の破壊力ならできるだろうが全部を壊すわけにはいかない。
「さて、応急処置はするとして。ほい、頼まれ物は終わったよ」
そう言ってポケットから一台のスマホを取り出して手渡す。
「これって」
「ああ。もっともそれ使ってもその場しのぎでしかないぞ」
「分かった。上司にはあとで報告しとく」
そう言いながら苦々しい顔で睨む、時間がない、これがはじまりなのだから。




