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博多市狂想曲  作者: 如月 睦月
12/13

水無月 柊は期限が悪い(3)

 緋奈子の声と女子トイレを出るところから始まる映像。それは緋奈子の視点で撮影された今回の戦闘データだった。

 柊はソファーに座りながら。千佳が勝手に座ると「スナックとコントローラーがあったら完璧ですね」と好き勝手言う。手持ちぶさたな桜と颯香も黙って見ていた。

 最後、視点がぐらついて倒れる。

「お。ちょうどおわったか」

「……で、あんたは器物破損映像みせてどうしょうってのよ。警察相手に示談の交渉?」

「いやいや」

 そう苦笑いを浮かべる麟太郎に柊が小さく笑う。

「冗談よ。で途中に出てきた気持ち悪いセキュリティが犯人っていうの?」

「おそらくな……さて。悪いけどお嬢ちゃん。ちょっと取引しようか。その眼鏡の記憶媒体について」

「え?あ」

「お?」

 柊が気づき千佳がマジマジと颯香を見るが一番驚いたのは颯香だった。知らない人間が一発で眼鏡の隠しカメラを気づくとは思っていなかった。

「フレームの真ん中に不自然に穴が開いてるだろ?その穴に仕込んだ隠しカメラがあったなぁって思い出したんだよ。とりあえず映像確認したいから取ってくれるかな?隣のこわ~いお姉さんの手を煩わせたくないし」

 隣。麟太郎の隣にいる柊の前に隠し事は出来ない。おとなしく眼鏡を渡した。

「さて。ノートに接続してっと。桜、今日おまえたちどれぐらいにデパートに寄った?」

「2時頃……だったはず」

「じゃあ、その辺りから再生っと」

「あ。その一時間後でじゅうぶ……」

 そう言って桜が止めようとするが遅い。2時から始まった動画、そこに映し出されたのは緋奈子が大食いに挑戦し始める所だった。

「……桜?」

「……颯香が大食いチャレンジしたらお金もらえるからって。それで動画も配信できたら一石二鳥と」

「ちょっと桜」

 素直に応える桜を止めようとするが颯香は聞く耳を持たない。いや、すでにばれたなら打ち明けた方が正解と考えていた。

「柊姉に誤魔化し利かないから。それなら最初から素直に言った方がいいって」

「いや、その程度なら怒んないから。別に」

 会話してる間に早送りが終わり、食べ終わって店を出る。小さい音量だがどうやらまだ食うようだった。エスカレーターを上る。と。

 デパートの入り口から入ってくるモノに麟太郎と柊の二人の目が鋭くなる。

「千佳、映像の時間をメモ」

「アイサー」

 そう言いながら千佳がスマホに映像に映った時間をメモる。麟太郎そして柊は画像の中から出来る限り情報を取ろうと必死だった。

「この辺りまで監視カメラの画像は残ってるのか?」

「綺麗に今日一日のデータは消されてた。復旧を頼んでるけど」

 そこから先は言わなくても分かる。普通なら物理で壊すしか完全消去なんて出来ないがどういう手段か綺麗に痕跡も残さず消したようだった。

 コマ送りでゆっくり進める。その動きを止める。侵入者にセキュリティガードが近づいた映像が映っていた。

「ここまでかなぁ」

「でも、セキュリティガードの頭脳をこのまま乗っ取ったって感じね、ワイヤレスじゃ無理だからここでケーブルつないで侵入しようとしてるし」

 そう柊が指さした所はちょうどケーブルが見え接続しようとしている所だった。残念ながら上っていくエスカレーターから見える一階の角度じゃこれ以上は見えなかったが。

「……さて。颯香ちゃん」

「はい」

「証拠映像の提出。してくれるかな?」

 そう言ってにっこり笑う。柊のような美人さんに笑顔で迫られてどきどきする。いや、これはある意味脅迫なんだからどきどきして当然か。

「じゃあ、あとで焼き増ししてマザー渡すわ」

「昔の写真じゃないんだから。コピーって言いなさいよ。千佳。二人を送ってって」

「え~……あ~。なるほどなるほど」

 そう言いながらにやにやして見てくる千佳の顎を柊の蹴りが走る。間一髪で当たらなかったが。

「何想像してるか知らないけど。蹴るわよ。それともめんどくさい対策考えるなら別だけど」

「ひゃ~、怖い怖い。さてさてお邪魔虫は退散しますかね」

「よし、『バミ』、接続解除」

 そう言うと繋いでいた接続をきって眼鏡を颯香に返した。

「もういいんですか?」

「ああ、コピーは終わったから。ほい」

 そう言って眼鏡を柊に渡した。

「あの。これ」

 そう言って颯香が綺麗にラッピングされたプレゼントを渡す。

「緋奈子に預かったんです」

 そう言われて思い出した。トイレを出た後、預かっといてと言われた物があったのを。

「あ~。あれか。悪いね、うちの妹が」

「大丈夫……なんですか?」

「ああ、あのアホ子は一晩寝りゃけろっとして帰ってくるだろって、病院から連絡あったから」

「そうですか」

 そう言って颯香は安堵の息をついた。桜は小さく「だから心配いらないっていったのに」とつぶやく。

「あ、カバンは玄関においてまーす」

 そういう桜に慣れたように笑って麟太郎が応える。

「あいよ。兄貴によろしくな」

「帰ってきたら連絡させます」

 そう言って桜がリビングから出ていく。颯香だけがぺこりとお辞儀して帰って行った。


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