表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/15

 異界

ほんの少しグロ注意。


かなりソフトにしましたけど。



 ◇



 金髪に髪を染めた少年は薄暗い路地を走っていた。

 全速力で走っていたため息が荒い。

 疲れの為か足がふらつき足を縺れさせていた。

 

「ハアハア」


 そのまま立ち止まる。


「あ~~糞何なんだよ」


 ヒイヒイと情けない息をする。


「あ~~息が苦しい」



 全力疾走で逃げてきたんで横っ腹がいてえ~~。

 ああ~~糞っ!

 糞爺共がっ!

 ホームレスから家賃を回収しようとしたらこんなことになんて……。


「アイツ……此の間の日曜日にツレとボコって動かなくなった奴じゃないか」


 何で生きてんだよ。

 頭から血を流して息してなかったろ。


「しかも怖くなって山に埋めた筈なのに……」


 血の泡を吹いて白目で死んでた爺の顔が脳裏に浮かぶ。

 確かに死んでた筈だ。

 確かに。


 なんで……。


「チッ!」


 ブルッと、寒気がした。

 まさか幽霊?

 そんな筈はない。

 足が有ったし。


 其れに此奴でボコった時はチャンと殴った感触が……。

 あれ?

 金属バットがまるで飴細工のように曲がってる。

 

「ひっ!」


 カランカラン。

 

 何だ。

 何なんだ。

 俺は何時ものように……。




「あれ?」


 知らずに唾液を飲んだ。


「何だ此処は?」


 思わず周囲を見渡す。


「何時もの繁華街じゃねえ?」


 見覚えが有る光景なのに違和感が有った。

 其の違和感は色。

 色彩。

 

 見るものすべてが赤い。


「何だ此処は?」


 其の言葉を口に出すだけで精一杯だった。



 

 まるで透き通るような硝子の世界。


 色のついた硝子を見ているような異界。



 硝子の上に深紅の絵の具をぶちまけた様な世界が広がっている。


 赤い色。


 血の色。



 赤い世界。



 赤い空の上を見上げると爛々と輝く月が存在した。

 

 赤い月が。


 

 建物は分かる。

 電柱も赤く塗られてるのは許容範囲だ。

 建築物だから。

 し映る全ての自然が血の様に赤いんだ?


 ガタン。


「ひっ!」


 物音に怯え振り返る。


「な……なんだ!?」

 

 其処に居た者を見て顔が引きつる。

 

 

「何で御前が……まてっ!?」


 


  ガンガンガシャンッ!



 連続して甲高い硝子の砕け湿った音がした。


「ぎやああああああああああああああっ!」


 何か湿った音が辺りに響く。

 其れは断続的に続いた。


 暫しの沈黙。


 何かを咀嚼する音がする。

 更に時間が経過して静かになった。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ