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さよならオリオン

作者: 佐伯黒百合

苛々した余剰で噛み切った親指はまだ生えない

いくら洗っても消えない赤い滲みは放置してしまった

別に放置したって可愛い彼女が出来上がる訳も無いけど

でも一生消えない傷跡なら出来ると思った

彼女より大切かもしれないトラウマとやらがさ


一体何度目だって声荒げても僕は弱いから

強くなろうとする度に挫折して泣きたくなってしまう

仕方ないなんて言いたくない、カッコつけたプライドが

きっと僕そのもの以上に嫌いだ


上を向いて歩こう

流れる様な涙なんて持ち合わせて無いけど

でも星が見たい、都会の光に隠れた星が

もうオリオンは見えないか

最後に見たのはいつだろう

さよならを言っておくべきだった


浅知恵ばかりの奴が何も語れる訳ないじゃ無いか

自分のことも解らない奴が他人に同情できる訳ないじゃ無いか

都合いいよ本当に僕は

もう何も聞きたく無いし

もう何も心に入って欲しくない

脳味噌に綿でも詰め込んで

生きている振りでもしよう

きっとみんな気付いてくれないから


生きるのが疲れたとは言わない

誰だって自分に絶望することがある

怖くて眠れない夜も

終わらせたくて堪らない朝も

泣きたくなる夕暮れも

綺麗だって思う心を憎む瞬間も

全てやめたいと思うことがある


でも気付いたらまだ生きていて

誰かに殺される予定もなくて

まだまだカレンダーは続いてく

当分終わりそうにもない

神様が殺してくれるって神様は死んじゃったし

超人にもなれそうにもない


始まるのも終わるのも自分じゃ決められない

せめて終わることくらい自分で決めたいの

スケジュール帳に書きたいの

自分の命日

メモ帳に書きたいの

自分の遺言状


遺言状のラスト一文は決まっている


「さよならオリオン」




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