いい汗かいてこ!
台風対策などをしていたら、更新できずやはり遅れました。
すいませんでした。
林檎は戦闘狂とかではありません。
運動は好きです。
薙刀を腰に据え、刀身を下げ林檎は呼吸を整える。
家で運動をする時の様に、学校で体育の授業をする時の様に、呼吸をゆっくりと吸い肺を満たしゆっくりと吐き肺を空にする。
ガシャリガシャリと金属が擦れ床を踏み近付いてくる音を耳に目を閉じ、身体中をリラックスさせ力を抜いていく。
「お、おい牧之瀬!橋本を止めないのかよ!」
自分より前に立ち、迫る訓練用ロボと対峙しようとしている林檎を止めようにも声を掛ける事ができない武はラトの横で見惚れているメイに林檎を止める様にお願いしようとした。
だが、メイに声を掛けるとメイの冷めた目が武を捉え、見られた武は少し怯えてしまう。
「林檎の邪魔を私にしろって?」
「まぁまぁ、林檎ちゃんも運動したいって言ってたし!道中君ばかりに任せて申し訳なく鳴ったんじゃない?
危なくなったら道中君がカッコよく助けに入ればいいんだよ~」
メイに睨まれ、おどおどとしてしまう武を見てラトがメイを宥めながら二人を言いくるめる為に適当な事を言う。
ラトもラトで現状が少し楽しいのだ。林檎の未知数の可能性と、何よりラトにとっては武器を作り出す技術と出てきた武器の性能が気になって仕方がない。
それを確認する為にも、武の提案はラトにとっては望ましいものは無いためにラトは武の心配する心と恋心を誘導しつつ現状を見守る選択に思考をズラしていく。
「そ、そうだな!牧之瀬、危なくなったら俺は助けに入るからな!」
「危なくなったらね。それを判断するのは貴方ではなく私よ道中君」
そう言うと、メイは林檎に目線を移した。その目は優しく惚ける様な目に変わっている。
後ろで何か喋っている。でも今は集中。林檎は耳から入ってくる会話を全て聞き流し足音と自分の心音に集中してく。
地面スレスレの刀身を揺らすと、少しブレがあり薄っすらと視線を開けて確認すると刃の先に小さな返しが付いている事に気付く。
「…」
反りの先の返しに林檎は笑みを浮かべ、薙刀を握っていない方の手を上げサムズアップしつつ親指をクイクイと小刻みに曲げた。
「何かしたの?」
林檎の動作を見て、メイは肘置きを軽く叩きながら言うとクルリと液晶パネルが表に顔を出しサムズアップするドット絵が浮かび上がった。
『俺様からのプレゼントに気付いたんだな』
「……まぁ、今回は褒めてあげる」
答える機会音声にイラッとしたが、嬉しそうに親指をクイクイする林檎を見てメイは優しく液晶を撫でた。
少し撫でられると、液晶パネルが満足したのか回転して普通の肘置きに戻った。
「橋本は何をやってるんだ?」
「分からないの?あの動作は林檎が喜んでる事を伝えるハンドサインよ。
ほら、あんなに喜んでる」
「お、おう…」
普段は見ることができないであろう幸せそうなメイの笑みに武は唖然に取られながらも、常識とばかりに説明しているメイに困惑し曖昧な返事しか返せない。
そんな中、林檎の動きがピタリ止まり、上げられた腕はゆっくりと降ろされる。
そして揺れる刀身は、先程の様なブレは無く地面スレスレに止められては少しだけ浮き、また地面スレスレに止まる。その動きは最適化され一寸の狂いも無く繰り返されていく。
音が近付いてくる。
その音しか聞こえない。
リラックスしていくに連れ、無駄な音は省かれ迫る訓練用ロボだけに意識が集中してく。
その感覚を研ぎ澄まし、林檎は大きく息を吸い止めた。
心音が響き、程よい薙刀の重さが心地良い。
満たされた林檎が動く。
ゆっくりと身体と前に倒し、地面に倒れ込む前に足裏から順に力を入れ訓練用ロボの群れに飛び込んだ。
滑る様に地面と平行に飛び、身体が傾き地面に衝突する前にもう片方の足で一歩。
そして、同じようにもう一歩進んだ林檎は、間合いに入った騎士型の訓練用ロボの足を払う為に薙刀を低位置で一閃した。
それに反応できなかった訓練用ロボは、足を取られガシャリと横に倒れてしまう。そこに林檎は身体を回転させ体勢を崩した騎士型訓練用ロボに接近し、回転途中で短く握り直した薙刀を使い騎士型訓練用ロボの首元、鎧の隙間に刃を滑り込ませ一撃。
「まず一体ぃ!」
武と訓練用ロボの戦いを見て、頭を落とせば動きは止まる事を知っている林檎は、的確にその訓練用ロボの首を落とした。
それを視界端と手応えで確認した林檎は、嬉しそうに叫びながら身体を回転させ薙刀を長く持ち直しながら背後に迫っていた鎧を着た訓練用ロボに向け薙刀を振り抜こうとする。
しかし、それを見切っていたのか鎧の訓練用ロボは持っていた刀で林檎の薙刀を弾き上げ、そのまま上段から刀を振り下ろす。
「それっ」
林檎は、弾き上げられて尚楽しそうに、笑顔のまま何も握っていなかった手を使い、身を引きながら柄を握り引き、振り下ろされた刀を握る手と手の間の柄で受け止め、滑りズレる刀を軸に薙刀を回転させ今度は林檎が薙刀を上段から振り下ろす。
鎧の訓練用ロボは、刀を返し切り上げの要領で振り下ろされようとする薙刀を止めようとするが、それを見た林檎は楽しそうに言った。
「残り八たーい」
急に方向を変え引き上がって行く薙刀の刀身。そして、鎧の訓練用ロボの顎下に強烈な衝撃が走り頭部はスポンと抜ける様に飛んだ。
切り上げの動作を見た林檎は、身を鎧の訓練用ロボに寄せ同時に薙刀を回転させ柄の先を使い顎下を狙った。
手を添えて思いっきり突き出した柄は林檎の予想通りに鎧の訓練用ロボの頭を吹き飛ばすことになった。
それを見て、どの程度の衝撃で首を飛ばせるか確認した林檎は薙刀を少し捻り、刀身先の返しになっている部分で吹き飛んでいる鎧の訓練用ロボの頭部を引っ掛けると、遠心力を利用して少し離れている場所にいる黒い色をした騎士型の訓練用ロボに投げつける。
黒い騎士型訓練用ロボは、飛んできた頭部に反応し持っていた剣を使い頭部を切り捨てた。そして、次の瞬間に黒い騎士型の訓練用ロボの頭部も吹き飛んだ。
「さーん体目ッ!なかなかのペースですっ」
二体の訓練用ロボの間を伸びる薙刀を突き出した体勢の林檎は嬉しそうに言う。
そんな林檎に向け、林檎の近くに居た二体が槍と剣を振るが、林檎はそのまま一歩踏み出し滑る様に地面を移動しながら柄で剣を防ぎ、槍の穂先を刀身で抑えつけ残り七体の中央に位置する場所へと移動する。
それなりに広さのある廊下は、林檎を中央に林檎を囲む訓練用ロボ七体で埋まった。
「油断はしないよ!」
そんな状況でも姿勢を少しだけ低くして、刀身が少しだけ下がった中段で構える林檎は楽しそうに笑う。
カッツ
次まで林檎が運動します。




