七不思議! 仲間集め
高校のクラスでの男同士の友情って、強く醜く儚いものですよね…。
自分が行っていた高校で、アイドル的存在とかは居ませんでした。
そんな存在こそ都市伝説とか思っています。
翌日、登校日と言うことで学校に登校した林檎達。
少し面倒くさがり屋な担任の短い話しの後は、クラスの皆は仲の良い者同士で集まり夏休み中の出来事や残りの夏休みの予定などを話していた。
「アルーテちゃん!」
「林檎ちゃんは今日も元気だね」
「うん!元気だよー!」
シュピッシュピッとシャドーボクシングをする林檎を微笑ましそうにラトは見ていと、後ろから車椅子に座ったメイが移動してきた。
「何してるの林檎」
「あ、メイちゃん。
メイちゃんのクラスも終わったの?」
「プリントが数枚出ただけだったわ」
クラスの違うメイは、一通り担任の話しが終わり解散となると同じクラスの友人と会話も程々に、隣の林檎のクラスへと移動してきたのだ。
元々、互いのクラスに移動する前に会ってはいた。
その時に林檎がラトを連れてメイのクラスに行く予定だったのだが、面倒くさがり屋の為早々に終わると予想できる林檎の担任と違い、メイの担任はしっかりとした人なのでいつ終わるか予想が付かない。
ならば、終わった時に自分から行った方がいいな。と、メイは担任の話しを聞きながら考えていた。
メイが来たことに少し驚いている林檎を見ながらメイは、車椅子のシートの下に付いている収納スペースから鞄を引き出し、鞄の中に入れていたネックレスと腕輪を取り出し林檎に渡しながら言った。
「それ、昨日忘れて帰ってたよ」
「おぉ!さすがメイちゃんだぁ」
「うぷっ…ほら、アルーテさんに話すんでしょ」
メイからネックレスと腕輪を受け取った林檎が抱きつき、メイの顔がその胸に埋もれる。メイもそれには慣れているのか、少し息を詰まらせただけで焦らず林檎の顔を見上げる様に顔を動かし先程から微笑ましそうに見ているラトに話しを伝える様に言う。
「あ、そうだった」
「ん?私に何かあるの?」
「あるんです!
アルーテちゃんアルーテちゃん」
「どうしました!林檎ちゃん林檎ちゃん!」
ノリのいいラトに林檎は嬉しそうに顔を綻ばせ、メイから受け取ったネックレスをラトに見せる。
「貴女は私と共に七不思議の探索をする事になりました。
これをアルーテちゃんに託しましょう」
キメ顔に加え、ドヤ顔を織り交ぜて少し声を作り言い渡してくる林檎。その林檎が持つネックレスを見たラトは、不思議そうに首を傾げるとツインテールの片方の根本で鮮やかに光っていたヘアカフスと外し林檎に見せた。
「林檎ちゃんが、なんでソレ持ってるの?
もしかして、林檎ちゃんも学校に忘れ物した時に黙示から借りたの?」
「ふぇ?」
ノッてきてくれると思っていた林檎は、ラトの予想外の反応にラトと同じように首を傾げ、ラトが見せてくるヘアカフスをじーっと見た。
すると、メタリックなヘアカフスを一周する様に連なっている小さい鮮やかな宝石の数々。
派手にならぬように配慮された宝石達は、よく見ると一つ一つが勾玉が合わさり太極図の様になっていた。
「黙示さんが言ってた人ってアルーテちゃんだったの?」
「黙示が何を言ってたかは知らないけど、多分私かな」
「ふーむ…」
ラトの言葉を聞いた林檎は、腕を組み少し悩むと一度頷きラトに背中を向け顔を少しズラし肩越しにラトを見て全てを悟った表情で言った。
「既に選ばれし者だったのね…。
いいわ、行きましょうアルーテちゃん。世界の秘密を暴きに」
「学園の七不思議だけどね」
もう何かの役に成りきっている林檎の言葉に、一応メイが訂正を入れるがラトはメイよりも林檎の言葉に反応してノッた。
「まさか、貴女もだったなんて…奇妙な縁ね。
これも運命と呼ぶべきなのかしら…。
勘違いはしないで、貴女を認めたわけじゃないの。
でも、私と同じ世界に選ばれた者だと言うのなら、この機会に私に貴女を認めさせてみなさい」
「うん、まぁ、だから…七不思議なんだけどね…」
ラトと林檎がキメポーズとキメ顔を決めている他所でメイは疲れた様に呟くが、その声は二人にまでは届かない。
少しその状態が続き、大きな溜め息を漏らしてしまっているメイに気付いた林檎はにへらっと崩れた笑みを浮かべ車椅子ごと後ろからメイに抱きつくと、そのままよしよしとメイの頭を撫で始める。
「溜め息つくと幸せが寄ってこなくなるんだよー」
「誰のせいかしらねぇ」
林檎の言葉に、呆れながらも後ろに居る林檎の頬をふにふにと摘みながらメイも小さく微笑む。
「仲がいいねぇ」
「長い付き合いだもの」
「メイちゃんは、私の事を一番よく知っていてくれるんだよぉ」
ほわほわとした空気の中、林檎はあることに気づく。
「選ばれし証が一個余った…」
「まだそれ続けるの?」
ラトが持っていたネックレスを見て気付いた林檎が言うと、メイはその設定がまだ続くのかと呆れた様に言葉を返した。
その後で、三人でもいいんじゃない?とラトが言おうとした時、後ろから声が掛かる。
「面白そうな事しようとしてんな!
俺も混ぜてくれよ!」
「えーっと…」
突然後ろから声を掛けてきた男子に、ラトは必死に名前を思い出そうとすると先に林檎が男子を見て返事をした。
「道中君も興味あるの?」
「興味あるってか、みんな夏休みの宿題がーとかで少し暇になっちまったんだ」
林檎の言葉にポリポリと頭を掻きながら答えた男子-道中 武-は、チラチラと林檎を見ていた。
その視線に気付いたのは、林檎ではなくラトとメイであり、武の後ろの方で小声で騒いでいる男子達を見て察した。
しかし、林檎は察する事無く武の提案を受け入れるか悩んでいる。
それを見かねたメイとラトは小さく微笑み…
「私は構わないよ」
「私は反対よ」
真逆の事を言った。
「あれ?」「ん?」
まさかの言葉にラトがメイを見ると、メイはメイで何か?と、さも当然かのようにラトを見つめ返してくる。
「ま、牧之瀬は反対かぁ」
「えぇ、反対よ」
それを聞いていた武が、苦笑い気味に明らかにショックを受けた顔で言うと、武を睨みつけ食い気味で強めに反対の意思をメイが言葉にする。
ピリッとした空気が流れ始めた時、そんな空気など知らんとばかりにメイの頬をむにむにと揉みかえした林檎が言った。
「なら、道中君もいこっかぁ」
「え?いいのか?牧之瀬は」
「大丈夫だよぉ~。
メイちゃんは私の心配してくれるだけだからぁ」
えへへぇと笑い、メイの頬を堪能している林檎に抗議の視線をメイが送るが、林檎は分かってますよ―と言うように何度か頷きつつむにむにを続ける。
「まぁ、それに何かあった時とか男の子が居た方が頼りになるしねっ!」
「お、おう!任せとけ!」
武には、窓から差し込む光に照らされた林檎の今の笑みが女神に見えただろう。
顔を逸し、頬を掻きながら言う武は少し赤くなっていた。
(無自覚で無意識だから困るのよ…)
(無意識なんだろうなぁ)
男女問わずに公平に接する林檎は、毒気を抜かれる様な笑みと裏表のない対応、そしてその可愛らしい容貌も相まって女子からは小動物的な癒やしを持つと可愛がられ、男子からは言わずもがな人気があった。
圧倒的な美貌を持ち関わり辛い空気を持つラトとは違い、同学年の間では親しみやすいアイドル的な存在に林檎はなっていた。
しかし、林檎が持つ男子に対しての好意は全てが'Like'であり'Love'ではない。
だが、相手は男子高校生。勘違いもするだろう。武もその一人であり、既に玉砕した事のある数名の男子からは憐れみつつも優しく歓迎するような濁った目線を送られていた。
「おぉ!頼りになるね!
道中君は体格も大きいから一層頼りになるね!」
「お、おう!」
へへっと嬉しそうに照れる武。
家が剣道道場だったため、太すぎずしなやかな筋肉が付き身長も百八十程ある武は、父親に強制され嫌で仕方なかった稽古の事を思い出し、今までで一番父親に感謝していた。
「…」
「なるほどねぇ…」
その様子を冷めた目で見ているメイと、ある程度察し苦笑いをしているラトは、心の中で武に'お祈り'をそっとして流れを見守っていた。
-人物紹介-
橋本 林檎
性別:女
備考 天然?可愛い系健康よきかなボディー女子 JK
牧之瀬 メイ
性別:女
備考 綺麗系 牧之瀬カスタム車椅子を愛用 林檎の親友 JK
ラト・アルーテ
性別:女 (本来:性別無し)
備考 神話生物ナイアーラトテップ 只今、女子高生生活謳歌中 JK(仮)
道中 武
性別:男
備考 恋する男子高校生 剣道四段 剣道ができる普通の男子




