それは、信じた証3
個人的に、オークはタンク向きのステータスを誇っているイメージ。
フェリシテは、感情があるのか分からない程にすまし顔で案内するメイドの後ろを着いて行くと、入国時に通った門の前に着いた。
「フェリシテ!」
「ん?」
その周辺は、避難をしている者達で溢れかえり。騎士達やギルド員が誘導しているが、一歩進むにも結構時間がかかる。
列に並んで外へと言い残し、メイドはいつの間にか消えていたが、フェリシテは気にする事なく並んで待っていると、どこからか自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
辺りを見回しても、見知った顔は居ない。
「気のせいか」
そう思って、国から出れるのには時間が掛かるだろうと思ったフェリシテは日記帳を開こうとした。
「ちょ、ちょっと!フェリシテ!ここです!」
もう一度聞こえた声に、フェリシテはゆっくりと周囲を見渡す。
すると、綺羅びやかな服装を纏った者達が並んでいた列の方で何か跳ねていた。
身長が高いフェリシテは気付いたが、本来なら気付かないだろうソレに注目して目を凝らすと…見知った顔が手を上げて跳ねていた。
「アミリアじゃねぇか…」
何やら一生懸命跳ねているアミリアは、この国の王女である。
その王女が跳ねて誰かを呼んでいると言う行動は注目を集め、人混みを掻き分け跳ねて寄ってくるアミリアが行く先に居るフェリシテにフェリシテの呟きも合わせ自然と視線が集まっている。
「ご無事でしたか?フェリシテ」
「あぁ…なんか大変な事になったな」
フェリシテの元まで辿り着いたアミリアは、跳ねた疲れからか息を乱しながらフェリシテに話しかけた。
その後ろでは先程のメイドが着いてきている。
「もう少し発生まで期間があると思われていたスタンピードが今とは、タイミングが悪いですわ」
「あー、うん。
そうは思うが、そういう話しはココでしていいのか?」
国民が密集しているにも関わらず、自分の周りから人が離れ空間ができている事に苦笑いを浮かべながら聞くと、アミリアはハッとしてフェリシテの手を取って移動しはじめた。
「と、とりあえず私の馬車まで行きましょう。
お母様もお礼を言いたいと言っていました」
手を引いて歩くアミリアの周りは波が裂ける様に道ができ移動はしやすかった。
それを見て、あの人混みの中でよくまぁ早く着いたものだと思っていたフェリシテは、その理由に納得していた。
少し移動すると、綺羅びやか服装を纏い、豪華な馬車の中でも少し浮く豪華さを誇っている馬車の前に着く。
後ろから黙って着いてきていたメイドが馬車の扉を開けると、中には目元がアミリアと似ているおっとりとした雰囲気を持つ女性が座っていた。
「貴方がフェリシテさんですね。
どうぞ、中にお入りください」
その雰囲気通り柔らかい声で言われ、フェリシテは少し戸惑いながらも身を屈め馬車の中に入る。
「話しはアミリアから聞いています。
アミリアの母で、カーレ・リスコッチェと申します。
まず、お礼を言わせてください。ありがとうございます。
アミリアは、ご迷惑はお掛けしませんでしたか?」
話しは聞いていると言うが、どこまでだろうか…と悩みながらも当たり障りない言葉をフェリシテは返した。
「あぁ、特にそんな事は無かった」
毛を引っ張られたと言いそうになったが、グッと堪える。
フェリシテの言葉を聞いて、優しそうに微笑むカーレは馬車内に添えてあったベルを鳴らすと御者側に着いていたスライド式の窓が開き、御者の隣に座っていたメイドが馬車内にあるテーブルの上に紅茶を用意し始めた。
「まだ時間がかかります。
どうぞ、お飲みください」
「お、おう」
幾ら大きめの窓とは言え、人が通る様にできていない窓から半身だけ乗り出し紅茶を用意するメイドに、それでいいのか…と思いながらも良い香りを漂わせる紅茶を一口飲んだ。
その瞬間、何か別の臭いが混ざっている事に気付き少し乱暴に馬車の扉を開け外にでて辺りを見渡す。
人間になっている時は、オークとしての機能は下がってはいるが無くなっている訳ではない。
その下がった嗅覚でフェリシテは感じた。濃厚な魔素の臭いを。
「まさか…」
貴族達が並ぶ列は、先程フェリシテが並んでいた列と比べ比較的早く進んでいる。
フェリシテが馬車を降りると、既に自分達の順番まで少しといった所らしく巨大な門の付近まで進んでいた。
そこでフェリシテは魔素の臭いを感じ取った。
低下しているはずの感覚でも捉えられる程に濃厚な魔素の臭いを…門の向こうから
「どうかしましたか?」
いきなり降りたフェリシテが気になったアミリアは、答えないフェリシテを不思議に思い同じく馬車を降りてフェリシテの目線を追う様に門の方を見る。
だが、門の向こうにも人が多い事以外に変わりはなく順番が来てアミリア達も門の外へと出て行った。
馬車には乗らず、その横を歩きながらアミリアと出たフェリシテは一層強く魔素の臭いを感じる。
フェリシテは混乱していた。
スタンピードの話しを聞いた限りでは、発生地は真逆にある正門の向こうの荒野。
薄っすらと臭うならまだしも、まるでこれでは此方側にもスタンピードが発生しているようではないかと。
「まぁ、これぐらいは予想できた事ですよね」
その呟きが耳に入り、それを発したメイドの方を見た瞬間。
敵意を感じて、それがアミリアに向かっている事に気付きフェリシテは咄嗟にアミリアを抱きかかえた。
「ぐっ…」
「えっ?フェリシテ?」
突然抱き寄せられたアミリアは状況が理解できず混乱するが、すぐにフェリシテの方に何かが噛み付いている事に気付いた。
それは、シルバーウルフ。
それと同時に、人々の悲鳴が響きフェリシテの肩越しからシルバーウルフの奥が見えたアミリアは恐怖した。
避難経路のはずの道に並ぶ魔物の群れ。
両脇の森からもぞろぞろと増え続けるその光景に。
「ここまで発生圏内だったとはな…」
たかがシルバーウルフの牙に貫かれる人間の身体の貧弱さに苛立ちながら、抱きかかえたアミリアを離したフェリシテは、噛み付いていたシルバーウルフの頭蓋を力任せに砕き先を埋め尽くし群れる魔物達を視界に捉えた。
-人物紹介-
フェリシテ
性別:雄
備考(人型)
イケメン…ではない。ダンディでも無かった。
声のイメージはバリトンヴォイス。 濃い顔に茶髪 鋭い眼光 緑色の瞳 二メートルはあるムキムキ巨漢
おじさんとお兄さんの間ぐらいの見た目 紅茶の味に驚きを感じた 紅茶の匂いは好き
アミリア・リスコッチェ
性別:女
備考:女の子 つるぺったん リスコッチェ王女 方向音痴 ちょっと人見知り
カーレ・リスコッチェ
性別:女
備考 リスコッチェ王妃 アミリアの母 おっとり系人妻 スレンダーなスタイル




