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混世界  作者: 慧瑠
なんてことは無い所詮は顔よな
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それは、信じた証1

会話中心で描写が少ないです。

動きが無いシーンの描写って、心理状況をちょっと書く感じでいいんでしょうが…難しい。

全然できませんでした。

その夜、夜空を見上げれば月は登り切っている。


フェリシテは、アーナムが用意してくれた宿で、ついさっきオークの姿に戻った自分を鏡で見ていた。


「オーク界ではイケメンだが…人間になって分かった。

やはり醜いな」


下顎の端から天に向け伸びる牙をひと撫で、同じく上へと向いた鼻に触れ、頭頂に生える毛を引っ張っては溜め息をつく。

人間用の姿見では、オークであるフェリシテにとって小さく、少し姿見から離れ縮こまって自分を見ている姿は中々に滑稽だなと思いながらも何度も繰り返していた。


「フェリシテ、いるか?」


頭頂の毛を寝かしてみてはどうだろう?と、髪型セットに勤しみ始めた時、部屋の扉がノックされ外から声が聞こえた。


「ちょ、ちょっとまってくれ」


「あぁ、そのままでいい。

黙示さんから手紙で教えてもらっている」


声から察するにアーナムであろう。

今の姿を見られては問題だと、慌てて赤い飴玉を探すフェリシテだったが、扉の向こうに居るアーナムは少し笑ったように話を続ける。


「君の素性を黙示からの手紙で知った。

本来であれば、オークである君に言う機会なぞ無かっただろう。

君の両親、エリカとオーガスを殺したのは私達だ。すまなかった」


「…どういう事だ」


「どうもこうも無い。

遠征中にオークの子を抱いたオークが狼族の女を連れていた。

それを見た私のギルドの者は、狼族の女をオークが無理矢理攫っている様に見えた。

そして、オークを討伐しようとしたら狼族の女が庇い、それに反応しきれなかった冒険者が狼族の女を殺害。

残ったオークは、抱いていたオークの子を逃がすと時間を稼ぐように戦い、出血が重なり最後には狼族の女の側で息絶えた。


その冒険者達のリーダーが私だ。

とある盗賊を討伐する高難易度依頼の為、ギルドマスターである私が自らギルド員を率いて遠征していた。

分かっているだろうが、そのオークが君の父親であるオーガスで、狼族の女がエリカだ」


黙って話を聞いていたフェリシテは、エリカと言う名前にもオーガスと言う名前にも覚えはあった。

それもそうだ。日記帳に事ある毎に出てきた名前…自分の両親の名前だ。


「本来、オークである君などに言う必要の無い言葉だ」


「随分とハッキリ言ってくれる」


「あぁ、私はオークが嫌いだ。

私の可愛いギルド員達を攫い、壊し、捨てていく。

隠す気もしなければ、遠慮する気もしない。憎悪すらいだいている。

だが…それはオーク族という種族としてだ。


君の事は、それほどまでには思っていない。

あの日、オークを庇ったエリカと言う狼族の女の事が理解できなかった。

快楽に堕ち、既に壊れたモノだと思っていた。


エリカが、オーガスの名を呼び逃げる様に伝え庇い。

子を逃し倒れたエリカに寄り添い、その名を呼ぶオーク。

当時は異様な光景だったし、畜生如きが三文芝居を演じるなど悪寒すら覚えた。

しかしだ…今日、黙示さんから手紙を貰い、君の事を知って見て聞いていた結果だが…オークと言うよりは君の事は認めている。


それで、どうして黙示さんが知っていたかは分からないが、あの日殺した者の子だと言う事も書かれていた」


「それで謝罪をしにきたと?」


「あぁ、オークにではなく。君一個人に対して私は謝罪をしなければと思ってな。


今更ではある。それに対して私は何もする事はできないし、しない。

それでも、私は私の自己満足の為に君に謝罪する。そうしなければ…と、他でもない私が思った。


すまなかった。


許しなどはいらない。

恨みたければ恨めばいい。君の気が済むまで、私が息絶えた後でもいくらでも構わない」


言いたいことを言い切ったのか、ほぼ一方的に話していたアーナムは黙り静かになる。

その間フェリシテは、目元を手で覆い聞いていた。

少しの沈黙が続き、扉の向こうに居るアーナムが移動しようとした時、フェリシテが口を開いた。


「ギルド長、あんたはドラゴンを討伐できるか?」


「できない訳ではないが、今でも手を焼く。

無傷では無理だ。

いや、正直に言えば、私一人では寝込みを襲っても相打ちになるだろう」


突然のフェリシテの質問に、アーナムは足を止め答えた。

それを聞いて、フェリシテは少し黙った後にもう一つ質問をする。


「親父は強かったか?」


「……オークとしては。

だが、当時の私でも余裕を持って勝てる。

無理矢理時間を稼ぐように戦っていた様だが、結果はこちらは無傷だった。


すまないな、やはり正直に言おう。

弱かった」


「そうか…。

ギルド長、あんたの自己満足に答えよう。

謝罪は受け取る。恨みもしない。

所詮はオークだ。

そういう事は日常だからな…」


その言葉に、そうか。と一言だけ答え、明日の朝には自分達は魔王の封印に向けて出発する事を伝えてアーナムは扉の前から居なくなった。

静かになった部屋で、フェリシテはアーナムの言葉を思い出し思わず笑ってしまった。


(アーナムが言う弱い親父は、ドラゴンを狩っている。

死にかけたと書いてあったが勝っている。

ドラゴンは運が良かっただけかもしれないが、それでも襲ってきた冒険者共が無傷で親父と戦えるはずがない。


親父は、強かったんだな…。

時間を稼ぎながら、相手を傷つけず戦える程度には…

なんだよ、カッコイイじゃねぇか…)


フェリシテは、目元を覆っている手が少し湿っている気がした。

だが、自然と口元は緩み笑みを浮かべてしまっている。


フェリシテは、漏れそうになる声を噛み締め、喜びと悲しみで笑い泣いた。

-人物紹介-


フェリシテ

性別:雄

備考 当時を知り決意したオーク


アーナム・ヘイリスカ

性別:女

備考 ギルド長 自分に素直 柔らかく物事を伝えるのは苦手



オーガス(故)

性別:雄

備考 恋したオーク フェリシテの親父 ドラゴン退治すんごい頑張った


エリカ(故)

性別:女

備考 獣人狼族 オークに恋した獣人 フェリシテの母親 凛とした美人系

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