あのオークになら抱かれてもいいって言われたい9
二話投稿です。
フェリシテとアミリアは、途中一度だけ控室に入ってきた先程の騎士が用意してくれた紅茶を飲みながら待っているが一向に迎えが来ることはない。
先程から、控室の前が騒がしく、騎士達が着ているであろう甲冑が擦れる音が聞こえている。
「なんだ?」
フェリシテが紅茶と一緒に出されたクッキーを食べていると、テーブルの上に置いていた日記が光った事に気付いた。
それは、更新された事を示す光なのだが、フェリシテは別に連絡を書いたわけではなく、黙示の方から連絡が来たことを告げていた。
もちろんフェリシテは日記帳を取って開くと、アミリアも気付き気になったのか、フェリシテから許可を貰い一緒に日記帳を覗き込んだ。
更新されたページを開いてみると、やはり黙示からでアミリアの父親の事が書かれている。
------
フェリシテ君と一緒に見ているであろうアミリアちゃんへ
おはようございます。
アミリアちゃんのお父さんは、急いで帰りましたが、そちらに着くのは明日になると思います。
そこで、問題があります。
君達は今、騎士の詰所にある控室にいるのではありませんか?
そうでなくても、アミリアちゃんを見た騎士に保護されていると思います。
しかし、今エンベル王がその国には居ないので明日まで保護されるか城に戻る流れになると思いますが…監視付き、もしくは護衛付きになると予想しています。
そうでなければ、そのまま明日までエンベル王を待ってもいいのですが、もしアミリアちゃん以外の誰かが近くに居た場合フェリシテ君には問題が生じますよね?
なのでフェリシテ君は、理由をつけて街中に入る事をオススメします。
理由が無ければ騎士の方々は渋るでしょうから、理由をこちらで作らせていただきます。
騎士の方が着て、今後の方針が決まった時、もし誰かが近くに居る事になったら騎士の方にこう言ってください。
『私は、ギルド長のアーナム・ヘイリスカに渡すものがある』と。
そしたら若い騎士であれば、別の騎士を呼びに行き、騎士団長の誰かが来ると思います。
そして、今回送った手紙を渡してください。
確認後手紙は返され、フェリシテ君は街中に入れます。
後は、一応ギルドに行ってアーナムに手紙を渡して宿でも手配してもらってください。
昨晩渡したお金は、入国で必要になった場合と宿代で使う為に渡しましたが、もし使ってしまったのなら連絡をください。
宿代ぐらいであれば、お貸しします。
では、また何かあれば。
追伸
この日記帳は、自動で読める様に変換されていますが
オークの字体と人間が使う字体は違うので、もし何か書くことがある際には近くの誰かに書いてもらってください。
あと、アミリアちゃん
初めまして、雪です。
お祖父さんの日記帳は玉座の下に貼り付けてあります。
どうせ、王位を引いた彼は人生謳歌と言い張って旅でも出ているのでしょう。
休憩がてら帰ってきた彼に日記帳の最後のページにある一文を言ってあげてください。
きっと、喜びます。
------
明らかに追伸の最後は字体が変わっていた気がするが、フェリシテは気にすること無く空欄に薄っすらと浮かび上がっている襖を開くと、中から金で綺麗な装飾がされた黒い封筒が出てきた。
「あの…この黙示さんと言う方は…
お祖父様から、数回話は聞いたことがあるのですが、どういう方なのですか?」
「いや、俺も知らん」
まるで、こちらの事を見ていたかのように話を書いていく黙示に驚きを感じているとフェリシテ達を案内した騎士が息を切らしながら入ってきた。
何やら、少し困った様子で息を整えるとアミリアの前に傅き頭を下げて話し始めた。
「アミリア様、申し訳ございません。
現在、国王は知人の所に赴いているようで国内に居ませんでした。
予定では、明日か明後日には帰るそうなので、それまでは城に案内をした上で私達が交代で護衛をしつつ国王の帰りをお待ち頂く事になります。
そちらのお客人は、こちらで宿を手配し護衛付きで対応をさせて頂く予定です」
その報告を聞いたフェリシテとアミリアは、あぁ、黙示さんの予想通りに進んでいる。と驚きながら顔を見合わせて一度頷くと黙示が用意した言葉をフェリシテは言った。
「私は、ギルド長のアーナム・ヘイリスカに渡すものがある」
フェリシテがそう言うと、傅いていた騎士は驚いた様に顔を上げた。その騎士の反応が不思議に思ったが、フェリシテは黒い封筒を騎士に見せた。
「これは?」
黒い封筒を見せられた騎士は、それが何か分からずフェリシテに聞いた。
「ギルド長に渡すものだ」
「拝見しても?」
「あぁ」
許可を貰った騎士は、黒い封筒の表を確認した後に裏を見て封蝋である事が分かったが、その印璽に覚えは無かった。
「申し訳ございません。
上司に確認を取りたいのですが、少しお預かりしてよろしいですか?」
「あぁ、構わない」
忘れているわけではなく、全く見覚えの無い印璽に騎士は上司に判断を仰ぐためフェリシテから預かりの許可を貰い部屋を出て行った。
特に喋る事無く待っていると、ドタドタと走る音が聞こえ勢い良く控室の扉が開かれた。
そして、肩で息をしながら先程の騎士と、それより少し装飾された甲冑を纏った歴戦の雰囲気を漂わす老騎士が入ってきた。
「アミリア様、出迎えが遅くなり申し訳ありませんでした。
こちらの騎士と、待っている騎士が城へとお送りして、そのまま護衛に就きますので自室にてゆっくりお休みください」
老騎士は洗礼された動きで傅き、アミリアへと伝えた。
それを聞いたアミリアは一度頷くと、部屋の外で待機していた騎士の元へと移動した。
「フェリシテはどうするのですか?」
自分の事しか言われていなかった事に気付いたアミリアが、未だ傅いたままの老騎士に聞くと、老騎士はその体制のままアミリアの方に向き直り答える。
「フェリシテ殿には、少しお伺いしたい事があります。
その後に、私がギルドまでお送りして宿泊先を確認後、私もアミリア様の護衛に就く予定です」
「そうですか。
オレイア騎士団長、ご苦労さまです。
では、フェリシテ…ここまでありがとうございました。
明日、お父様が帰ってきた後にお呼びすると思います。
またその時に、お会いしましょう」
子供らしさは残るものの、王族の娘としての雰囲気を纏い優雅に一礼するアミリアの姿に目を丸くしながらも、フェリシテはアミリアを真似て一礼するとアミリアは騎士達を連れて部屋の前から移動し始める。
そして、部屋にはフェリシテとアミリアの姿が見えなくなり立ち上がった老騎士が残された。
「それで、俺に聞きたい事とは何だ」
「フェリシテ殿、この手紙はフェリシテ殿が持っていたと聞いたが…」
「そうだが…手紙に問題があったか?」
老騎士は黒い手紙をフェリシテに返しながら聞いてくる。フェリシテは、その手紙を受け取りながら答えると老騎士は少し嬉しそうに笑った。
その老騎士の様子を見ていると、老騎士は小さな声で呟いたのが聞こえた。
「そうか、あの方はご健在であったか…」
その呟きに、フェリシテは言葉を返さなかったが、老騎士は何故か満足そう表情でフェリシテを見て
「ギルド長は、自分の気分が向かなければ客人すら会おうとしない。
私がギルドに案内するが、おそらく私が会わせろと言っても拒否される事があるかもしれない。
だが、その手紙があればギルド長も会ってくれるだろう」
と、言いながら控室から出て歩き始めた。
その説明を聞いて、今から会うことになるであろうアーナム・ヘイリスカと言う人物に不安を覚えながらも、フェリシテはオレイア騎士団長とアミリアに呼ばれた老騎士の後を着いて行った。
フェリシテ
性別:雄
備考(人型)
イケメン…ではない。濃い顔に茶髪 鋭い眼光 緑色の瞳 二メートルはあるムキムキ巨漢
おじさんとお兄さんの間ぐらいの見た目
アミリア・リスコッチェ
性別:女
備考 現在驚きはありつつもご機嫌 割と図太い神経の持ち主 フェリシテに対して少し話せる様にはなってきた 自分の父親が日記を書いていても見ないと決意 ちょっと天然 カリスマ醸し出せます(本人談)
オレイア・ホンベルド
性別:男
備考 リスコッチェ国第一騎士団長 本当に歴戦の猛者です。




