あのオークになら抱かれてもいいって言われたい5
すいません!
遅れました。
「オークでも、そんな顔をするんですね…」
「どんな顔だ?」
「寂しそうなのに嬉しそうな顔です」
「本当に、どんな顔だよ」
布団から、ちょこっと顔を出したアミリアは、オークの顔を見て少し驚いた様子で言った。
オークの質問に、アミリアは思ったままを答えると、目の前のオークは喉を鳴らしながら笑い言った。
そのオークの様子を見ながらアミリアは、近くに置いてあった御飯に目をやりコソコソと手を伸ばし引き寄せ、音を立て無いようにゆっくり食べ始めた。
「そういえば、何を見ていたのですか?」
「知り合いに、お前をどうしたらいいか連絡を取ってみたんだが…返事が来ないんだ」
もきゅもきゅと食べながら疑わしい視線を向けているアミリアは、その視線通りにオークの言葉は信じきれていない。
オークもといフェリシテも、自分達オークの立場は分かっている為に気にすること無く返事を待つことにした。
それから少し時間が経ち昼頃、集落は賑やかにオーク達の声が響いている。
もう、集落のオーク達は大体が起きており、アミリアには分からない言葉でフガフガと話していた。
「あの…」
「なんだ」
何故か頭に三角巾を付け、ハタキと箒とちり取りを取り出して掃除をしているフェリシテを眺めていると、アミリアは本が薄っすらと光っている事に気がついた。
「本が…」
「ん?おぉ…返事が来たのか」
父親がやり取りをしている所を見ていた事のあるフェリシテは、それが更新された時の光だと分かった。
落とした埃を纏め、一通り箒を使いちり取りへと入れると、三角巾をテーブルの上に投げ置いて椅子に腰掛け本を開いた。
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ご無沙汰しております。
フェリシテ君ですね?
一度、生まれた時にしか見たことはありませんが、きっと大きくなっているのでしょう。
フェリシテ君の事を聞いたり、フェリシテ君のお父さんの話とかもしたいのですが、急ぎの様なので今度機会があればお話をしましょう。
さて、本題に入りますが…自称王女を保護したのでどうしたらいいか知恵を貸して欲しい。との事ですね。
まず、お伝えしておくことがあります。
彼女は自称ではなく、本当に王女です。
リスコッチェ王国を知っていますか?そこの王女で、僕の旧友の息子の娘なのでリスコッチェ王国に無事に送り届けて欲しいのです。
彼女、アミリアちゃんのお父さんであるエンベル王からの頼みでもあるので、恩を売るにはいい相手だと思いますよ。
ですが、オークである貴方が人間の国まで行くのに弊害が多いと思うので、少しだけ手を貸そうと思います。
元々、貴方のお父さんからも、時期を見て人間や他の種族を教えてやってほしいと頼まれていたのでいい機会だと思います。
今回送ったのは、'智慧の実'と言うある樹をベースに改良して僕が育てている樹の実です。
食べれば、自ずと分かると思います。
ただ、食べる際には他のオークの目が付かない所で食べてください。
例えば、貴方には毎日汚れを洗い流す習慣が染み付いていると思います。
その時にアミリアちゃんも連れて貴方とアミリアちゃんだけになった時にでも食べると良いでしょう。
では、久々の連絡嬉しかったですよ。本当に、機会があれば是非お話をしましょう。
黙示より
追伸
智慧の実の効果は、一粒で一日程度が限界です。注意してくださいね。
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その内容を読み終えると、最後の文から少し下にある空欄に小さな襖が薄っすらと浮き上がっており、フェリシテは器用に爪を引っ掛け開けると、黒く塗りつぶされた空間からヒョコっと赤い飴玉が飛び出しテーブルの上に転がった。
「コレを食べれば、どうにかなるのか…」
テーブルに転がった三つの赤い飴玉を掴みあげ、少し眺めた後に木の実が入っている袋の中にその飴玉を入れると、黙示からのアドバイスを早速決行するため椅子から立ち上がりアミリアの方を見た。
「な、なんですか!」
いきなり立ち上がり、意気込みを現す様に鼻を一回鳴らしたフェリシテにアミリアはビクッと反応して身を強く抱き震える声と共にフェリシテを睨む。
「アミリア、お前をリスコッチェ王国に連れて行く。
エンベルと言う男が探しているらしい」
「私の名前…それにお父様を知っているのですか!」
「いや、俺は知らない。
だが、俺の知り合いはエンベルと知り合いだったようだ」
いきなり名前を呼ばれた事に目を見開いて驚くアミリアを他所に、フェリシテは適当にタンスから布を取り出し驚くアミリアを担ぎ上げ家から出て行く。
「え、ちょ、ちょっと!」
「おぉ~、今日はソイツも連れて行くのかぁ?」
「あぁ、数日開ける」
「いいねぇ~、雌を連れて狩りに行くなんてよぉ。
緊張感がたまらねぇなぁ」
何か喚いているアミリアをガン無視して、出た時に話しかけてきたオークとフガフガと話しているフェリシテ。
ぽこぽこと弱い力で叩かれ、少し鬱陶しさを感じながら次々と話しかけてくるオーク達に疑われない様に昨日の川の方へと歩いていくと、アミリアが強くフェリシテの頭の毛を引っ張った。
「やめろ、抜ける」
「待って、待ってください。
あの檻の人達も助けて下さい」
流石にイラッとして担いだアミリアを強めに揺らすと、アミリアは一度うっっと苦しそうな声を漏らした後に檻の中から見ている雌達を指しながらフェリシテに言ってきた。
その指差す方向を見ると、檻の中で身を寄せ合う雌達が怯えたようにフェリシテ達を見ていた。
「無理だ。
アレは、集落のモノで俺の独断でそんな事はできない」
「そ、そこをなんとか!」
バッサリと断って、また歩き始めたフェリシテの毛を思いっきり引っ張りアミリアは真剣な目で頼み込んでくる。
「やめろ、抜ける」
毛へのダメージを軽減するように、引っ張られる方向に首を傾けつつ、フェリシテは大きな溜め息をはいて一度家へと戻り、食材が置いてある部屋へと入っていった。
そこで一本のロングソードと昔に回収した冒険者の地図やランプが入った袋を持ち出し、川へと向け歩いて行く。
途中で、戻ってきたフェリシテにオーク達が不思議そうに見ていたが、武器を忘れてな。とフェリシテが一言言うと、オーク達は鼻を鳴らし笑ってフェリシテの体に隠れた袋には気付く事なく見送った。
「おい」
「!」
檻の前に着いたフェリシテは、檻の中で怯えている雌達に声を掛けると、雌達は体を震わせ一層身を寄せ合い怯えた目でフェリシテを見返してくる。
「この中で、この類の武器を使える奴はいるか?」
フェリシテは、持ち出したロングソードを檻の前の突き立て、檻の中の雌達に見せつけながら聞いた。
すると、一人の雌が震えながら手を挙げる。
「使えるのか?」
「ひっ…」
手を挙げた雌に声を掛ければ、返ってくるのは短めの悲鳴だけ。
他の雌達にも目を配らせても同じ反応だった。
肩に担いでいるアミリアは、毛を引っ張らずに静かにフェリシテの行動を見ているのだけが救いで、早々に気疲れしたフェリシテは面倒くさそうに頭を掻くと、ロングソードを引き抜き集落から見えない檻の側面に立つ。
「お前等は脅威じゃない。
一度捕え、既に折れている雌など脅威じゃない」
フェリシテは、檻の中の雌達に言い聞かせる様に喋りながら檻に手をかけた。
そして、そのままゆっくりと力を入れながら言葉を続ける。
「だから、復讐など考えるな。
お前等は俺達に狩られた。
それを忘れるな」
フェリシテが力を入れると、檻は徐々に歪み始め少しずつ隙間を広げていく。
「今は、生き残り帰る事のみを考えろ。
そのチャンスは…リスコッチェ王国がくれてやった」
人一人が余裕で通れる程に隙間が開くと、フェリシテは檻から手を離し、そこにロングソードを突き立て持ってきていた袋も一緒に置いていく。
「ここの生活に溺れたのならそれでもいい。
俺は、お前等を助けない…が、脱走したのは俺達の油断だ。
だから、俺が助ける事はない」
フェリシテは一生懸命に言葉を考えながら雌達にでも分かるように伝え、アミリアを担ぎ直しダルそうに歩いて行った。
-人物紹介-
フェリシテ
性別:雄
備考:イケメンオーク 筋肉質 オークの平均より体格大きめ カッコつけたがり 毛を引っ張られるのは嫌
アミリア・リスコッチェ
性別:女
備考:女の子 つるぺったん リスコッチェ王女 方向音痴




