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混世界  作者: 慧瑠
なんてことは無い所詮は顔よな
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あのオークになら抱かれてもいいって言われたい4

展開、少し遅いですかね?

親父の知り合いに連絡をしてから夜が明けた。

朝日を見つつ、一応親父の形見の本を覗いてみたが返事は来ていない。やはり、忘れられているかもしれない。

親父の言っていた様に、こまめに交換日記とやらをしておくべきだった。


椅子で寝ていたオークは、座ったままで固まった体を伸ばしながら、窓から見える朝日を眺めつつ搾りたてジュースを飲んでいた。


「んんゅ…」


声が聞こえベッドの方に目を移せば、自分の寝床であるはずのベッドは小さな膨らみがモゾモゾと動いている。

昨晩、食事を終えた自称王女は大きなあくびをしながらも家主のオークを警戒していた。だが、限界が来たのか、体育座りのまま寝ていた事に気付いたオークが寝かし直し、洗って干していた布を適当に被せていた。


起きたか?と思い、少し膨らみを眺めていたが、結局寝返りをうっただけで起きた様子はない。


「…放置してもいいが、他の奴等が襲うかもしれないな。

食材は…今日の分程度は残っていたはずだな」


朝にも関わらず、隣の家からは盛んなオークの声と雌の息が詰まったような声が聞こえているが、オークは気にする事無く食材が置いてある部屋へと移動した。


―――


(鳥の囀り聞こえてくるならいいですけど、朝から一体なんですか!なんなんですか!)


布団の中で、顔を真っ赤にしながら体を一層丸くしている自称王女ことアミリアは、心の中で文句をこれでもかというほどに言っていた。


アミリアは、朝から響く鳴き声と泣き声でオークより先に起きていたのだが、オークの集落に居るという身の危険と恐怖から起き上がれず、いつの間にか掛けられていた布団に潜り身を丸めていた。

ここの家主のオークが起きた事により、驚いて声を漏らしてしまったが起きている事には気づかれなかった事に少し安心して自分にはまだ早い声を耳にしつつ考える。


(ここから逃げるには、私を攫ったオークの目を潜り抜けなければなりません。

…どうやら普通のオークと違って理性的な様ですが、所詮はオークです。何を企んでいるか分かりません。

いつ、襲ってくるかも分かったもんじゃないです。


それに、捜索願いが出ていた女性の方々が数人いました。あの人達も私の国の国民…見逃すなんて事、できるはずがありません)


アミリアは、昨日檻で見つけた女性達の中に、自国民が居る事に気付き助け出そうとしている所でオーク達に見つかっていた。


(けして迷った訳ではありません。

けっして迷ってたまたまオークの集落に足を踏み入れてしまったなんて事はありません!私はお父様の言う様に方向音痴などでは!)


いつの間にか言い訳を考えていた事にハッとして、一度深呼吸をして思考をリセットするアミリアの鼻は何やら香ばしい匂いを感じ取っていた。

それに反応して、お腹がキュルルと可愛らしく鳴る。


「なんだ、起きていたのか」


慌てて御飯を要求するお腹を抑えると、その動きで布団も動いたのだろう。

気付かない内に自分用の飯を持ってテーブルに座っていたオークが気付き、また食材が置いてある部屋へと移動した。


―――


適当に焼いた肉を持って部屋に戻ると、腹の音と共に布団がモゾモゾと大きく動いた事に気付いたオークは、自称王女の分も手早く簡単に作り持って行った。


だが、布団の膨らみは一向に起き上がってくる様子がない。


「寝たふりか?」


まぁ、限界になったら食うだろうと思い、ベッドの近くに飯を置こうとすると、膨らみがピクリと反応する。

飯を遠ざければ小さくなり、近くに寄せれば大きくなる膨らみにオークは少し面白く感じ口元を上げながら何度か離しては近づけを繰り返した後にベッドの近くに置いた。


「まぁ、食いたくなったら食え」


以前、森で襲ってきた冒険者を返り討ちにした時に回収したナイフとフォークも皿の上に置き、オークは席に戻ると骨付きの炙った肉に齧り付き親父の形見である日記帳を読み始める。


前に読んだ時は早々に飽きてしまったが、今読み返してみると中々に面白く感じる。


親父とその友人である黙示と言う人物とのやり取りに、オークはこみ上げてくる感情が何か分からず同時に親父が意外と面白い事を考えていたんだなと笑ってしまいそうになる。


彼の父親は、まだ彼が生まれて数ヶ月の時に母親共々殺されてしまった。

成長も早く寿命もそれなりにあるオークである彼は、襲われた時に父親が投げ渡してきた本を抱えながら本能のままに逃げ生き延びきた。


親子と言う認識はあるのものの、オークにとってそれはあまり重要ではなく数ヶ月もすればすぐに自立する。


彼も例外ではなく、父親を見殺しにした事を気負うなんて事は無かったが、自分の親父がどういうオークだったかを読み進めるに連れ知っていき、もっと知りたくなっていき今は亡き父親や母親と話したくなってきていた。



特に気になったのは、母親…もちろん他種族の雌ではあるがオークである父親と仲が良かったような事が何度も書いてあった。


狼の獣人であった母親は、臭いに厳しく毎日親父はタワシと言う道具で体を洗われていたらしい。

黙示と言う男に、体臭改善の案を求める様な日記があった。


そして、この日記帳は母親と雪と言う人物とのやり取りも書いてあった。

母親は、弛んだ親父の肉体を鍛えあげるのに効率のいい方法を雪に聞いていた。

返ってきた答えは、ドラゴンと戦わせれば良いカロリー消化になるとか書いてあったが、普通に死ぬと思う。


その次の日の日記には、母親に連れられ洞窟に入ったらドラゴンの寝床で死にかけたと愚痴っている親父と何やら文字が震え気味に書かれた黙示からの労いの言葉が書いてあった。

その後に書かれた親父の文句曰く、黙示は笑いながら書いていたらしい。


その他にも、仲睦まじい親父と母親、黙示と雪とのやり取りが書いてる。


そして、母親が妊娠したと親父が力強い濃さで書いた後があり、そのページに黒い染みが着いていた。

日記の内容から、親父はこの時に興奮のあまりペンを折ってしまいインクをぶち撒けたんだと。


そして……日記のはずなのに四人で会話をしている様な一日分が続き、俺の名前が決まっていた。


'フェリシテ’


それが、俺の名前らしい…黙示曰く、今は無い国の言葉で『最高の幸せ』と意味持つ言葉なのだと…

親父と母親がそう思い、それを感じて欲しいと日記には書いてあった。


「そうか…俺はフェリシテと言うのか」



目頭に違和感を感じながら、初めて自分に名前がある事とその意味を知ったオーク、フェリシテは日記帳を閉じると感じた事の無い感情と、言い表せない何かに身を委ね背もたれに寄りかかった。

-人物紹介-


フェリシテ

性別:雄

備考:イケメンオーク 筋肉質 オークの平均より体格大きめ ちょっと、カッコつけたがり


アミリア・リスコッチェ

性別:女

備考:女の子 つるぺったん リスコッチェ王女

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