一方その頃。。
夜勤あがりで眠たさと戦いながらの執筆
黙示とエンベルの父は、古い付き合いですが…エンベル父は、いつも黙示に厄介事ばかり運んできていたので黙示自身、面倒なので態度がちょっとドライです。
雪も、黙示とのゆったり時間を見計らったかのように厄介事を運んできていたエンベル父を好いてはいません。むしろ、少し色々あって嫌っています。
次回はオーク君に戻ります。
「本当に、本当に見つかるのか!」
「えぇ、運が良ければですし、身の安全とかは一切保証できませんけど」
カウンター越しに黙示の肩をガッシリと掴み、前後に揺らしている。
自分を揺らす手をゆっくり離しエンベルを落ち着かせるように言っている黙示の横で、雪が黙示の取り出した古びた本を開き中を読み始めた。
「ん?どうかしましたか?」
「いえ、何やら薄っすらと光って居たので、もしかして更新されたのかと」
「彼がですか?」
雪は本を途中から開き、中を確認するように一ページ一ページめくっていく。
黙示と雪の会話を聞きながら、エンベルはその本について聞いた。
「その本が、アミリアの居場所を教えてくれるのか?」
「大体そんな感じですかねぇ…。
この本は、僕が作った本なんですよ」
「黙示君が作った?」
黙示は、一度雪を見るが、雪はまだ読んでいる様で話しを続けた。
「交換日記って知っていますか?」
「あぁ…特定の人物同士で一日毎に日記を書いていくアレだろう?」
「えぇ、それで合っています。
この本は二冊ありまして、その本と内容がリンクするんです。
こっちが書けばもう一冊にも反映されて、もう一冊の方に何か書き込まれればこっちの方にも反映するんです。
電話やメールが主流ですが、やっぱり手書きなりに伝わる何かが僕は好きなんです。
イライラしながら書いた文字と嬉しい時に書いた文字とでは印象も違います。
この本のもう一冊は、僕達人間に興味を持った相手に渡してまして…少し前にその彼は亡くなったのですが、今は彼の息子さんが本を持ってくれているそうです。
一度だけやり取りをして以降、息子さんは積極的に書いてはくれなかったので…まだ持っていてくれればいいんですがねぇ」
「あぁ…やっぱりあの子からお願いが書いてありますよ」
「お願い?」
何やら面白そうな様子の雪は、本を開いたまま黙示に差し出す。
それを受け取った黙示は、雪が開いていたページを読み始めると雪と同じように面白そうに声を殺して笑い始めた。
何やら二人して笑っているのを見ていたエンベルは、不機嫌そうに見ている。
それもそうだろう、自分の娘を見つける手がかりだと教えられ、教えてくれた本人は内容を見て面白そうに笑っている。
娘の安否が掛かっているエンベルにとっては不愉快以外のなにものでもなかった。
「あぁ、ごめんなさい。
ちょっと、彼の息子さんの日記が面白かったもので…
でも、よかったですね。アミリアちゃん、見つかりましたよ」
「本当か!娘は!娘は無事なのか!」
黙示の言葉に、エンベルと護衛の者達は驚き、思わず立ち上がり身を乗り出しながら黙示に詰め寄る。
「まぁ、今は無事ですかね」
「今は?」
「どうぞ、読んで構いませんよ」
興奮気味のエンベルに、黙示は本を開いたまま差し出す。
エンベルと護衛の者達は、その本を食い入る様に見始めた。
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えー、ご無沙汰です。
ここ最近は、変わらず集落は賑やかです。
そんな時、私は拾い物をしました。
人のメスです。王女とか言っていました。
川で会って、見逃したら集落で仲間達に囲まれていました。
とりあえず回収して、匿ってはいますがこのままだと理性が持たない感じです。
メスの特徴は、金髪でボロボロのドレスを着ていました。
ボロボロのドレスは仲間が引剥しましたが、金髪は無事です。
あと、ものすごく毛を引っ張られました。ハゲかけました。
いきなりで迷惑な話しだとは思いますが、知恵を貸してはくれませんか?
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「も、黙示君…もしかして、これを書いているのは…」
「流石エンベル王、察しがよろしですね。
そうですよ、オークです」
書かれていた内容の中で、集落と言う単語とアミリアが居なくなった森と言う情報からエンベル王は黙示の交換日記の相手を予想してしまった。
その予想を否定してほしく、震えた声でエンベルは黙示に聞くと、黙示はエンベルが言い終わる前に答え合わせをした。
その言葉を聞いたエンベルは、体から力が抜け崩れ落ちそうになるところを護衛の者達が慌てて支えていた。
「なら…アミリアは…」
天井を見つめ、生気が抜けたように呟くエンベルに黙示は日記帳を自分の手元へ戻しどこからか羽ペンを取り出し何かを書き始めながら安心させるように言う。
「彼、オークでもちょっと変わり者でして、無理矢理襲ったりしないんですよ。
そういう行為は、大事なモノだと僕の友人である親から教えこまれたらしくて」
「なっ!相手はオークだぞ!」
「そうですよ?」
信じられない様なモノを見るようなエンベルの様子に黙示は、当然の様に返しながら何もない空間に手を突っ込み'ボックス'から赤い飴玉が詰まった瓶を取り出し、そこから三個だけ赤い飴玉を取ると何か書いていたページの空欄の部分を一回撫でた。
すると、その空欄の部分がズレ黒く染まっていた。
「黙示君…?」
「彼が知恵を貸して欲しいと言っていたので…知恵を貸してあげようかと思いまして」
次から次へと何かをしてく黙示に理解が追いつかなくなってきたエンベルは、一応何をしているか聞こうとすると、それを察した黙示は営業スマイルをエンベルに見せつつ、その黒い部分に黙示が飴玉を落とした。
そう、落とした。赤い飴玉は何の抵抗も受けずに落下していき黒い部分にスッと消えていったのだ。
「さて、エンベル王は早く国に戻ってください。
アミリアちゃんは、私の友人の子が国までお連れするので」
「それは、そのオークか?」
「そうです、なので今回はちゃんと帰してくださいね。
その後で、貴方が集落を探し出し彼等を討伐しようとしても何も言いません。
その時はそれが彼の運命だったのでしょう。ですが…もし、その場で彼を斬り捨てる様な事があれば、友人の子に手を出したと判断して私と黙示さんがリスコッチェ国を潰します。」
黙示の言葉にエンベルが確認の為に聞くと、隣でアイスティーを新しく作り飲んでいた雪が笑みを見せ答え、最後のは冗談です。と言いお昼ご飯を作るため厨房へと入っていった。
ただ、エンベルには雪の笑みが嘘を言っている様に感じられず…一瞬、心臓を鷲掴みにされているような感覚がして青ざめていた。
それを見ていた黙示は、別に僕は何も言っていないのですが…と苦笑いをしながら古びた日記帳をカウンターの下へと片付けていた。
-人物紹介-
喫茶店-本の蟲-のマスター
明示 黙示
性別:男
備考:リスコッチェ国好感度(十段階):5
喫茶店-本の蟲-の店員(厨房担当)
雪
性別:女
いつもの:アイスティー
備考:リスコッチェ国好感度:3
エンベル・リスコッチェ
性別:男
備考:リスコッチェ国の王 親父と黙示と雪との間に何があったかは知らない。
アミリア・リスコッチェ
性別:女
備考:極度の方向音痴




