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混世界  作者: 慧瑠
景品は闘技場で、昔話は夜会で
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閑話 黙示の居ない-本の蟲-1

もう少しだけ閑話が続くんじゃ。

「いらっしゃい」

「いらっしゃませー」


店内に来店の音が響くと、普段は聞こえない声が聞こえる。

常連の客は、少し驚いた様子で彼等を見るが席に案内される頃にはいつも通りに読書を始めた。


今、この店には店主が居ない。店の表には一応看板で注意書きをしているが、本日のメニューの看板ほ隅に書いてある程度で気づかない客も多かった。


「意外とお客さん来るんだねぇ」


「あぁ、もう少し閑古鳥が鳴く状態かと思っていた」


客の案内を終えた可愛らしい猫の刺繍入りエプロンを纏う女の子…ラトがカウンターでコーヒーを作っている男に話しかけると、男も同意したようにラトの言葉に頷きつつホットコーヒーを作っている。


「ラト、十番テーブル」


「はーい」


男から渡されたホットコーヒーをお盆に乗せてラトは敷居がある壁の奥へと運んでいった。


この店は、本に囲まれて本棚自体が壁の代わりもしており、個室の様なスペースも存在している。

ラトが、その個室の様になっている席にコーヒーを持っていくと、空中に浮いている半透明な原稿用紙を眺めている首の無い西洋甲冑の客が居た。


「やっぱり、科学を駆使して仕事をしている貴女達を見ると中々面白いね」


「慣れるまでは不便だけど、慣れれば便利だよ」


ラトの言葉に、少し低い所から声が帰ってくる。

ラトがちょっと身体を傾けて覗けば、座っている身体の横に西洋甲冑の兜が置かれカタカタと音を立てつつ喋っていた。


「また、小説?」


「ファンタジー系の新作を書けと言われたんだけど、どうも内容が進まない」


「今の世界でファンタジーは難しそうだね」


「元々、ファンタジーの様な存在の私がファンタジーを書く。中々に滑稽だとは思わない?」


甲冑のデザインと声から女性と分かる首なしの客は、困ったように呟き空中に浮く半透明の原稿用紙に触れると、その原稿用紙は消えた。


それを見ていたたラトは、持ってきたホットコーヒーをテーブルに置いた。


「まぁ、頑張ってよ。

休憩の為にコーヒー頼んだんでしょ?

それにしても…その機械面白そうだよね」


「ノート型のパソコンを持ち歩くのもいいんだけど、ブレスレット型の方が荷物にならないし場所も取らないから楽なんだよね。変わりに、ノートとかと違って周りにも何してるか見られちゃうから個室とかじゃないと使えないけど。

それに、ちょっと高いし」


「幾ら?」


「五十万ちょい」


「わぁ」


篭手の隙間から見えるブレスレットを軽く触り、ふぅとため息をつくと彼女は兜を抱え口元の装甲を少しスライドさせると、そこからホットコーヒーを兜の中に見える黒い靄に流し込んでいく。


「いつも思うんだけど、それで飲めてるの?」


「ちゃんと身体に流れてるよ」


ラトの質問に彼女は飲み続けているのにも関わらず普通に答えた。


「ふーん」


「ラト!」


「あ、ヨトが呼んでる。

そろそろ行くねー。

ごゆっくりー」


「お喋りに付きあわせてごめんねぇ」


呼ばれたラトはカウンターへと戻ろうとすると、首なしの彼女はホットコーヒーを一度置きラトに手を降って見送った。



カウンターでコップを拭いている男、ヨトに呼ばれたラトが戻ってくるとカウンターには二人の客が座っていた。


「ラトに客だ」


ヨトがそう言うと、カウンターに座っていた一人が振り返りラトに向けて手を振って可愛らしい笑みで待っていた。


「あれ?林檎ちゃん?」


「あー、やっぱりアルーテちゃんだ!」


カウンター席から降りてラトに抱きついた林檎に驚き、ラトはヨトを見る。

それに気付いたヨトはラトの言いたい事を察して答える。


「少し挨拶したが、その子もここの常連らしい。

ラトの友達なんだってな。入り口でチラッとラトが見えたからもしかしてと思って入ってきてくれたらしい」


「黙示さんの知り合いってアルーテちゃんの事だったんだね!」


「う、うん!」


学校でお気に入りのお店が出来たとは聞いていたラトだったが、まさかこことはと少し驚きつつもカウンターに座るもう一人の客に目をやると、ラトとして生活し始めた頃に会った様な記憶がある男が頭を下げて挨拶をしてきたので、ラトも頭を下げつつ男を思い出す。


(えーっと…リュコスだったかな?

確か、ウルフマンだったっけ)


黙示にちょっかいを出しに店に来た時に、リュコスが客として居た事を思い出した。


「林檎ちゃん、何か飲む?奢るよ」


「え?本当!

うーん…ミルクティー飲む!」


「あと、雪…さんがパフェをすぐ作れる様に用意してくれてたから、それも奢ってあげる」


「おぉぉぉ!ありがとうアルーテちゃん!」


へへへっと緩みきった表情の友人に、少し癒やされるとラトはカウンター奥の暖簾をくぐり厨房へと消えていった。

-人物紹介-


ラト・アルーテ

性別:女

備考:林檎の友達


ヨト・ネクロ

性別:男

備考:黙示の知り合い


橋本はしもと 林檎りんご

性別:女

備考:意外な人脈を晒してく普通の女子高生


月無(つきなし) リュコス

性別:男

備考:狼男 コンビニ店員



首なしのお客さん

性別:女

備考:デュラハン 今後、登場予定あり。

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