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混世界  作者: 慧瑠
景品は闘技場で、昔話は夜会で
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黙示VSラト3

逆側から迫る触手に反応した黙示は、その場に身を屈め自分の頭上を通過する触手逆手のナイフを突き立て、触手は自らの速度で裂かれていく。だが、触手は裂かれても動きが止まる事はなく、むしろ一本が二本に増えラトの周囲でうねり黙示に狙いを定めている。


「もっと色々使っていいんだよー」


その様子に顔を顰めている黙示に対して、ラトが可愛らしい声で言う。

そんなラトを無視して黙示は握っていたナイフをラトの足元目掛けて突き立てるが、ラトは少し脚を引くだけで回避しナイフは地面に突き立てられた。


その隙に触手が両サイドと背後から黙示を狙い行動を開始。黙示は両サイドに向けホルスターから五本目と六本目のナイフを投げる。

そのナイフは触手から生えた触手に叩き落とされ地面に刺さり触手の勢いが止まる事無かった。

次の瞬間、ラトの目の前に居た黙示に触手が襲いかかるが、黙示はその場から高く飛び上がり触手の香華を回避した。


「手加減しならが、空中は辛いんじゃない?」


それを確認したラトは、両腕を広げ手首をクイッと上に曲げると触手は空中から落下し始めている黙示へと襲いかかる。

その触手を黙示は新たに取り出した七本目のナイフと逆手に握る一本目のナイフで体を回転させながら時には触手自体を足場にして空中で方向を変えつつ迫る触手を切り刻んでいった。


会場は戦闘音だけが響き静まり返っていた。

黙示とラトの戦いを一瞬とも見逃さぬように淡々と目で黙示達を追うばかり。

それでも理解が追いつかない瞬間が生まれている。


触手の攻撃も黙示のナイフの動きも追う事は叶わず、ラトの付近から触手が消えたと思えば黙示の周りで減速した触手が姿を現し、次の瞬間には形状を保てず切られたであろう所から崩れ、そこから新しい触手が生まれ黙示を狙う。


分かるのは、自分達の見ている中で理解すらできない速度で行われる攻防だと言う事のみ。


「はははっ!よくまぁナイフだけで対応するね!」


数えるのも億劫になるほどに入り乱れる触手を足場にしつつ空中を飛び回る様に触手を切り刻んでいく黙示にラトは心底楽しそうに笑い触手の数を増やしていく。


(空中戦をするつもりは無かったのですがね…)


言葉を返す事も無く、予定とは違う現状に黙示は苦笑いをした。

そして、八本目のナイフを入り乱れる触手の間を縫う様にラトへと向け投擲する。

もちろん触手がナイフを弾き飛ばすが、弾かれると同時に黙示が投げた九本目のナイフが弾かれたナイフを弾き返しラトの頬を掠めた。


「器用だね…一方的な蹂躙ばかりが多いけど…

たまにはこういう戦いも悪く無いと思っちゃうよ!」


ラトは頬から流れる血を気にする事無く、口角を上げ三日月の様に形を変え笑う。

それと同時に発せられる狂気が会場を包み込む。


観戦していた者達は、その空気に身体が震え息が荒く呼吸をするのを忘れそうになる。


「さぁ!次だ黙示!」


「えぇ、次です。

"起点・縛急急如律令"」


「おろ?」


狂気を視認できる程に発するラトの言葉に、黙示は触手を足場により高く飛び上がり笑みを見せ返した。

すると、黙示の言葉に呼応したかの様に地面に刺さるナイフが光り急激に触手の動きが鈍くなり始め地面に張り付けられる様に固定され動かなくなった。その上に黙示は軽々と着地する。


「糸なんて…いつの間に仕込んだの」


「最初からナイフの尾には糸が付いていましたよ。

元々、この武器は九本で一つの武器です。

風に乗る程に緩く、動きを阻害しないように張らせてもらいました。」


「だから、わざわざ投擲したんだね」


「察しが良くて助かります」


ラトは触手を動かしてみるが、断ち切るわけでもなく身に食い込み拘束されピクリとも動かせない。


「うーん…これからって所なんだけど」


すっかりと狂気が収まり、可愛らしく悩んだ様子を見せるラト。

次はどうしようかと考えていると、ラトが途端に嫌な顔を浮かべた。


「どうかしました?」


その様子に、次の行動に移ろうとしていた黙示は不思議になり聞く。

何か思いついたのなら、もう少し嬉しそうに笑うはずだと。


「あー、うーん…店で待機してた私が消し飛ばされちゃった」


「は?」


「それを見て林檎がショック受けて気絶しちゃったから帰るね。

楽しい所なんだけど、消し飛ばした奴が消し飛ばした奴だし…はぁ…

林檎も、今は私の学友だから。


と、言うわけで…私、こーさーん」


店に来たのであろう来客が嫌なのか、ラトはげんなりした様子で両手を上げ大きな声で降参を宣言する。


「へっ?え…あ、はい!

第二回戦最終試合は、黙示さんの勝利です!」


突然の終わりに進行係は裏返った声で試合の終わりを宣言した。


観戦していた者達も、突然の終わりに拍手やヤジを飛ばす事も忘れ唖然。ラトはラトで降参を宣言した後には黙示に手を振りながら消え、黙示も自由な友人に疲れた様子で腕を横に振ると集まり束になったナイフを回収して控室へと戻っていく。


「お店、大丈夫ですよね…」


戻る最中に呟く黙示の言葉には、悲壮感が漂っていた。

-人物紹介-


-喫茶店-本の蟲-のマスター-

明示みょうし 黙示もくし

性別:男


ラト・アルーテ

性別:女

備考:女子高生

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