表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
混世界  作者: 慧瑠
なんでもない日常
1/140

喫茶店

初投稿です。

歪んだ町並みに、ひっそりと佇む大きくも無く小さくも無く適度な広さを持つ喫茶店-本の蟲(ほんのむし)-


店には大繁盛と言うほど人は居ないが、ちらほらとお客が居る。


そこのマスターは、カウンター越しにコーヒーグラスを拭いており

その音が心地よく響く程店内は静かで店内で流れているBGMも話していれば会話の邪魔にならず、黙っていれば程よく耳に届く様な読書の邪魔にならない程度の音量。

ここは、本好きの間ではそれなりに有名な喫茶店だ。


店内には外からの光を遮らない様に邪魔にならない程度に壁を埋める本の数々

表に無くともマスターに聞けば大抵の本は裏から出てくる不思議な喫茶店

それがここ本の蟲という喫茶店


読書喫茶と言うべきなのか…常連さんも新しいお客さんも本を手にマスターの淹れるコーヒーや紅茶を味わいながら過ごしている。

本を読むのであれば飲み物代は無料というサービスも客には好評だ。


「つまるところ…図書館ですよね?」


「そんな堅苦しくはないよ、もっと柔らかい所。

別に雑談をしてくれても構わないからね。」


いつもの様に、マスターは食器を拭きながら私のお喋りに付き合ってくれている。

私は本が特別好きと言う訳でもないけど…この店の雰囲気は好き

かくいう私も、ここの常連の一人になっている。


「今日もミルクティーでいいかな?」


「アイスで甘めにね!」


「分かっているよ」


そう告げるとマスターは慣れた手つきで私に出すミルクティーを淹れ始める。


本当、このマスターが淹れてくれるミルクティーは格別で甘さも私好みのいい感じ。

以前、他の店と何が違うのかと聞けば僕が淹れている所かな?とはぐらかされた。


「今日は、何を読むのかな?」


「マスターの本を読もうかな」


要望を告げる私に、マスター微笑ながらカウンター裏から一冊の本を出してくれる。


これはマスターが書いたと言う本で、私が今このお店で読破しようとしている本だ。

というより、私は別にお目当ての本があるわけでもなく目的は今から出てくるミルクティーであり

本は、タダ飲みするついでに読んでいるだけで…


「あれ?新しい本?」


「それが一番初めに書いた本だよ」


「前に来た時に読み始めたの、まだ読み終わってないんだけど…」


「きっと、どれを渡しても同じかなと思ってね」


「ハハハ…」


ミルクティーが目当てなのはバレていたみたい…

それでも、マスターは嫌な顔を見せず笑顔で私のミルクティーを差し出してくれる。

きっとマスターも私と話せるのが楽しいんだ。そういう事にしておこう。


「待ってました!」


「ごゆっくり」


話を続けてもいいけど、建前上本を読まなければ無料ではないので

目の前に置かれたミルクティーを一口飲み、私は本を開く

そして、頭では別の考えをしている。


きっと、私以外にも飲み物目当ての人は居るはず!と

これからよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ