風に抗う

闇夜に沈む

ありふれた日常、当たり前だった世界がなくなった。

16歳の俺は絶望した眼前に広がる闇夜に。

この時、手の中で怪しい光るタブレット端末をどれほどに頼もしく思っただろうか。

先程まではありふれた高校生だった、家にいたはずなのだ誘拐でもされたのだろうか、ここで死ぬのか、止めどなく溢れてゆく恐怖。

ここがどこだか分からない、ただひたすら歩いていく、人を探すために、絶望と恐怖から抜け出すために。

何が何なのか分からぬまま歩いてゆくしかなかった、助けてもらうために。