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人形たちが寝た後

 5話目です。

 マーレットは恐怖の最初の夜を迎えていました。

 キッチンでエリザベルから暴行を受け、床に倒れていたマーレットは起き上がった。

 一息付いた後、床に散乱している食器類の割れた破片を拾い集め椅子を元に戻す。

 頭から顔、上半身に至るまで血だらけで全身が痛くてたまらない。

 しかも顔は腫れ上がり、醜い表情をしている。


 マーレットは休む事無く、黙々と作業を続けるだけである。

「?」

 マーレットはキッチンの片隅に置いている屑箱の中のゴミに注目した。

 ビリビリに破られた冊子が捨てられているのを目にしたのだ。

 冊子を手にして見入ったマーレットは愕然となった。

 それはエリザベルに手渡したハズの子供人形養育教本である。

 子供人形を世話の仕方の様子から、エリザベルは教本を読んでいない事が明らかと言えよう。

 本はよく読んでるエリザベルが教本を破って捨てるなんて、全く理解し難いとマーレットは思った。

 

 この後、マーレットは衣類を脱ぎシャワーを浴び始めた。

 子供人形たちが行動を始めてからずっと、エリザベルから虐待や暴行を受けっぱなしで全身がキズだらけ血まみれになっていた。

 あれだけの酷い仕打ちを受ければ確実に死ぬハズだけど、今もこうして生きているのだから不思議である。

 だが恐怖感は拭いきれない。

 相手が自分より身体が大きいからって言うワケではないが、言語絶する暴力的な行為を受けても怒りが無意識に抑えられてしまうのだ。

 だから、やられっ放し状態になってしまう。

 込み上げて来るのは、虚しさと恐怖感だけ。

 こうなってしまうのは、背中に付いている魔の焼印のせいだろうか?


 マーレットは重苦しい表情で身体を洗い流した。

 全身のキズがヒリヒリして痛い事。

 シャワーの熱いお湯と共に多量の血が床の排水口へと流れて行く。


 シャワーを済ませバスタオルで身体を拭いたマーレットはガウンに着替え、自分の部屋に入って来た。

 人形たちは既に寝ている。エリザベルでさえも一旦眠りに入ったら、余程の事が無い限りは目を覚まさないから自由にくつろぐ事は出来るのだ。

 今はマーレット…


 エリザベルに対して恐怖の念を抱いていた。

 もう今までの仲良く楽しい生活なんて有り得ないだろう。

 これからも毎日、エリザベルから奴隷並みの扱いをされ恐ろしい仕打ちを受けるのだろうか?

 人形ヘルパーの資格を取り、人形を引き取る際に管理局の担当者が自慢気に言ってたのをマーレットは思い出した。

「エリザベルは美しく気品に満ちて優秀だけでは有りません。思いやりが有って人当たりも良く、とても心優しい人形生物なのです」

 確か、こんなキレイ事を並べていたっけ。

 そんな素晴らしい人形が凶暴性を剥き出しにして、人を襲うのか?

 説明との食い違いにマーレットは戸惑うばかりである。

 嗚呼、不安が増して来て気が狂いそう!


 この時ふと、マーレットは全身が熱くなりそうな感じを受けた。

 近くの姿見の前に立ち、鏡に映る全身キズだらけアザだらけ自分の姿を見始める。

 何と言う事だろう?

 急にだ、マーレットの身体は金色の光に包まれたではないか?

 全身がヒリヒリと痛んで来てジッとしていられない気分になっちゃった。

 光は5分の間に輝いて、やがて消えた。

 マーレットの身体のキズは全て消えて、キレイな肌に戻ったのが不思議である。

 顔の腫れも完全に引いて、気持ちも落ち着いてスッキリしているし。

 マーレットは鋭い眼差しで人形部屋の方を視線を向けた。

「エリザベル…!」



 果たして、マーレットの運営や如何に?

 続きます。

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