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王女様、釈放されてホテルへ

23話目です。

 エリザベルは釈放された。

 身柄引き取りの為に北の魔界本国からやって来た魔王室警護人数人と合流すると、市内のホテルのVIP室に子供人形たちと一緒に移動した。

 ホテルは警察の方で手配したものだ。


 久しぶりに風呂に入って汚れた体を洗い、ホテル側が用意した室内着を着るとホッとした気持ちになる。

 ホテルの一流シェフ特製の豪華な食事をペロリと平らげ、エリザベルも子供人形たちも大満足である。

 キディも気持ち的に落ち着いて、久しぶりにエリザベル・ママのオッパイをしゃぶり始めた。

 ちゅぷちゅぷちゅぷ…

 ママの温かい懐の中でキディは嬉しそうにオッパイをしゃぶる。

 エリザベル・ママは、その可愛い姿に感激の涙を流すのだ。

 お腹イッパイ食べたからだろう。キディはオッパイをくわえたまま、そのまま眠りに入った。

 クゥー、クゥー…

 キディの安らかな寝息が聞こえて来る。

「キディは、世界一の赤ちゃんだわ。愚かな人間の赤ちゃんより、優秀なのよ」


 フワフワの絨毯で遊ぶ子供人形たちの可愛い姿を見ながら、側近男性のビュルトがエリザベル…エルーナ王女に話しかける。

「如何でしたか? この国での生活は?」

 ゆったりとしたソファで踏ん反り返ってる王女は、憮然とした表情で答える。

「私が拉致監禁されて、このフリーラムランドに連れて来られた事は知っているの?」

「諜報局から報告を受けております。元側近だった人間が、王女様を誘拐して国外へ連れ出したと言う事が分かって、諜報局が調査をしていたのです」

「そうなんだ。最悪だったわ。毎日のように奴隷扱いされて、働かされてばかりいたの。聖なる王女のこの私がよ?」

「相当、イジメを受けていたと伺っておりますが?」

「人間どもに無茶苦茶、暴行を受けていたのよ。このまま殺されて、死んでしまうと何回も思ったぐらい酷かったわ」

「それはお気の毒に…」

「全てはスザンヌのせいね」

「スザンヌって言えば…」

「スザンヌ=ボレロ。以前、私の専属で側近をしていた人間よ。どうしようもない役立たずだったけどね。この人間界にやって来て、権力者になっていたのよ。頭が悪いクセに馬鹿だわ」

 ビュルトは王女の横顔を見ながら、首を傾げた。

 スザンヌ主任こと…側近スザンヌは王女が酷評するほど、役立たずではないからだ。

 他の側近たち以上に、魔女王や王女に忠実で働きぶりも一目を置かれるぐらい優秀だったハズである。

 数年前に側近スザンヌは急に仕事を辞めて国へ帰った。この理由は実は今だに不明である。


「スザンヌは今、どこにおられますか? 会って、色々と話しを聞きたいのですが?」

「あのクズはもう、いないわ」

「この人間界にも、いないのですか?」

「病気で死んだみたいだわ」

「病気で亡くなったのですか…」

「清く正しい心を持つ、この私を侮辱したからだわ。天罰が下ったのね」

「…」

 ビュルトには嘘だって事は分かっている。

 側近スザンヌが王女に殺されたと言う知らせを最近、耳にしたばかりなのだ。

 真相は後日、明らかになるから深い追求は遠慮するつもりでいる。


 質問を変えよう。

 スヤスヤと眠っているキディの他、他の子供人形たちを見るビュルト。

「子供たちとは、どこで知り合ったのですか?」

「私が収容されていた施設よ。同じように奴隷扱いされて毎日、酷い拷問を受けていたわ。元々はとっても優しいママと暮らしていたらしいけど、母親の方は人間どもに殺されたみたいよ。しかも、このコたちの前でね」

「それは酷い…」

「だから私は、このコたちをママ代わりになって守って行こうって決心したの。今ではみーんな、私を慕って来るわ。このコたちは世界一、優秀な小さな王女様たちよ」

「なるほど」

 子供人形たちとの出会いの経緯を知ったビュルトだが、内心では本気で信じているワケではない。

 王女の最近の生活の様子も既に分かっているから尚更である。


「あの者は、どうなるの?」

「あの者って、仰いますと?」

「マーレットよ、マーレット=ブラウン。お姉さまの可愛い子供たちを殺した極悪犯罪者」

「あの36号事件を起した人間の女ですね?」

「私を誘拐して、この国で地獄の日々を送るようにしたのはマーレットなのよ」

「あの者が?」

「刑務城を入れられた事を逆恨みして…」

 ストップ!

 ビュルトは手を出し、王女の言葉を遮った。

 いきなりの行為に王女は目を見開く。

「詳しい経緯は、法廷で発言されると宜しいかと」

「法廷って?」

「今度、36号事件に関して二回目の裁判が執り行われる事になったのです」

「あの事件に関しては、もう判決済みのハズよ? 何で今頃」

「色々と新たな証言が出て来たからです。それで魔女王様直々の要請で、法廷が再び開かれる事になったのです。恐らく、マーレットは北の魔界へ呼び出される事になりましょう」

「マーレットは今度の裁判で、どうなるのかしら?」

「恐らく…、確実に死刑になると思われます」

「死刑に…、オーホホホホホ! そうなれば、とても愉快だわー!」

 死刑になるかもしれないと知って、王女は爽快な気分で高笑いした。

「王女は余程、マーレットの事がお嫌いのようですね?」

 ビュルトの今の質問に王女は反応した。

 マーレットの事を問われて、不愉快な気分になる。

「私は、あの女に色々と酷い目に遭ったのよ。宮殿では一番、低い身分で働いていたんでしょう?

 役立たずで大酒飲み。私は人間が大っ嫌いだけど、マーレットなんか一番嫌いだわ。

 醜くて、馬鹿で、下っ端の分際で威張ってる。お姉さまの聖なる王女の間に忍び込んで、可愛い子供たちを殺したから憎くて憎くてしょうがないの。ソフィアお姉さまだって、同じ気持ちよ」

「なるほど」

 王女は立ち上がり、他の子供たちと一緒に遊び始めた。

「国へ帰ったら、マーレットのマヌケな死にヅラを拝んでみたいものだわ」

 子供人形たちはママと一緒の遊びを楽しんでいた。ビュルトの視線は王女の方に向いていた。

 …死刑になるのは、オメーじゃねーの?…

 冷たい視線である。


 


続きます。

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