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スザンヌ主任、死す

 20話目突入です。

 その様子を見ていたスザンヌ主任は近くに立てかけてあったゴルフクラブを手にすると、背後からソッと走り寄った。

 そして、力を込めてエリザベルの左足を一撃!

「ギャー!」

 いきなりの衝撃で、エリザベルはその場で横転した。

 すかさず、スザンヌ主任は何度も殴打する。

 エリザベルは激しい痛みでのたうち回った。

 懐でウトウトしていたキディが振動で飛び出して床に転げ回り、壁に身体を打ち付けてしまう。

「ウィアン! ウィアン! ウィアン!」と手足をバタバタさせて泣き出したキディ。

 他の子供人形たちは怖くなって逃げ惑う。


 エリザベルが立てないのを確認したスザンヌ主任はマーレットの傍へ駆け寄った。

「大丈夫!?」と言って、スザンヌ主任はマーレットを抱き起こす。

「しゅ、主任さん! どうしたんですか!?」

「色々とワケが有ってね。それと…、231号はエリザベルはもう、人形管理局での登録が抹消されたわ。アナタはもう、あの凶暴人形もグータラな子供人形たちも面倒見る必要ないから」

「はぁ…」

「今までご苦労さん」

 これが2人の最後の会話になろうとは、マーレットもスザンヌ主任も気付く由はなかった。


 エリザベルが顔を真っ赤にして歩み寄って来た。

「スザンヌ! いきなり何なの!?」

 スザンヌ主任は立ち上がり、マーレットの身を守るようにしてエリザベルと対等し始めた。

「今まで大概、我慢して来たけど。もうこれ以上は、黙って見ていられないわ」

「何だと?」

「いつまで彼女に暴力を振るえれば気が済むの? 暴力振るう事しか、能が無いのかしら?」

「お前、聖なる王女様に対して、何と言う言葉遣…」

 スザンヌ主任はマーレットの言葉を制するように強く言い返す。

「王女、王女って連呼するのもイイ加減にしなさいッ!! 何が魔女王様の聖なる娘よ!?

 何が美しい心を持つ高級人形よ!? 馬鹿じゃないのッ!?」

「お、お前!? 誰に対して、そんな無礼な口を利く!?」

 側近から悪口を言われて、エリザベルは茫然となった。

 スザンヌ主任に対して初めて、怒りの思いが込み上げて来る。

 スザンヌ主任は躊躇いもなく、堂々とした態度を見せていた。

 クールな眼差しでエリザベルを見つめる。

「他に誰がいるって言うの? エルーナ、アナタしかいないでしょう?」

「私を呼び捨てにするな! 私は偉大なる王女なのよ!?」

 自らを王女と呼ぶエリザベルをスザンヌ主任は軽蔑な思いを寄せた。

「王女様ならね、それなりの品格と、知識や教養が要求されるものよ。でも残念ながら、アナタにはそんな微塵もカケラもない。これだけは、ハッキリと言えるわ。何の為に、このフリーラムランドへ来たのかしら? 人間社会に溶け込んで、色々と学んだりしてみたいって言った人は誰?

 実際は毎日、食べて遊んでばかりの贅沢三昧の生活。 

 その上、アナタの世話をしてくれる人間に対して感謝するどころか、暴力ばかり振るっている。

 ブラウンさんは、ワガママ放題のアナタや子供たちの為に仕事して…」


 ブスッ!


 鈍い音がした!

「主任さん!?」

 マーレットは目の前で起きた衝撃の展開に、愕然となった。

 もう、スザンヌ主任の内容深い話しは聞けないだろう。

 一瞬で変わり果てた姿になったのだから…

「ぐぁ…! ぐぁ…!」

 目を見開き、立ったまま身体を振るわすスザンヌ主任。

 口から多量の血が流れ落ちる。

「グダグダやかましい女ねぇ? お前はもう、私の側近ではないわ」と言って、スザンヌ主任の口の中を貫通したままの包丁を手放したエリザベル。

 崩れるようにしてその場に倒れこむ側近を、無表情で見つめるだけである。


 この後、エリザベルはスザンヌ主任の死体を抱きかかえて外へと出て行った。

「え、エリザベル…!」

 拳を握り、身体を震わすマーレット。

 心の奥底から怒りが込み上げて来るのを感じたのだ。

 しかも今度は、今までみたいに魔の焼印のパワーによって或る程度抑えられるものではないようだ。 段々と怒りのボルテージが上がるような感覚である。


 エリザベルの方は外へと出ると、スザンヌ主任の身体を力任せでバラバラに引きちぎった。

 その光景をグロリアスと45号ローズマリーは近くに停めた人形管理局のワゴン馬車の車内から見ていた。

 エリザベルの残酷な光景を隠し撮りする事を45号は怠らない。



 続きます。

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