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凶暴人形を隔離せよ!

 11話目です。

 さっそくグロリアスは調査部仲間のディック=ハミルやミミナ=ステラと一緒に人形管理局の自室で映像のチェックを始めた。

 スクリーンの前でローズマリー人形は自分の両目のカメラを起動させた。

「ちょ、ちょっとぉ! なーにコレッ!?」

 スクリーンに映し出される生々しい映像シーンにグロリアスは我が目を疑うぐらいの衝撃を受けた。

 ディックは青ざめた表情で映像に釘付けになり、ミミナは手で自分の口を押さえながら映像を観入る。


 一週間、毎日のように繰広げられているエリザベルのマーレットへの酷い虐待が克明に映し出されているのだ。

 カメラを投影しながら、ローズマリー人形が言う。

「これが231号(エリザベルの人形管理局の登録番号。ちなみに、ローズマリーは45号)の本性なのよ。人間の家庭で真面目に慎ましく生活しているって言うけど、実際は御覧の通り全く逆だって事が分かったわ」

 ディックが茫然とした表情で言う。

「ラミング先輩! これって明らかに、殺人行為ですよ!」

「単なるDVドメスティックバイオレンスで済まされるような問題じゃないわ!」

 ショッキングな映像を観て、ミミナも心穏やかではなかった。

 頭を抱え込むグロリアス。

「231号はちょっと異常な人形だって事は前々から思っていたけど、こんなに凶暴だったなんて知らなかったわね!」



 この夜…、

 ボレロ主任の指示でグロリアスたちは直ぐにマーレットの自宅を訪れて人形たちの身柄を確保した。 丁度、エリザベルが素っ裸のマーレットを投げ飛ばして遊んでいる最中での立ち入りである。

 見知らぬ人間たちが大勢、目の前に現われたものだからエリザベルは息付く間も無かった。

 グロリアスの指示で公安職員たちがエリザベルに手錠を掛け、素早く護送車に乗せた。

 キディを含む子供人形たちは怯えて泣きながら部屋中を逃げ惑ったが、公安職員たちは催涙ガス弾を発砲して人形たちを気絶させて捕獲カゴに次々と投げ入れたのである。

 気を失っているマーレットの方は救急飛行車で市内の医療センターへ収容された。


 エリザベルは両手に手錠を掛けられたまま、人形生物管理保護施設内の独居室に入れられた。

 突然の状況変化にエリザベルは茫然としたまま、部屋の壁を見つめるだけである。

 その様子をグロリアスは監視窓越しから観察していた。

 エリザベル…



 登録管理番号231号…



 凶暴性を持つ危険人形。


 グロリアスは7年前の状況を思い出した。


 人形と初めて会った時だった。

 人形はエオレル裏通りの一角で夜、雨に打たれながら泣いている所を保護されて管理局に連れて来られた。

 その時の人形は素っ裸でびしょ濡れの状態だったのをグロリアスは今でもハッキリと覚えている。

 寒さに震えながら佇んでいた哀れな姿が印象強く目に焼き付いてるのだ。

 どこから来たのか?

 どこ出身なのかは人形自身は記憶が無く全く覚えていないと言う。

 いつの間にか、一角で立っている自分に気付いたらしい。

 人形は管理局の方で231号として登録され、養護施設に収容された。

 純情で大人しい性格だから、とても扱い易い人形だった。

 スザンヌ主任やグロリアスたちとも仲良くなって、231号は穏やかな日々を過ごすようになった。


 2年ぐらいして、231号にも一般社会で人間たちと共存するチャンスが与えられるようになった。

 他の人形生物たちと同様に、一般家庭で人間と暮らすのだ。

 頭が良く、素直な一面を持っているから人間と上手くやっていけると管理局の方では231号に期待を持った。

 当の231号も早く人間の家で暮らしてみたいと強く願っているのだった。


 231号を引き取りたいと言う人形ヘルパーがすぐに名乗り出た。

 管理局の方では231号をエリザベルと名づけ、引き取り主に身柄を渡した。

 だが一ヶ月も経たないうちに、231号は施設に連れ戻された。

 先方でトラブルを起こし、人形ヘルパーを怒らせてしまったのだ。

 その後、すぐに2人目の引き取り主が名乗りを上げて来た。

 だが231号は2人目の所でも問題を起してしまった。

 純粋で大人しいと思っていたが、実は高飛車で自己中心的、その上嘘つきでかなりのワガママだって事が明らかになったのも2件の問題報告結果からである。

 管理局では231号を危険人形と見なして施設内で半永久的に保護隔離する事となった。


 そして3年前、友人のマーレット=ブラウンが自ら人形ヘルパーの資格を取った。

 グロリアスが長期出張の為、国を留守する事になったのはこの直後だった。

 フリーラムランドに帰国したのは半年前だった。

 231号がマーレットと暮らしていると知ってグロリアスは愕然となった。

 スザンヌ主任に真相を確かめるグロリアス。

「何で231号が又、人間と暮らすようになったんですか!? あの人形は危険だから二度と外へは出さないハズだったでしょう!?」

 グロリアスの疑問にスザンヌ主任は面倒臭そうな表情を見せながら答える。

「231号自身の強い希望だったのよ。今後は絶対に迷惑は掛けない。キチンと真面目に生活を送るから、もう一度チャンスを与えて欲しいって涙ながらに訴えて来たの」

「それで主任は、OKしたって言うワケですか!?」

「したわね。231号の反省ぶりと、強い熱意を見てOKしたのよ」

「主任ったら!」

 騙されているとグロリアスは勘付いた。相手の口車に乗せられたのだろう。

 スザンヌ=ボレロ自身、231号を異常なまでに親しみを抱いているから、相手の言う事をそのまま聞き入れてしまったのかもしれない。

 まあ、それは仕方がない事だろう。


 歯がゆいのは231号の面倒をマーレットに託した事だ。

 本当ならマーレットが面倒みる人形生物は240号のハズだった。


 240号…


 そう…


 フリーラム学園理事長夫人が面倒を見てる、あのビアンカである。

 マーレット自身も人形生物たちの写真を見てビアンカを指名していた。

 ディックの説明では、マーレットが人形引取りの手続きを行なう際にスザンヌ主任が231号への変更を強く促したと言う。

 231号の本性を知らないまま、マーレットはそのまま受け入れたってワケだ。

 240号のままでいれば今頃、マーレットは穏やかな暮らしをしていたかもしれない。

 グロリアスは今になって、その思いが強くなるのだった。


 ついにエリザベルは施設に連れ戻されてしまいました。

 果たして、今後はどうなる?

 続きます。

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