やはり、チョコは…
10話目です。
エリザベルの楽しい生活は続きます…
マーレットは自宅に帰って来ると、人形の方をすぐに秘密の隠し倉庫に入れた。
これだけは絶対、あの凶暴な大飯喰らい人形には渡す事は出来ないのだ。
ウルッドチョコの方はわざと、エリザベルの目に触れさせた。
ビニル袋を強引に取り上げ、中のケースを取り出したエリザベル。
その場で蓋を開ける。中身を目にしたエリザベルの表情が明るくなった。
「マァ、素晴ラシイ! 私ノ物ダワ! 気品溢レル、コノ私ガ、食ベル二、相応シイ、高級チョコネ!」
エリザベルも甘い物には目が無く、チョコも大好物なのだ。
マーレットは何気ないフリをして、ポツリと言った。
「あのエリザベル様…、それ…、友達から私に頂いた物ですが…」
エリザベルは呆気に取られ、怒りをあらわにした。
「忘レタノカ!? 全テノ物ハ、私ノ物ダト!」
「でも…、それだけは…」
「フザケルナ! 私タチノ、聖ナル食ベ物ヲ、欲シガルトハ! 何トモ図々シイ人間! 愚カ者ガ、恥ヲ知レッ!」
マーレットの頬に何度もビンタをするエリザベル。
怒りが治まらないのか?
部屋の壁に飾って有った真鍮製の十字架を手にして、マーレットの身体を激しく滅多打ち!
「え、エリ…!」
容赦ない殴打にマーレットは逃げる余地も無く、のた打ち回るだけである。
「オー、ホホホホホホッ! オー、ホホホホホッ!」
エリザベルは十字架を辺りに放り投げると、マーレットの衣類の襟を掴んで身体ごと引きずり始めた。マーレットは抵抗しようにも自由が利かず、相手にされるがままである。
「ミャハハハハハハハ!」
キディを初め、子供人形たちがマーレットの無様な格好に大笑いしている。
リビングの暖炉の所へやって来たエリザベル。
マーレットの身体を掴み上げ、炎が燃え盛る暖炉の中へ頭から放り込んでしまった!
「ぎぃあああーッ!」
暖炉の火が衣類に付いたからか、マーレットは激しく暴れ出す!
火だるまになりながら暴れるマーレットの姿を、子供人形たちやエリザベルが大笑いしながら眺め始めた。
マーレットは風呂場に駆け込むと、水の入った浴槽に飛び込んだ!
浴室内は辺り一面、水しぶきが上がり白い煙が激しく舞う!
エリザベルはゆっくりとマーレットを身体ごとリビングまで引きずって来た。
全身大火傷で、皮膚の殆どは赤くただれているマーレット。
顔も大火傷で酷い状態になっていた。
エリザベルは冷たい笑みを見せ、マーレットの顔を足で床に踏みつけて言った。
「下等ナ、人間ノ分際デ、聖ナル、コノ私二、図々シイ、態度ヲ、取ッタ報イ。十分二、反省シナサイ」
冷たい笑みを見せながらマーレットを見下しているエリザベル。
案の定、ウルッドチョコはエリザベルの物となった。
エリザベルは子供人形たちにも分け与え、一緒に食した。
「オィチィ! オイチィ!」
初めて食べるチョコに子供人形たちは大喜びである。
「コレモ。ミャミャギャ、チュキュッチャニョ(作ったの)?」とキディ。
エリザベル・ママは優しい笑顔で答える。
「勿論ヨ。ミンナノ為二、ママガ、一生懸命、作ッタノ」
「ウワー! ママー! チュッゴーイ(すっごーい)!」と子供たちは目をキラキラさせた。
チョコを食べながら楽しく語らう人形たち。
「うううー!」
人形部屋と化していたリビングの片隅ではマーレットが横たわっている。
チョコを食べ尽くすと、エリザベルは空になった木箱をマーレットの頭部に叩き付けた。
「イツマデ、寝テイル? 早ク起キル! 早ク起キル! 怠ケ者マーレット!」と言って、マーレットを足で何度も腹蹴りしたエリザベル。
その様子をローズマリー人形がジッと見ているなんて誰も気付く由もなかった。
エリザベルや子供人形たちの様子をも観察するローズマリー人形。
以来、ずっとブラウン家の中の様子をチェックして行くのだった。
マーレットさえも気付かないまま、ローズマリー人形はコッソリと動き出し屋敷中に監視の目を怠る事はなかった。
重要だと思う部分は眼球を兼ねたビデオカメラで確実に撮影して行く。
人形がグロリアスに返却されたのは、1週間後である。
続きます。




