↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

かたってはいけない婚約破棄

作者: 椎名正
掲載日:2026/09/04

 アンネリーゼ伯爵令嬢の証言


 知りません!

 私は何も知りません!

 婚約破棄の後でノラ様がどうなったかなんて、私は知らないです!





 ハンナ伯爵令嬢の証言


 いまさら婚約破棄の話が聞きたいとおっしゃられても、わたくしからは特別なことは何も話せませんよ。

 わたくしが知っていることは、みなさんがご存知のことしかないですから。

 婚約破棄で起こったことは、私達貴族の社交界でのおしゃべりで語り尽くされてますし、一般庶民のゴシップ紙を拝見させていただきましたがほぼ正確に書かれてましたよ。

 王子の婚約者だったノラ様が、舞踏会の場で婚約破棄宣言をされた。

 わたくしが知っていることはそれだけですし、あなたもそれは知っているでしょう。

 その後ですか?

 あの後、舞踏会場は騒然としていて、ノラ様の姿がいつの間にかに消えてましたね。

 王子は、確か・・・

 ・・・

 ああっ!

 そんな、

 まさか、そんなことが、

 知らない!

 わたくしは何も知らない!

 ノラ様のその後がどうなったかなんて、わたくしは知りません!





 リンダ伯爵令嬢の証言


 はいはい。私がリンダ伯爵令嬢で、王子の新しい婚約者ですよ。

 で、なんで王国唯一の格式ある新聞社が、あんなスキャンダルを調べてるの?

 ゲスなゴシップ誌がさんざん書き散らしたでしょう。

 王様直々に正確な記録を残す必要があるからと、プロの記者に調査を依頼した?

 なるほどね。

 だから私達令嬢達が、強制的にあなたの家まで足を運んで証言しなくちゃいけなくなったのね。でも、ゴシップ誌に書かれた通りよ。

 舞踏会場で王子が婚約破棄宣言をして、ノラ伯爵令嬢が王子の婚約者ではなくなった。そして、次の王子の婚約者に私がなった。

 それだけよ。

 調べるまでもないでしょう。

 他の令嬢の方々もそう証言しているでしょう。

 えっ?

 みんな様子がおかしい?

 なにそれ?

 話している途中で何かを思い出したかのようになって、何かに怯え始める?

 こわっ。

 新手の怪談?

 何を思い出したって言うのよ?

 私の前はハンナ様がここに来たでしょう。ハンナ様も何かを思い出したの?

 婚約破棄した後の舞踏会での王子の様子?

 別に王子に変わったことは・・・

 ・・・

 おおっ!

 嘘でしょう。

 そんなはずはないわ。

 そんな、

 まさか、そんな。

 知らない!

 私は何も知らないわ!





 アメリー伯爵令嬢の証言


 婚約破棄の後に、舞踏会で何があったかですか?

 何もなかったですよ。

 次の日、ノラ様は元気に伯爵令嬢の仕事をしてましたからね。

 まあ、王子の婚約者の地位なんて、ノラ様にはどうでもいいことでしたから。王子が勝手に盛り上がって婚約破棄しただけですからね。

 次の婚約者に指名されたリンダ伯爵令嬢も、王子が勝手に盛り上がっちゃただけなんで、ノラ様とリンダ様は仲良くお仕事を一緒にされてましたよ。

 その後でノラ様がいなくなった理由?

 あれ?そっちのスキャンダルは知られてないんですか?

 鬼軍曹がいなくなったのは・・・

 はい?

 あっ、すみません。鬼軍曹と言うのは、ノラ様のあだ名で、本人にはないしょでしたが。

 ノラ様が社交界デビューする前は、この王国の社交界はそれはひどいもので、陰口と足の引っ張り合いまみれだったんですよ。

 そこにノラ様が社交界にデビューして、あっという間に社交界のトップに立って、社交界大改革をやったんですよ。

 貴族たるもの清廉潔白で陰口なんて言語道断。破った者は腕立て百本。

 ノラ様は外国育ちで、そこの軍隊にも入隊経験があるそうで、私達は逆らえる者はいませんでしたね。

 ノラ様のおかげで、今の風通しのいい貴族社会になったんですけど、二度と腕立て伏せはやりたくないですね。

 ええっと、話が脱線しましたね、ノラ様がいなくなった理由ですよね。

 あの鬼軍曹、平民に恋しちゃったんです。

 それで、貴族の身分を投げ出して、出奔しちゃったんですよ。

 私達は大爆笑しましたよ。あれだけ怖かった鬼軍曹が、平民の男に惚れて全てを投げ捨てていなくなったんです。

 腕立て常連のアンネリーゼ様なんて、堅物女が遅い初恋すると極端に走るから怖いわとか言って腹を抱えて大爆笑してましたね。

 相手の男性はよくわかっていないですね。

 でも、まあ、あの鬼軍曹ならどこにいってもうまくやっていけるでしょうし。相手の男性にも、貴族の娘だったことを隠していたみたいですが、それも完璧にやるでしょうからね。

 お茶のおかわりですか、いただきます。

 奥様、ありがとうございます。はじめましててててて?

 ノ、ノラ様?

 ああっ、そうか、みんな様子が変になったのは、何かを思い出したわけではなくて・・・

 は、はい?

 な、なんですか、旦那さん。

 鬼軍曹?

 言ってませんよ!

 私は鬼軍曹なんて言ってませんよ!

 ノラ様が婚約破棄の後、どうなったかなんて、私は知りません!

 知りませんてば!

 私は何も知りません!


   おわり


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。