青と赤のはざまで紫にならずに
掲載日:2026/05/02
ブルーライトの日常のなか
丸眼鏡の男が
よそよそしく笑っている
見上げればベランダに身を乗りだし
いまにも落ちてきそうだ
毒のない途切れとぎれの蛇が
ぼくのなかに染み込んで
のたうちまわる
脱がれた鱗皮は乾いた五月の公園をわたる風
渦とも戸愚呂ともつかぬまま溶けていく
溜息になった卵がやがて孵化する
瞼にかかった薄膜をとおして見えるのは
滲んだ風景と煌々と凍りついた星
輝け! 輝き揺らいでその身を燃やせ
日蝕のなかで微笑む垂れ目の男に逢いたいのだ
彼もまた
見上げればベランダに身を乗りだし
いまにも落ちてきそうだ
ぼくを愛して! と歌いながら
知ってるだろ? と歌いながら
水のオペラハウスで




