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過保護すぎてパーティを追われた無自覚万能冒険者は、ダンジョンで双子亜人の子育て中  作者: 水都ミナト@3/10【魔物解体嬢】②巻発売


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第20話 小屋を作ろう


 それからさらに三日。



「相変わらず早いな」


「ん? そうか? 丁寧に作ってるから結構時間がかかっているぞ」



 みんなに小屋を建てると発表した日から作業を始めて三日目。

 小屋の骨組みが完成し、丸太を積んで壁と屋根もまもなく出来上がる。


 俺がざっくり必要な分の木を伐採し、みんなで運搬する。それから双子とシャムには樹皮を剥がし、表面が滑らかになるようにヤスリで磨いてもらった。

 木材が用意できれば、あとはそれぞれを噛み合わせる窪みや出っ張りを作って組み上げていくだけだ。



「簡単だろう?」


「その綿密な作業を簡単と言ってのけるお主の気がしれぬわ」



 ヴェルデは終始呆れた顔で見守っている。


 建築ギルドの大工の棟梁に弟子入りして習得した秘伝の技術だが、一ヶ月ほどで青い顔をした棟梁に免許皆伝だと言われて現場を追われたんだよな。

 もっと技術を盗みたかったから残念に思ったものだ。まあ、お陰様でちょっとした道具作りや小屋を作る程度であれば造作もない。


 小屋は二階建てにした。部屋は五つ。

 一人一部屋と、大きめの寝室だ。そしてリビングとキッチン。

 それぞれの部屋が二階に位置し、一階は共有スペースになっている。


 釜戸をキッチンから出られる扉の側に移動して、雨除けのために屋根をつけた。


 風呂とトイレも小屋の横に別で建てた。ちなみにトイレには洗浄魔法と圧縮魔法を施しているので、衛生面には問題ない。圧縮・乾燥した排泄物は堆肥として畑に撒く。


 うん、いいんじゃないか?


 木製の窓もつけたし、各部屋に魔鉱石を加工して作ったランプもつけた。魔鉱石はダンジョンを探索すれば割とすぐに見つかるので入手には困らない。加工がしやすい素材で便利なんだよなあ。


 ランプは魔力を流せば発光する仕掛けになっている。魔鉱石の加工や魔道具の作成は、本来魔道具士の専門領域である。


 もちろん俺は習得して便利なことが明白な加工技術を得るために、魔道具士のじいさんに弟子入りをして修行を積んだので、自分で魔道具が作れる。


 鼻歌を歌いながら加工をしていると、またヴェルデが白い目で見てくるが気にしたら負けだ。



「小屋はできたし、あとは家具だな。テーブルと椅子、それからベッドも作ろうか」


「ベッド!」


「冬に備えて羽毛布団も作っておこうか」


「ふとん!」



 今みんなが使っている麻袋に落ち葉を詰めた布団は、定期的に中の葉を詰め替えて使っている。それなりに保温性に優れてはいるが、冬を越すためにはやはり羽を詰めたいところだ。


 双子とシャムは、自分たちの家となる小屋作りが大層楽しいようで、いつも鼻歌を口ずさみながら作業をしている。時折踊っているが、手は止めないので何も言うまい。


 小屋自体はほぼ完成したので、続けて家具作りに取り掛かる。

 風魔法で木を削り、ベッドの木枠を作っていく。

 アルクとシエル、それからシャムに、俺の分。


 あと、当面三人は一緒に寝るだろうからクイーンサイズのベッドも一つ。寝室用だ。


 ベッドに敷くマットは、藁を編み込んだものを持参して布でしっかりと包み込んで作った。強度には自信がある。


 四人分のマットと、あと布団にも布を使うので、次に街に出たときにはまた十分な布を仕入れておかなければならない。布、めちゃくちゃ重宝する。


 リビングのテーブルの作り方を三人に見せながら教え、自分たちの部屋の分は自分で作らせた。もちろんフォローはしたが、三人とも懸命に作っていて味のあるテーブルが出来上がっていた。


 三人がテーブル作りに四苦八苦している間に、余った木材でみんなの分の椅子を作ってしまう。よし、これで大方の家具は完成だな。


 早速リビングのテーブルと椅子にみんなで着席し、羽毛布団作りについて説明を始めた。



「ロックバードは知っているな?」


「岩場に生息する魔物だにゃあ」


「ああ、そうだ。ヴェルデがたまに狩ってきてくれるだろう? だから、一定数はこの隠しダンジョンに生息しているんじゃないかと思う。俺もまだ遠方までは探索していないが、ツリーハウスから見たときに遠くに見える岩山があるだろう? あの辺りに目星をつけている」


「とおいね」


「とおいよね」


「そうだな。結構な距離があると思うから、泊まりがけになるだろう。岩場でロックバードを倒して、羽をいただく。その羽を詰めて羽毛布団を作ろうと思っている」



 実際、ロックバードの羽は高級品で、王都でもロックバードの羽毛布団は需要が高い。



「面白そうだにゃあ」



 興味津々で楽しそうに尻尾を揺らすシャムに対し、アルクとシエルは神妙な顔をしている。



「できれば、自分の分は自分で。分かるな?」


「う、うん」


「わかった」



 つまり、自分の布団の分は自分でロックバードを倒して羽を頂戴するということ。


 二人にとって初めての実戦だ。

 二人の表情は少し硬いが、その紅い瞳と蒼い瞳には決意の色が滲んでいた。


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