第74話
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「先生おはようございます」
いつものように正門で新山先生に挨拶をする。はじめこそ緊張したものの先生と世間話をしながら教室まで歩く時間は結構楽しい。
でも朝は先生たちは忙しいだろうから無理をしていていないか心配。
特に最近は停学になった生徒たちの件があったから、今日なんて俺が挨拶してからこちらに気づいたし顔色も少し悪そう。
「あ、武人くん、おはようございます」
やっぱり。今日は少し調子が悪そうにみえる……リラクセーションとヒーリングでどうにかできないかな。
リラクセーションはなぜか使い易い(無意識に使っているため熟練度が高いが自覚無し)ので距離が離れていても大丈夫そうなんだけど……よし、やっぱり大丈夫っぽい。
次にヒーリング。俺の認識ではヒーリングは触れていないと効果が薄い気がするんだよな。
でもしないよりはマシだろうと、先生に触れずにヒーリングを使う。
少しでも楽になってくれよ……ふぅ(この間、挨拶してから5秒くらい)
一瞬だけ、先生が不思議そうな顔をしていたが気づかない振りをしてミルさんを先生に紹介しよう。
あ、その前にミルさんが近くに居るのか確認してからでないと、ミルさん俺から少し離れて着いてきてくれてたから、おっと、いつの間にか俺の隣、一歩下がった辺りに居たよ。
「先生、保護官のミルさんです。昨日からお世話になってます」
「武人様の保護官を務めます面堂未留と申します」
太っちょ変身チョッキを着ていて動きづらいはずなのに、ミルさんは綺麗な動作で頭を下げる。
「保護官? え、あ、1年A組、剛田武人くんのクラス担任をしてます新山美香と申します。よろしくお願い致します」
突然のことに先生が少し戸惑いはしたがすぐに状況を理解してくれてミルさんに頭を下げていた。
「校長先生にも挨拶に行った方がいいですか?」
「私の方から伝えておきますので大丈夫ですよ」
それから保護官と契約した経緯を簡単に話しつつ教室に向かう。
本来、部外者が校内に入るには事務室で入校許可証をもらう必要があるが、ミルさんの胸には誰が見ても男性保護官だとすぐに分かるような保護官バッチがあるので入校許可証は必要ない。
「はーい。皆さん席に着いてください」
いつものように先生が入り俺も続けて教室に入る。だが今日は俺の後にミルさんが入ってくる。
「誰かな」
「あのバッチ」
「男性保護官?」
少し教室内がざわついたけど、すぐにそのざわつきも収まる。俺が先生の隣に立ち、その隣ミルさんが立ったからだ。
先生がみんなにミルさんのことを説明してくれた後に俺は自分の席に戻るがミルさんは教室の後方に移動した。
ホームルームの後にミルさんが腰掛ける椅子を先生が持ってきてくれるそうだ。
————
——
やはりこの姿で正解でした。みんな(女子生徒)の私に向ける感情は無色。つまり私には何の感情も抱いていないようでホッとしました。
ちらちらと武人様を眺めるクラスの女子。思っていた通り、武人様はみなさんから好意を持たれているようですね。
ただその人数が予想以上に多いようですが……
特に武人様の両隣に座る小さくて可愛い子。あと後方に座る綺麗な感じの子たちは誰が見ても分かるほど武人様に好意を寄せているようです。
授業中に武人様へと向ける視線の数も多いですし。
しかしクラスメイトほぼ全員から好意を寄せられていて、何も問題が起こってないというのはやはり、武人様の念能力によるものが大きいのかも知れませんね。
ん? やはりというか、思ってた以上に武人様の情報を集めようとしている輩が多いようです。
これは気が抜けませんね。そんなことを思いつつ、周囲を警戒していると1限目が終わり、
「ミルさん、次体育だから体育館に移動しますよ」
武人様からそんな声がかかる。
「はい。私は武人様の後ろをついていきますので武人様はいつものように皆さんと一緒に行動して下さい」
武人様が私を気遣ってくれましたが、周りの女の子たちは一緒に行きたくてそわそわしてますからね。
私がそんな女の子たちに視線を向ければ、それに気づいた武人様が一緒に行こうと誘っていた。その様子を遠巻きに眺めていると、
——?
あの子たちは武装女子の子たちである事に気づいた。素顔はそんな感じでしたか、だから他の子たちよりも仲が良さげなのですね。
自分でも理解できない、少し寂しいような不思議な気持ちに襲われたが、
「ミルさん。ちょっといいですか?」
武人様から呼ばれて、その子たちを紹介してくれたらそんな気持ちもいつの間にか消えていた。
「さき様とななこ様とつくし様とさちこ様ですね。私はミルと申します。今後ともよろしくお願いいたします」
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