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やらかしていた男子ぼちぼち頑張る。  作者: ぐっちょん


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第64話

ブックマーク、評価ありがとうございます。

 えっとどうしようかな。俺は許すよって言ったのに、彼女たちはそれでも気にしている様子でどこか、しょんぼりと肩を落とし俯いている。


 カラオケボックス内の空気もどこか重い……


「えっと、順番抜かしちゃうけど、次は俺が歌ってもいいかな?」


 次は小宮寺さんの番だったけど演奏を停止にしたままだし、歌いにくそうにしていたから俺の方から声をかけた。


「え、あ、うん。ありがとう」


 俺は謝られた本人だから、気にしていないってところみんなにを見せれば少しは雰囲気もよくなると思ったからだ。


 せっかくみんなで頑張った文化祭の打ち上げなんだから楽しまないと。


 俺はすぐに『アッチコッチ』というアニメソングを入れた。


 これは高校女子ソフトボールで全国大会を目指す双子の姉妹がヒロインで、その姉妹を応援する幼馴染の男の子がヒーローとして、ソフトボールと恋愛を絡めた学園もののアニメでそのオープニング曲だ。


 この曲は前世でも似たような曲があったので覚えやすかったからライブで歌う曲の候補にもしていた曲の一つなんだ。


 ♪〜


 テンポがすごくよくて歌い易いから好きなんだよね。俺は盛り上げたくて心を込めて歌った。


 ——あれ? この歌って……


 歌いながら気づいた。この歌、歌詞がけっこう切ないということに。

 恋する女の子の心情を描いた歌だったよ。男の子に振り向いてもらいたくて頑張っている感じの。


 俺の前に歌っていた子たちの場合、周りも曲のリズムに合わせて手拍子やタンバリン、マラカスなんかを使って場を盛りあげていたのに今はそんな子はいない。


 これは選曲間違えたかも、そう思った時にはすでに遅く、


 う、うう……ぐすっ……


 みんなが目元を押さえたり擦ったりして、鼻をぐすぐすしている。


 やばいどうしようかと先生を横目にチラリと見れば、先生もハンカチを目元に当てている。


 ——だ、ダメだ。


 これ俺が歌い終わったら余計にシーンとするパターンかも。みんなごめん。そう覚悟していたけれど、


 パチパチ……


 俺が歌い終わると同時にみんなから拍手が起こる。


「武人くん、すごくよかったよ」

「やっぱりうまいね」

「もう一回聞きたい」

「やっぱり武人くんの歌声好きだな」


 つくしたちだ。つくしたちがすぐに拍手をしてくれたからみんなもそれに合わせてくれたんだ。


「みんな、ありがとう」


 それからは少しずつ雰囲気も良くなりなんだかんだで2時間くらいみんなで歌い、最後は『モード』という女性ロックバンドグループが昔歌っていた『負けたくない』をみんなで歌って終わることにしたが、マイクが4本しかなくて、8人ずつ固まって歌った。


 みんな引っ付きすぎじゃないかと思うくらい引っ付いてくるから戸惑ったけど。8人もいれば近くに寄らないとマイクが声を拾わないからね、でも楽しかった。


「武人くん、これ」


「ありがとう」


 帰り際につくしから手渡されたのは新しいオリジナル曲が入ったミュージックン。

 今回の曲はさきが作った曲なんだとか。そういえば4人とも作詞作曲ができるんだって、すごいよね。


「えっと、か、歌詞は後からMAINで送るから」


「それは助かる。ありがとう、さき」


「う、うん」


 お礼を伝えればさきの顔が一瞬で赤く染まりうれしそうに笑みを浮かべる。

 作り笑いじゃないと分かるから俺までうれしくなるね。


「あ、それと……これのこともみんなに伝えてくれてたの?」


 それはブレスレットのことだ。先生みたいにみんなにも説明しないといけないのかなと思っていたけど、誰からも尋ねられることはなかった。


 ちらちら見てくる子がいたから気づいてないってことはないはずなのに。


 だからさき達がみんなに前もって伝えてくれたんじゃないかと思ったが……


「大丈夫。みんなにはちゃんと説明したよ」


 ななこが親指を立てている。ということはななこがみんなに説明してくれたのだろう。ありがとう。


「グループチャットでちゃんと説明しといたから武人くんは何も心配しなくていいよ」


 あれ、さきまでもそんなことを言うということは……


「うん。バンドメンバーみんなでうまく伝えたから」


 それからみんなと解散して俺はテレポートで自宅まで帰ったんだけど、俺たち『武装女子』のメンバーは誰も気づいていなかった。


 文化祭のライブにきていた知り合いのネッチューバーたちが揃って『武装女子』の初ライブの映像をネッチューブにアップしていっていたことを。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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