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やらかしていた男子ぼちぼち頑張る。  作者: ぐっちょん


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第58話

ブックマーク、評価ありがとうございますm(__)m

 記念撮影会が終わり俺はお礼と謝罪を兼ねて文化祭実行関係者の皆様に頭を下げて回った。

 かなりの無茶を言ってしまったから……


 さき(君島)さん、ななこ(深田)さん、つくし(霧島)さん、さちこ(牧野)さんも一緒に謝ってくれた。


 急いでいたから詳しくは話せなかったけど、家庭の事情を少し話したら一緒に頼んでくれたんだ。


 ホントいい子たち、彼女たちのそんな気持ちに涙が出そうになったよ。


「ううん、いいのよ」


「結果的には盛り上がりましたし、みんなも喜んでいましたから、今後はこういった時間をプログラムに入れておくのも悪くないですね」


「もちろん進行が遅くなった分、武人くんたちには片付けを手伝ってもらうわよ」


「はい。それはもちろんです」


 手を振りながら会場(体育館)を出て行く観客だった皆さんを見送りつつ片付けを張り切って手伝う。


 俺のせいで母さんと妹にはたくさん迷惑をかけた。

 心労で倒れたあと入院が必要だと病院の看護師の方から連絡をもらってから一度も会うことなく弁護士を通して絶縁状がきたから母さんと妹からは嫌われていると思っていた。


 それなのに、妹が俺に会いにきてくれて…… 俺のせいでいっぱい嫌な目にあったはずなのに。そんな事を考えたら胸が熱くなった。うれしかった。手を振ってくれた。


 家族3人で過ごしていた懐かしい日々を思い出し色んな感情が込み上がってきた。

 母さんがいて妹がいて、あの変化の少ない日常がよかったのだと、涙が出そうになった。


 その感情はライブが終わっても続き、気づけばステージの裏でハンカチを目元に当て「すごく良かったです」と褒めてくれた文化祭実行委員の先輩方に頭を下げていた。


 記念撮影をしたいのでその許可をくださいと。もうちょっと言い方は違ってたかもしれないけど、そんな感じのことを言って頼んだ。


 せっかく妹に会えたからとか、こんな機会は二度ないかもとか考えたら写真の1枚くらいは思い出に欲しいと思ってしまったのだ。


 でも普通に妹に近づけばまた迷惑をかけてしまう。


 無茶振りもいいところだけど、文化祭実行委員の先輩はすぐに責任者の先生に連絡してくれて30分なら時間がとれそうだと言ってくれた。


 さすが文化祭実行委員を任されている先輩なだけあって仕事は早かった。

 すぐにあちこちに連絡を入れて、先輩は俺たちと一緒にステージに上がってサプライズのイベントですと場を盛り上げてくれた。


 一瞬冷や汗が出た。一学生いちがくせいでしかない俺たちとの撮影がはたしてサプライズとなるのかと。なんて思っていたら今日演奏した他の皆さんも合流してくれて一緒に撮影することになったんだ。よかった。


 しかも、みんな俺たちの演奏を聴いてくれていたらしいし、みんなには感謝しかない。


 思わず先輩の方を見たら上手くいってよかったと、サムズアップしていた。


 希望者(小数)とちょっとした撮影会をと考えていたのに、まさかの会場にいた皆様(ほぼ全員)と記念撮影することになっていたのには驚いたけどね。


 信じられないよね。でも懸念は妹たちが帰ってしまうことだ。

 妹が残っていることを祈りつつ必死に探したら、写真を一緒に撮りたい人の列に並んでくれていてホッとした。


 撮影の際、距離が近くなった事で顔見知りになっていたネッチューバーのみんなが話しかけてくれたけど、そのほとんどが俺たちの演奏とそれを見た感想を動画にしてアップしていいか、なんてことだった。時間も限られていたから何も考えずに頷いたけど、よかったかな……


 マサカ社のアイドルグループ(ジャニュアリー)でありメイクアップゆうチャンネルのゆうたちも、こっちの県であるイベントを理由にしてわざわざ足を運んでくれたみたい。

 ゆうとみいから両腕を左右から引っ張られて今度ゲスト出演してって頼まれた気がするが……周りが騒がしくてなんて返したっけ。後でMAINで教えてって言った気がする。


 他には、新山先生はずっと泣いてたし香織さんは俺の隣をキープできて満足気。

 何か話しかけられたけどやっぱり周りがうるさくてよく聞こえなかったんだよな。


 打ち上げがどうのこうの……言われたような。聞き直そうにも香織さんは撮影が終わったらすぐに押し出されるようにステージから降りてしまったから後でMAINをしないと。


 短い時間での撮影会だったので急ピッチで進めら目が回りそうなほど忙しかったけど、妹とも無事に撮影できたので頑張ってよかった。


 感極まって咄嗟に抱きしめてしまった時は自分でも驚いた。キモイって突き飛ばされなくてホントよかった。


 片付けを終えると、すぐ閉会式となったが閉会式の時にはみんなも落ち着いていて、つつがなく終わった。


 通常ならここで教室に戻って解散となるが、俺たちバンドメンバーは混乱を避けるために、ステージ裏に留まっておくように先生方から指示があった。


 なぜ? と思いつつチラリと外を覗き見れば外部のお客さんがまだかなり残っていた。

 みんなは男装をやめて制服に着替えればバレないかもしれないが俺は無理だった。


「みんなホントにありがとう」


 改めてみんなにお礼を伝える。バンドに誘ってくれたこと、みんなでバンドの練習したこと、息抜きに遊びにいったこと、色々あったから。

 もし俺がバンドをしてなかったら妹にも会えていなかっただろう。そんな気持ちを込めて。


「ううん」

「私たちも楽しかった」

「やっぱり音楽はいいよね、ね、つくし……つくし?」


 にこにこと笑顔になるさき(君島)さんとななこ(深田)さんとさちこ(牧野)さん。ただつくし(霧島)さん一人だけが俯いていた。


「私のせいだ」


「?」


「つくし……」

「つくしさん」


「だって……」


 どうやらつくしさんは音楽関係者の方から声をかけてもらえるだろうと思っていたようだ。


 でもそれがなかった。その理由が自分の作った曲が悪かったせいだと言いたいらしい。


「そんなことないよ『君の側で』はすごくいい曲。俺は大好きだよ」


「そうだよ。それに音楽関係者の方、今回はたまたま来ていなかっただけかもよ」


 つくしさんが首を振る。


「私見たの。三年生の先輩たちが演奏が終わった後に声をかけてもらっているのを」


 名刺をもらった先輩たちが大喜びしてたから間違いないはずだとつくしさんが言う。


「……ほ、ほら私たち、終わった後バタバタしてすぐに撮影会になったからじゃない?」


「そうかも知れないけど、武人くんは目立つから片付けている時に声くらいはかけれたと思う」


 たしかに。黙々と片付けをしていたが、話しかけられたら普通に会話くらいはしていた。


「……」


 ——もしかして……


「つくしさんは音楽関係の道に進みたかった?」


 そうであるなら少し申し訳ない。俺はみんなと文化祭を楽しむくらいにしか思っていなかった。


「そうじゃないけど、私みんなとバンド続けたかったし、武人くんの歌をもっともっと聴きたかった。それに……」


「それに?」


「た、武人くん、そこは女の子にも色々とあるのよ」

「そうそう」

「そうだよ武人くん」


「?」


 バンドを続ける理由に女の子の色々? 分からな……


 ——はっ!


 俺はそこでピンッときた。働かなくても食べていける男性と違って女性は生活していくには稼がないといけない。


 将来の生活資金? いや、それとももっと身近な事で、そう経済的にもともと不安があってバンドを続けることで資金を得て生活を豊かにしたかった?


 4人に派手さは感じられない。浪費家って感じはしないもんね。


 そう言えば、さちこ(牧野)さんはお弁当チャンネルを持っているがそれは大学進学資金を稼ぐためだとはっきりと言っていた。


 経済的なことは軽い気持ちでは聞けないからその可能性は充分にある。つくしさんは二曲目もできたって言っていたしね。


 ——それなら……


「じゃあ、みんなが良ければこのメンバーでバンドのチャンネルでも作って活動を続けてみようか? でも正直俺は過去に色々やってるから俺がチャンネルを開設することはしたくない。

 だから、つくしさんたち4人で開設してもらうことになるけどね。

 それで仮に収益化できたら4人で分けて余った残りをバンドの活動資金にしてくれるといいかな」


「え」


 ま、それで納得してくれる彼女たちじゃなかったんだよね。

 バンドは続けたいからチャンネルの開設はするけど、収益化した後の分配は6等分にするからと念を押された。


 5人で分けて1人分が活動資金に、それで問題があればその都度話合えばいいとね。


最後まで読んでいただきありがとうございますm(__)m

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