第35話
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今日は登校日だ。霧島さんから借りているミュージックンを聴きながら登校するとしよう。
♪〜
時間がある時はずっと聴いていたから、さすがに歌詞は覚えたよ。
うまいかどうかは別として歌も歌えるようになった。まだまだ練習は必要だけど、なかなかいい感じだと思う。
歌を口ずさみながら歩けば、すれ違った女性がこちらに振り向いた。
——あ……
思ったより大きな声が出ていたのかも。
恥ずかしいから、気づかないフリして少し早歩き。誰もいなくなったところで今度はもう少し静かに口ずさむ。
♪〜
歌いながら歩いていたせいか、いつもより学校に早く着いた気がする。
「先生おはようございます」
「剛田くん、おはようございます」
いつものように先生が待っていた。先生の姿勢は背筋がピンと伸びてて綺麗なんだよね。
なんて事を考えながら、ミュージックンのイヤホンを耳から外してカバンにしまう。
先生、朝からすみません。忙しいですよね? 特に用事がなければ俺一人でも教室くらいは行けますよ。ん? 朝の仕事は終わらせてるから大丈夫? そうなんですか、なんだか悪いですね。
「いいのよ。それより剛田くん。今週の金曜日から念力の授業が入りますけど本当によかったのですか。
もちろん一度も授業を受けたことがない訳ですから出来なくて当然なんですけど……」
先生がとても不安そうな顔をしている。念力の授業って、そんなに難しい授業だったのかな。
「はい。ありがとうございます。おそらく授業にはついていけないと思います。でも、どんな授業なのか興味があったんですよ。だから大丈夫です」
だって前世には念力なんていう不思議パワーはなかったからね。テレポートだって使用回数がなぜか増えてるし、知らないだけでもっと上手く使う方法だってあるかもしれない。
「分かりました。でも何かありましたらすぐに相談してください。もちろんそれ以外のことでもです。 こんな相談しても無意味とか、考えたらダメですから、いいですね」
歩いていた先生が突然立ち止まり、俺の右手を両手で包みぎゅっと力を入れる。これは返事するまではなさいぞ、ってことかな。
「は、はい。分かりました」
「絶対ですからね。君は肝心な時ほど一人で抱え込んで、何も言わないから……必ず相談するのよ」
そうでないと先生も動くに動けないのよ、と悔しそうに呟く先生。
学校側も男性に対しては色々と制約があるのかな……そういえば、制服の相談した時は真っ先に来てくれたっけ。
————
——
「はい! 皆さん席に着いてください」
先生と一緒に教室に入れば、やっぱり教室内は一瞬で静まりかえる。
——ん?
今日はいつも以上にみんなからの視線を感じるけど、なんだ?
気になるけど、朝のホームルームの時間なのでみんなで朝の挨拶をしてから出席確認後は、先生の話に耳を傾ける。
俺が週一日から週三日になったことは昨日のうちに伝えられていたようで、先生が話の流れで軽く触れる程度だった。教室内も別にざわつくことがなかった。
「霧島さん、これ」
ホームルームが終わり、授業前の休憩時間。俺は隣に座る霧島さんにミュージックンを見せた。
「すごくいい曲だったよ」
「あ、ぅん」
霧島さんの顔が一瞬で赤くなった。もしかして、これって他の人に内緒だった? あ、でもまだ何も変なことは言ってないからセーフなはず。
「その曲いい曲だよね」
俺の背後から牧野さんの声がする。顔を赤くしたまま固まっている霧島さんへの助け船かな。俺も助かったよ。
「だよね」
で、牧野さんはどこまで知ってるのかな? ちょっと小声で聞いてみる。
「ひゃい、あの、その……」
小声で話そうと、耳元まで顔を近づけたら牧野さんまで顔を真っ赤して固まってしまった。なんてことだ。
「あ、ありがとう剛田くん」
すぐに霧島さんが復活したから事なきを得たけど、牧野さんは……このまま放置でいいかな。休み時間も短いし、さっさと要件を話さねば。
「一応、覚えてきたけど霧島さん何かするの?」
真っ先に思いついたのが、霧島さんも牧野さんと同じように音楽関係のネッチューバーで、俺に参加して欲しかった、くらいのものなんだけど。
「ううん」
しかし、霧島さんは首を振った。どうやら霧島さんはネッチューバーですらないみたい。だったら何だろうと考えていると、
「剛田くんは音楽番組とか見たりする?」
霧島さんがそんなのことを尋ねてきた。
ニュースくらいなら見てるけど、最近は他のテレビ番組は見てないかも。
というのも、あかね色々チャンネルさんにお邪魔するから、一緒に楽しめる程度には操作できないとと思い、ゲームの練習をしたり、隙間時間には大好きな念動の練習をしているからね。
「そっか、剛田くんは見てなかったんだ……」
「?」
キーンコーン。
そこで予鈴がなったので話はここまで。続きは昼休みか放課後になるかな……
なんて思っていたのに、次の休み時間には霧島さん、牧野さん、君島さん、深田さんが、俺の机の周りに集まってきた。
四人が頷き合い一番はじめに口を開いたのは君島さんだった。
「剛田くんを有名人にします」
「ん?」
ちょっと変なことを口走る君島さん。周りのみんなも呆れてるよ。
「ご、ごめんなさい、あの私たちとバンド組んでください」
「バンドですか?」
突然のことに意味が分からなくて深田さんの方に顔を向ける。こんな時、意外と頼りになるのが深田さんだ。
なになに、2ヶ月後にある文化祭で演奏したい? なるほど、文化祭で演奏するためのバンドなのね。そのために霧島さんはオリジナル曲まで作ったの? 完成度の高いいい曲。俺は楽しく歌うだけでいいの?
「そうなの? ん〜、どうしようかな。あ、でもせっかく霧島さんの曲覚えたしな……ちょっとやってみたいかも……ん?」
俺がそう言った瞬間、教室内が少しざわついた気がしたけど、気のせいか……
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