第124話(肥田竹人視点)
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俺は肥田竹人、16歳だ。
俺は16歳になった4月に妻ができた。どうでもいい事だが男性では最速記録だったらしい。
その妻となった女は母が連れてきた35歳の女だった。働くことが生きがいだという女。考えるのも面倒だったから俺の邪魔さえしなければ好きにすればいいと言ったら次の日には結婚していた。
男は20歳までに1人は妻を持つ義務があると自宅を補助金で購入した際に聞かされていたから都合はよかった。
実際、妻となったその女は気が向いた時にふらっと現れるだけだったからな。
ただ俺をイラつかせる問題も発覚。それは、知らなかったが、結婚すると子作りの義務が発生するというもの。その行為をしなければ男性手当は全額カットされると母が言うのだ。
早く言え、それなら結婚はまだしなかったとクソババ(母)に罵声を浴びせてやれば、ごめんなさい、私も知らなかったと泣いて謝ってくる。
しかも、マンガやアニメ、ゲーム好きの俺だが、男性手当が止まればウチには余裕がないからマンガやゲームを買うことができなくなると、謝りつつも俺の嫌なところをついてくるクソババ(母)。さっきまで泣き顔だったはずなのにケロッとしていてムカつく。
幸い、妻になった女は仕事が忙しいらしく週に一、二回、行為をするために飲まないといけない妊活剤が嫌になるが、10分くらいで済むので、なれれば、そこまで苦ではなかった。
しかし、それは妻が母の勤め先の若社長で母はそんな妻からお金を受け取っていると知るまでの話だ。なぜお金を母に?
これは一回ではない。母は妻となったその女がウチに来る度にお金を受け取っていたのだ。
基本的に面倒事にはノータッチの俺。
なになにのために何度か顔を合わせているうちに妻となった女の紹介ですぐに2人目の話がきた。歳は38歳、妻の姉だという。肌を合わせる度に何度もお願いされれば断る方が面倒になりオッケーした。
1人目の妻と、姿や性格が似ていて同じく仕事人間の女。俺にそこまで干渉してこなかったのもいい。
その女も週に一、二回相手するだけでよかったから結果的にはよかったのだろう。男は最低10人は妻を持たないといけないのだからな。
たまに一緒になり続けて飲む婚活剤にやられて寝込む日もあったが、妻たちは俺の好きなゲームやマンガを持ってくるから許してやった。
それに妻が2人いようが彼女たちは別宅に住む。夜以外、俺の日常にそれほど変化はなかったからな。
ただ俺が2人と結婚してから母さんは派手になった。いや、元々派手だったが、より顕著になったのだ。そして、ほとんど家にいない。俺のことはすべて保護官任せに。
そんな母さんの行動が気に食わず、保護官に跡をつけさせてみれば、男(夫)のところに行き、お金を渡していると知る。
もちろんそのお金は俺の妻たちから受け取ったものだと知っていたので、腹が立った俺はすぐにクソババ(母)を追い出した。
その男の所に転がり込めばいいさ。
クソババを追い出した後、姉さんも一緒に住んでいたが、自分はいつ追い出されるのかと俺と顔を合わせる度にビクビクしていて面白かった。
元々母さんの気を引こうと男装していた姉だけど、その母さんはいなくなったんだよね。どうするのかと思って黙って見てれば、最近の姉はスケートボードにハマっているようだった。
スケートボードをしている暇があるなら早く出ていけばいいのに……なんて思っていたら姉が何かを見ている。
そっと覗き込めば武装女子だとわかった。面白半分でその動画を見て後で姉をけなしてやろうと思ったけど、俺がハマった。
剛田武人、何こいつ、カッコいい……くね?
生まれた時から、男は家で好きなことをして過ごしていればいいと追い出したクソババ(母)から教えられていたが、なぜか剛田武人は女に混ざって歌を歌っていたのだ。
テレビは好きじゃないから見ていなかったが、その時の様子が動画に上がっているところを見るとテレビ出演もしていたらしい。
何度も繰り返し見ていれば自然と歌詞を覚え、気づけば歌を真似たり、服装や髪型を真似たりしていた。
一つ気に食わないのが女に優しく接しているところだ。なぜ女に優しくする。
そう思っていたが、彼と共演する女はとてもいい顔をしていた。
どこか含みのあるクソババ(母)の顔とは違う。いつも俺にビクビクしている姉さんの顔とも違う。無表情で俺をサポートしてくれる保護官の顔とも違う。とてもいい顔(笑顔)をしていた。
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