第109話
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「じゃあ次は僕だね。僕は山野ゆず(やまの ゆず)です。歳は27歳で気になった場所があれば一人キャンプしてその動画を上げてます。えっとじゃあスリーサイズですけど……」
そこで止めないの? というような顔はやめてくださいね。でも、これでよく分かった。彼女たちはノリがいいだけで、相手をしなければ勝手に自制してくれるのだと。
俺はうんうんと頷きショートカットでボーイッシュな感じの彼女に笑みを向ける。
「……もう、キミはしょうがない子だね。上から90、66、91だよ。よ、よろしく」
ぶっ! 前言撤回。顔赤いけど恥ずかしいなら言わないでよ。でもよく分かった。彼女たちに任せてはダメだと。次はちゃんと止める。
「わたしは夢見 瑠花だよ。歳は17でタケトくんの1つ上だね。先輩になるけど気にせず、ルカちゃんって呼んでね。
それで、わたしはアイドルのモノマネ動画をしてるんだよね。あとは……スリーサイズでいいんだよね?」
「えっと、ル、ルカちゃん? スリーサイズなどの話したくない事は別に言わなくて大丈夫ですから」
「えーそれはなんかやだ〜。わたしには興味ないって感じがするもん」
「そんなことないから大丈夫、大丈夫。俺は気にしてないですからね」
本当に? と、ちょっと疑いの眼差しを向けてくるルカちゃんから逃げるように俺は次の人に顔を向ける。
「……私は本田 喜子と申します。歳は内緒です。会社員をしながら色々な本を読んでおすすめの本を動画に上げて紹介しています」
メガネをかけてて長い髪を後ろで一つに纏めている。服装もキチッとしていて真面目そうだね。
まともそうな人がいてちょっと安心した。
「わ、私は立花 美琴といいます。みーこチャンネルで妄想話をアップしてます。えっと、えっと、歳は22です。えっと、その……あの時はごめんなさい」
最後の立花さんは見たことあると思ったら、泣きながら謝ってきた子(2話と3話に登場)だった。
「あ〜気にしてないから大丈夫ですよ。それよりも、みなさん今日はよろしくお願いいたします」
立花さんはまだ何が言いたけどだったけど、ホント気にしてないので笑顔で返しておく。
時間が来たのでさっそく生配信を始める事になったが、みんなどこの福入袋を買ったのかはまだ内緒だ。
お互い知らないままの方が面白くなりそうだからと、神復路(妹)さんが提案し、みんなが賛成したからだ。
ただ人気レディースファッションショップの福入袋を買った神復路(姉)さんだけはみんなに伝えていたからしょうがないけどね。なんて事を思っていたら神復路(姉)さんが不敵な笑みを浮かべている。
「ふふふ。甘いよタケトくん。こんなこともあろうかと私は別のお店でもう一つ福入袋を購入していたんだぜ」
ちっちっちっと人差し指を左右に揺らしてくる神復路(姉)さん。ほんと明るい人だ。
「撮影入りますよ〜……3、2……」
撮影スタッフさんの合図で生配信が始まると、神復路(姉)さんが前もって告知していたらしく同接者数がどんどん増えていく。
——すごいな……
もう5万人もの人が同接しているぞ。
「え、うそ!」
「うれしい!」
「わー」
「みなさんありがとうございます」
「わ、わ」
「やばい」
それがうれしいのか、みんなも興奮気味だ。そのまま走り出しそうなほどテンションが高い。
暴走して空回りしたら大変だから、ちょっとだけリラクセーションをしますよ。すみません。
少し落ち着いた様子の神復路(姉)さんが福入袋を両手に抱えると、いくよと一度みんなに目を向けて合図をしてくれ、それからカメラに向かって挨拶した。
「みんな〜♪開けまして(開封動画なので)おめでとうございます!」
神復路(姉)さんはコラボ動画は初めてではないそうで、その言葉通り手慣れた様子で今回コラボするメンバーをうまく引き立てながら紹介していく。
「「「「「よろしくね」」」」」
みんなもそれに応えた明るく挨拶をする。
「はい。でも今日は他にも参加してくれた特別なゲストさんがいるんです! え? 知ってる? 早くだせ? え、なんで知ってるの、はいはい。すぐに登場してもらうからみんなそんなに怒らないで」
合図があったので、そこで俺がバーンと背景の一部として設置してあった大きなプレゼントボックスから蓋を開けて飛び出す。
「よっ!」
普通に登場しても面白くないで、念動をうまく使い、ちょっと高めにジャンプして宙で1回転してから綺麗に着地した。
あはは、みんなも驚いて目を丸くしていたよ。
ちなみにこの巨大なプレゼントボックスは神復路(姉)さんの力作(今後も使い回し予定らしい)だ。
個性は強いけど動画に取り組む姿勢はとても真剣な人でした。
「みなさん、開けましておめでとう」
「た、タケトくん。私たちまで驚かさせてどうするのよ。ほらみーこちゃんなんて腰抜かしてるよ」
「あ、ごめんごめん。そこまで驚かれるとは思いませんでした」
俺はみんなに謝りつつ尻もちをついている立花さんに手を差し出す。
——ん?
危なかった。立花さんがスカートじゃなくてよかったよ。
恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらも俺の手を握り立ち上がる立花さん。
立ち上がった立花さんはぽんぽんと自分のお尻についたホコリを払っていた。ホントごめんなさい。
最後まで読んでいただきありがとうございます。




