No.000 / プロローグ
西暦23世紀を迎え、人類は長年の課題であった脳の研究をあらかた終えようとしていた。
2232年、生きている人間の意識をバーチャル世界で目覚めさせることに成功。
日本では、2280年にスタートアップの「ブルーバード」がコールドスリープの技術を確立。
その4年後の2284年には、コールドスリープの実用が開始された。
続いて2321年、コールドスリープ中の人間をバーチャル世界で目覚めさせることに成功。
必然的に生きている人間との世代格差が問題となるが、スリープ中に「世代間教育」を施すことで問題をクリアした。
「世代間教育」は、スリープしてから目覚めるまでの時代の変化をリアルな夢で体験させるというもの。
それを受けて2330年、アメリカで、世界で初めてバーチャル世界内で目覚めたスリーパーと、その子孫が対面を果たす。
2343年、バーチャル世界で目覚めたスリーパーが、バーチャル空間内で反乱を起こす。これは俗に「岩井の乱」と呼ばれる。
岩井の乱を機に「世代間教育」は、スリーパーの性格が現代に適した程度に丸くなるまで、人生をはじめから終わりまで繰り返し体験させるという試みに改変される。
結果、早いスリーパーで一回、多いスリーパーで4,5回の人生経験で性格が十分に丸くなることが証明される。
バーチャル世界で目覚めたスリーパーたちを社会復帰させるべく、様々な試みが講じられるが、その一環として、2355年にバーチャル娯楽施設「幽世ランド」がオープン。
幽世ランドは、コールドスリープから目覚めたスリーパーたちが、ランドに訪れる現代人たちを様々な催しで楽しませる施設である。
幽世ランドの成功を受けて、2370年に幽世ランド付属幽世学園、開校。
ここではコールドスリープから目覚めたスリーパーたちが、2年間かけて寮生活の上、幽世ランドでのいろはを学ぶ。
物語は、まさにこの幽世学園2380年度「クラス萌黄」のメンバーの一人、ジガ・メバエの目覚めからはじまる――。




