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アーク・ロスト・ワールド  作者: 江本平
第一章 繋ぎ紡ぐは継承の証
38/89

自衛してくれると聞いたので

済(2022.10.04)


◇ ツナギ


『なあ、俺は?』


「残念だったな。お前は驚く程に適正がない」


『なんでだよぉーー!!』


 突きつけられた事実に、リュウゴが情けない声を上げる。俺が炎を半分継承したとしても、それをリュウゴが扱うことはできない。どうやらそれが気に入らないらしい。


「馬鹿なことは考えるなよ。適正のない者が扱おうとすれば、炎に焼かれる。無論、継承の儀に失敗しても同様だ」


「え?俺大丈夫だよね?」


 初めて聞いた。もしかして、失敗したら俺死ぬの?ならば、内容によっては辞退したいのだが……


「ツナギはそもそも心配要らん」


 何でも、俺ならそう難しいものではないのだと。だからこそ、グレンは俺に炎の半分を継承してほしいらしい。


「ねえ、あなたたちってもう何年も知り合いなのよね?どうして今さらそんな話が出てきたの?」


 ソフィアがこちらに質問を投げ掛ける。確かに、グレンからそんな話は今まで一度も聞いたことがなかった。


「そうだな……端的に言うならば、これは我の私情だ」


「どういうことだ?」


「今の我は以前の我とは違う、という話はしたな?」


「ああ」


 グレンは精霊だ。精霊という存在には、消滅という概念がない。厳密には、長い時間をかけて再誕する。しかし、その際に知識は引き継がれても記憶は引き継がれない。


「だから、なぜ我は半分のみの炎をこの身に宿しているのか知らん」


 いつだったか聞いた話によると、グレンの使命はもう半分の炎の守護。そのために生きていると聞いた。


「しかし、もともと訳も分からず惰性でやってきたことだ。それを今後どうするかは我が決めることだろう?」


 グレンが不敵に笑う。嘴の端が少しつり上がったのが見えた。


「ならば、我は我の好きな様にやる。どこぞの誰かのために守護し続けるくらいなら、さっさとツナギに継承してもらった方がいい」


『なあ、それって厄介払……』


「何か言ったか?」


『いや、何でも?』


 グレンとリュウゴがまた下らない言い争いをするのかと危惧したが、杞憂に終わったようだ。

 ともかく、力をくれると言っているのだ。貰っておいて損はない。


 そんな俺たちの様子を見ていたルーンが、口を開いた。


「う~ん……やっぱり3人ともすごく似てるよね?」


「『「どこがっ!!」』」


「だって仲良くしてるもん」


「してるわね」


 仲良くはしていない。仮にもしそう見えたのなら着眼点がズレていると言わざるを得ない。言うことが何もないくらい不満がない、という状態に決してならないが故の会話だ。何が言いたいかというと、だいたいリュウゴが悪い。


 そんなこんなで俺たちはすぐ隣の祠――――継承の儀を執り行う場所へと歩いて行った。






「こっちもおっきいね……」


 滝を見た時と同じく、ルーンが感嘆の息を漏らす。壮大な大樹が眼前に広がっているのだ。

 根元に僅かな木漏れ日しか通さない程に葉が生い茂っている。それを付ける枝も、遠くへ、より遠くへと伸びている。


 と言っても、もう何度もここに来ている俺は、そこまで感動を覚えるというわけでもない。じいちゃんたちと住んでいる家が自宅だとすれば、この森は庭。そして今いるここはさしずめ友達の家と言ったところだろうか。


「じゃあ、グレン。さっさと始めようか」


「ああ」


 そう言って俺たちは大樹の根元――――小さな祠へと近づく。

 あと十数歩といったところまで進んだ所で、リュウゴが何かに気付いた。


『おい、どうやら先客がいるみたいだな』


 俺たちの気配に気付いたのか、眼前の大樹の木のうろから顔を覗かせた人物がいた。その頭についている耳は……


「獣人……?」


 隣のソフィアが呟く。

 こちらを見つめてくる瞳と目が合った気がした。頭の上の耳がピョコピョコと動く。


「ジー、誰か来た」


「ホントか?お嬢」


 さらに奥から、おそらくジーと呼ばれた人物も姿を見せる。こちらも編み笠のようなものを被っているのか顔は見えないが、体を覆う毛から推測するに獣人だろう。


 こちらがあちらを見定めていた様に、あちらもまた、こちらを観察していた。手前の女の獣人の瞳孔がどんどん閉ざされ……


「いいね。すごく楽しめそう」


 獲物を狩るような目になった。

・精霊

 別に何かを司っているわけではない。起源に関して説明するとかなりのネタバレになるのですごく端的に言うと、何らかの使命を持って生まれたもの。グレンの場合は炎の守護。

 グレン(と言うよりはグレンの前世)は昔一度死んで、長い時間をかけて回帰した。今のグレンは物語開始時点でおよそ7歳ほど。知識はあるけど記憶はリセット――――人格は死んだけど存在は死んでない状態。そこに新たな人格が芽生えた。

 面倒臭がりになってしまったのはだいたいリュウゴのせい。


 余談だが、精霊は人間の五感とは少し違った方法で外界を認識している。

 これを悪用(別に悪じゃない)した上で【アーク】やらなにやらのシナジーをぶつけてくるのが某無限火薬庫(バグ野郎)さんなのだが……

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