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アーク・ロスト・ワールド  作者: 江本平
第一章 繋ぎ紡ぐは継承の証
14/89

胡散臭い襲撃者とお嬢様の護衛

済(2022.08.15)


◇ ツナギ


 夜も明け人々が活動を開始する頃、俺たちは襲撃を受けた。具体的には、ソフィアが狙われた。人気のない路地裏で待ち伏せでもしていたのだろうか。


「今のを凌がれるとは……自信をなくしてしまいそうです」


 襲撃者は二人。その内、凶刃を放ってきた方が口を開く。貴族の礼服のようなものに身を包んみ左目にモノクルを着けた彼はしかし、動揺した様子はない。


「……誰だ」


 俺は疑問を口にする。ソフィアは最初腕の中で暴れていたのだが、現在はおとなしくなったので離している。自分が狙われ、そして俺たちがいなければ死んでいたという事実に戦慄しているのか。


「これはこれは失礼しました。私の名はローゼン。以後お見知りおきを」


『できればお見知りおきたくないねぇ……』


 妙に芝居がかった口調で自己紹介をする襲撃者改め、ローゼン。それともう一人。後ろにいる男はさっきから微動だにしない。


「名乗っていいのかよ?名前がバレたぞ」


「まあ全員殺せば問題無いですし、私の名はそこそこ広まっていますからねぇ」


 なるほど、油断はできないな。修羅場もくぐって来ているだろう。


『で?』


「で?、とは?」


 ローゼンはあくまでも飄々とした気配を崩さない。余裕があるのが見て分かる。


「……ッ!どうして私を狙ったの?」


 ソフィアがローゼンに問う。狙われた当事者なのだ。当然の疑問であろう。ソフィアの表情は固くなり、恐怖が見てとれる。


「フム。強いて言うなら【アーク】を持っているからでしょうかね。過去にこの国を救ったベラ・サクホードと同じ、ね」


 初代<聖託>ベラ・サクホードは、かつて何人たりとも侵し得ない結界を以って民を守ったという。迫りくる悪夢に立ち向かい、炎上する『王都』の中で戦い続けたとか……


「うちのボスからの命令ですよ。今後邪魔になるかもしれないとかなんとか……」


 もしかしたら、という仮定で殺されるのはあんまりだろう。ソフィアの表情は未だ固く、さらには冷や汗もかいている。


「まあ、賭けに負けたからなんですけどね!正直私はどちらでもいい!」


 そう言って、ローゼンが距離を詰める。先ほどの襲撃に使われた長剣を右手、そして懐から取り出した短剣を左手に持っている。


「大丈夫だよ。俺が守る」


『ヒュゥ』


「いえ、結構よ。自分の身を守るだけなら自分でできるわ」


『ヘっ。フラれてやんの』


 自分の身は自分で守るとし、ソフィアが【アーク】を使用する。


「【聖域】」


 俺たちとローゼンたちの間に半透明な壁が出現した。たしか入れたくないものを弾くとか言っていた気がする。だが―――――


「これが……いやしかし、成長しきる前で本当によかった」


 ローゼンが短剣を半透明な壁に突き刺し、切り裂く。するとそこに穴が開く。よく見ると短剣が触れたところから分解されているようにも見える。


「うそ……」


「まあ、練度不足だな。もっとこうギュッとしないと。もうちょっと気持ちを込めるというかなんというか……」


「……?」


『説明が分かりづらいだろぉ?つーかお手本のような即落ち二コマ!今のは芸術点高いぜ!』


 ソフィアの【アーク】を越えてやって来たローゼンが、まずは前に出ていた俺に襲い掛かる。長剣は受け止めるも、短剣は避けてやり過ごす。


「グレン!エルムを呼んできてくれ。アイツならすぐに来れる」


「一人で守れるか?」


「任せろ」


『おいこら何勝手に決めてんだ!俺は反対……いや待てよ……そうだな……よし、やっぱ呼んで来い。出来るだけ早くな。焼き鳥!』


「我をそう呼ぶな!」


 そう言ってグレンは大聖堂へと飛んで行った。


 あまり緊張感が感じられない。……ああしまった。リュウゴに緊張感なんて言う概念は通用しないんだったな。だってバカだから。


「ソフィア、俺の後ろに。でも一応自衛はしてくれ」


 俺は襲撃者二人を相手取りながらソフィアを守ることを決意する。と言っても、すぐにエルムがやって来るだろうが。


「仕事が一日早まっちまったな……寝てねえのに!」


「フフフ、素晴らしい。良ければお名前を聞いても?」


「……ツムグだ」


「偽名でしょう?」


 本当の名前を教える気はない。いつだったか名乗った偽名を使わせてもらったが、すぐにバレてしまったようだ。


「師がよかったものでして……嘘をつく時、あなたはよく顔に出る」


 横なぎに振るわれた長剣をいなしながら足を掛けようとするも、一歩下がってやり過ごされる。随分と軽い剣だ。


「へえ、その師匠に説教でもしたい気分だ、よ!」


 一歩踏み込んで剣を振るう。が、完全に距離を開けられた。どうやら仕切り直しのようだ。


「ふう、これは骨が折れそうですね。……ではゴリさん、仕事をしましょうか」


「……」


 ローゼンがそう言ったのは、さっきから動く気配のなかった、奴のもう一人の仲間に対してだ。ゴリと呼ばれたその男は巨大な体躯を持ち、身軽ではなさそうだがパワーは申し分ないだろう。


『よかろう。かかってこい糸目。このミスタージョン・ドゥがお相手しよう』


 ちょっと黙っててくれないかなぁ……

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