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第19話:職業、変更?

「ったく。勇者のくせにホントに役に立たねぇな、お前は」

やって来たジョセフにそう言うと、


「し、仕方ないじゃないか!僕はキンジのように攻撃スキルを持っているわけではないし、武器だって取り上げられてるんだ!」

ジョセフはそう言って、俺の足元に転がった黒焦げの死体へと目を向けた。


「それよりもキンジ。彼らは、本当に殺す必要があったのか?

それに君のスキル。君は【攻撃力増加】だと言っていたが、今の雷はどういうことなんだ?」


いや、一応言っておくが、俺は自分のスキルが【攻撃力増加】だなんて言っていないぞ。

ジョセフが勝手にそう思い込んだのを、俺が否定しなかっただけだ。


「まぁ、それはいいとしてだな」

「よくないっ!!」


それよりも。

やはり最初の男も死んだか。


俺はこの短時間で、2人も殺したんだな。

一応その可能性だってあるとは覚悟していたが、思っていたよりも罪悪感はないな。


まぁ、元々他人の生死に興味が無かったからな。

しかも相手は、俺を殺そうとしていたし。


いや、殺そうとまではしていなかったか?

まぁどうでもいい。


そんなことよりも問題は、この殺しがこの世界で罪になるか、だな。

相手はここに捕まっている奴らを誘拐していた訳だし、善か悪かでいったら、完全に悪だろ。


こんな奴らのせいで、犯罪者になるのはゴメンだ。


とりあえずそれは後で確認するとして。


「おい、あんたら!早く助けてくれっ!」


捕まっていた奴らが、騒ぎ始めたようだ。

ちっ。捕まえていた男たちが死んだ途端かよ。


「助けて欲しければ、金を寄越すんだな」

俺は騒ぐ馬鹿どもに、言い放った。


「ふ、ふざけるなっ!!聞いていたぞ!?お前、奴隷職なんだろう!?奴隷のくせに金をせびるなんて、何を考えてるんだ!!」


ちっ。ここでもそのパターンかよ。


俺がうんざりしてため息をついていると、他の奴らも同調して騒ぎ始めた。


こいつら、さっきまでいるのかいないのか分からないくらい静かだったくせに、人を貶めるときだけはいっちょ前に騒ぎやがって。


あの魔族の女を見てみろ。

騒ぎもせず、俺をじっと見ているじゃないか。


え、俺のこと見てるの?

え、もしかして惚れちゃった?

え、今日は無料(ただ)で、女抱けちゃう感じ?


「いい加減にしないかっ!!」

その時、ジョセフが叫んだ。


おぉ、どうしたジョセフ。


「キンジは、命を賭けて君達を救ったんだぞ!?それなのに君達は、職業だけでキンジを差別するのかい!?」


おぉー。勇者様、良い事言うじゃねーか。

こいつ、普段は馬鹿だけど良いやつではあるんだよな。


クソ、少し感動しちまったじゃねーか。


俺は自分の気持ちを誤魔化すために、ジョセフの肩に手を置いた。


「こんな奴らのことなんか気にするな。こいつらがこう言うなら、俺は手を貸さない。お前だけで助けてやれ。もしかしたら、こいつらを助けることでお前のレベルも上がるかもしれねーしな」

そう言った俺は、ジョセフに背を向けた。


「さっきのあれ。ありがとうな、()()()()


「さっきの?えっ、あっ、キンジ今、僕の事をジョーイって・・・・やっと僕を、友達だと認めてくれたんだね!?」

ジョーイが目を輝かせてそう言っていると、俺の脳内に無感情な声が響いてきた。


『勇者の友となったことで、職業が【勇者の奴隷】から【勇者の従者】へと変更されます』


なに?職業の変更だと?

奴隷から解放されるのか?

っていうか、友になったんならなんで従者なんだよ!

っていうか別に友じゃねーしっ!!


『しかし、変更できませんでした』


はい?

え?嘘ウソうそ!!

友達!ジョーイは友達だからっ!!


『職業の変更は、一度のみ認められるもののため、変更できませんでした』


いやそこかよっ!!

全力で友達とか認めて恥ずいわっ!!


俺が1人で脳内に響く声にツッコんでいるとジョーイが、


「キ、キンジ・・・今の・・・キンジは、僕の、トモダチ??」


どうやらこいつにも、さっきの声が聞こえていたらしたらしい。

ってかなんで最後カタコトなんだよ!

あ、こいつそういえば、友達いないんだったな。


「そ、そんなこといいから、さっさとあいつらを解放してやれよっ!」

俺はジョーイにそう言うと、魔族の女の元へとやって来た。


そのまま女の手を縛る縄を解いていると、


「私の事は、助けてくれるのですか?」

女はそう言いながら、俺を不思議そうに見つめていた。


「あんただけは、俺の職業聞いても馬鹿にしてなかったからな。それに、美人は別腹だ」

特に、本日抱けそうな女は、な。


「ふふふっ、面白い人ね」

女はそう言って、笑っていた。


はい!本日のメインディッシュ、いただきましたっ!!

めちゃくちゃ綺麗なその笑顔に、俺のテンションはかつて無いほどにバク上がりしていた。


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