表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天に刃向かう月  作者: 宮湖
10/44

幕間 ―亡失―

完結済みではありますが、読み易いように改行等手直しをしております。


宜しければご覧下さい。


 幕間 ――亡失――



 自分達は、異質だった。


 だからだろうか。

 両親は直ぐ、自分達を棄てた。否、直ぐと言うのは語弊が有るだろうか。そう思うのは、まだ何処かで、親の愛情とやらが普遍なのだと期待しているからだろうか。

 兎に角、親は、長子の時は、耐えた。だが生まれた二人目も()()なのだと判って、それで挫けた。


 生まれ育ったのは暗い――寒村。

 森を僅かに切り開いただけの痩せた畑と、何かの作意の様に、生きるに限限(ぎりぎり)しか与えられぬ森からの恩恵(ほどこし)で、辛うじて生命を繫ぐ様な村だった。


 そんな繁栄から見放された地でも、親から忌まれた孤児(じぶん)達が生きていられたのは、皮肉にも天稟の異質性故だった。

 異質故に腫れ物に触る様に扱われ、或いは畏怖され疎まれ忌避された。

 だが、異質だからこそ、完全に打ち棄てられずに生き延びた。


 けれどやがて限界(おわり)が来る――来たのだ。


 終わって初めて、全てに於いて凍り付いていたあの世界が、それでも護られていたのだと気付いた。

 失って漸く、温かさを悟った。


 裏切りに相応しい代償を、払わせただけだったのに。

 自分達の犠牲の上に在る日常(せかい)を、自覚させただけだったのに。

 天涯孤独となった悲しみと怒りを、その原因となった世界に、表しただけだったのに。

 だから自分にはもう、捜すしか残されていなかった。

 きっと生きている。


 ()()()()()()


 そう信じるしか、生きる糧が、自分にはもう、残されていなかったのだ。





お読みいただき有り難うございます。

ご感想等ありましたら是非お願いします。励みになります。★★★★★の評価も頂けるとなお一層有難いです。


全く別の世界観ですが、お時間がございましたら、


星を掴む花

竜の花 鳳の翼


も、ご覧下さると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ