幕間 ―亡失―
完結済みではありますが、読み易いように改行等手直しをしております。
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幕間 ――亡失――
自分達は、異質だった。
だからだろうか。
両親は直ぐ、自分達を棄てた。否、直ぐと言うのは語弊が有るだろうか。そう思うのは、まだ何処かで、親の愛情とやらが普遍なのだと期待しているからだろうか。
兎に角、親は、長子の時は、耐えた。だが生まれた二人目もそうなのだと判って、それで挫けた。
生まれ育ったのは暗い――寒村。
森を僅かに切り開いただけの痩せた畑と、何かの作意の様に、生きるに限限しか与えられぬ森からの恩恵で、辛うじて生命を繫ぐ様な村だった。
そんな繁栄から見放された地でも、親から忌まれた孤児達が生きていられたのは、皮肉にも天稟の異質性故だった。
異質故に腫れ物に触る様に扱われ、或いは畏怖され疎まれ忌避された。
だが、異質だからこそ、完全に打ち棄てられずに生き延びた。
けれどやがて限界が来る――来たのだ。
終わって初めて、全てに於いて凍り付いていたあの世界が、それでも護られていたのだと気付いた。
失って漸く、温かさを悟った。
裏切りに相応しい代償を、払わせただけだったのに。
自分達の犠牲の上に在る日常を、自覚させただけだったのに。
天涯孤独となった悲しみと怒りを、その原因となった世界に、表しただけだったのに。
だから自分にはもう、捜すしか残されていなかった。
きっと生きている。
存在している。
そう信じるしか、生きる糧が、自分にはもう、残されていなかったのだ。
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全く別の世界観ですが、お時間がございましたら、
星を掴む花
竜の花 鳳の翼
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