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決死

眼前の物は熊ではない何かだ。

その姿は生物的な要素などなく、

身体を覆う鈍い銀色の装甲と黄色に光る目は兵器を思わせた。


現代では目にかかれないファンタジー兵器に目を奪われてしまった後に

自身が非常な危機に陥っている事に気がついた。

背後は川、右手は崖、左手は急勾配の山肌、前方数歩で届く距離に明らかな敵性存在。


退がれないし勝てないし逃げられない。


熊への対処と同じように後ろへ下がるべきなのか…

そうだ、それしかない。


私は光る目を見ながらゆっくりと退がる。

ゆっくり…ゆっくり…


冷汗が流れた気がした


機械熊もまた距離をゆっくりと詰めてきている。


私は足を川に掬われないように足を擦るように動く早くとも静かに慎重に。


目的は何なのか対話は可能なのか操縦者はいるのか…


川の流れる音がやけに煩く感じる。

一歩、一歩と後ろへ…


緊張で十数秒が数十分にも感じる…


ようやく川の半ばに差し掛かる頃で、

もしかしたら無事に済むかもしれないなどと思った時、

機械熊の目が文字通り変わる。


黄色から赤へ

機械熊から聞きなれない異様な低いエンジン音が大きくなり排気孔から白い煙が噴き出した。


逃げなければ逃げなければならない!

反転して走り出す


一歩目の左脚を踏み出して二歩目を上げたところで攻撃をもらった、

硬質な何かが切断される音ともに身体が凄まじい力で吹き飛ばされ川底に叩きつけられた。


必死の思いで上半身を起こすと

私にトドメを刺すためだろう

機械熊の口に当たる所から、鋭利なパイプが伸びようとしていた。


せっかく生まれ変わったというのに、

こんなに早く此処で終わるわけにはいけない。

だが勝てる方策など全く分からない、

いや逃げる方法なら一つだけ最初から…一つだけあった。


幸いにも吹き飛ばされた場所は最適で、まるで神様の思惑通りというか台本通りのようだ。


ならば演じなければ、こなしてみせよう。

私が後ろへ走ろうとした時

機械熊の足元が爆発し巨体に見合わぬ速さで突っ込んできた。


私は咄嗟に腕を上げて守る


パイプは腕を貫通し喉まで貫通した

両腕が衝撃でひしゃげて私はまたも空を舞う。


視界が明滅しもはや動けない。


だがこれで良い。


私は落下しながらそう思った。









……………………………応答なし



自動運転システム…機能

緊急浮上システム…起動

身体機能確認…

右脚……………………欠損

左腕……………………重傷

右腕……………………重傷

腹部……………………一部破損

頸部……………………重症

診断…自立運転不可能

SOS信号発信…

SOS信号発信…

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