8 戦勝祈願の神殿
火山地帯サトゥマ東部にあるワグナウの神殿は勇者アッシュのパーティーが3魔王討伐の戦勝祈願を行ったことで知られる。
この神殿の下はちょうど暗渠から川に変わる始まりの地点であり、この川をボッケ川という。
とらぬ狸の川流れという、ニージュラ島のことわざの語源となった場所だ。
500年前の話だ。
島に降臨し休暇を楽しんでいた、神が居た。今を見る神、ワグナウだ。
ワグナウが狩りに出かけた際、立派な狸を見つけた。
あの毛皮があれば立派な冬帽子を作れるに違いない。
ワグナウは狸を捕らえようとしたが、その途中で思いとどまり、唐突に追うのをやめてしまった。
別に腹が減っているわけではない。神殿では先日捉えたジャイアントショタの羽毛をなめしている最中だ。
だが、ワグナウに追いかけられた狸は驚いて足を滑らせてボッケ川に落ち、そのまま流されてしまった。
立派な毛皮も、狸の肉も、川に食べられてしまった。
不憫に思ったワグナウは狸を天界に召し上げ、そこで改めて屠殺して皮を剥ぎ、狸を帽子にしたという。
それ結局帽子にしちゃうの? なくないそれ? と他の時をつかさどる神はドン引きしたという。
とらぬ狸の川流れということわざは、
ものごとをやるときは、徹底しろ、迷うな。といった意味で用いられる。
今日もワグナウの神殿には、戦勝を願う若い勇者アッシュたちや、商売繁盛を願う商人たち、一攫千金を狙うトレジャーハンターや、遺跡掘りが長い列を作っている。
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