5 管理人さん。
ニージュラ島には管理人さんがいる。
業務は多岐にわたるが、旅行者や移住者の島への出入りを管理するのが人々にとってもっとも知られた仕事であろう。
誰もがみな、入島窓口で管理人さんには会っているはずなのだが、その声や姿をはっきりと思いだせる人間は少ない。
管理人さんの権限は強大で、魔王の降臨の際には緊急時には勇者の選定と召喚を行うこともある。
また、島で悪さをした人間に、しばらく消えない刻印をつけ、島外への追放権限を持つ。
彼/彼女が、大陸から派遣された代官や、単なる島の管理者ではなく、世界を管理する能力と役目を持った超高次元的なものであることは半ば公然の秘密であり、島に長く暮らすもの達にとってはよく知られた話だ。
管理人さんが管理するのは世界。
それも、ニージュラ島のある世界ばかりではなく、つながったあらゆる世界を管理している。
「太陽の神クー・リーン・サン……どうしてこんな辺境の世界に!?」
この不用意に漏らした一言で、200年前、島に現れた4魔王のうち、漂泊者スクミズ・ウォーターは次元の流刑地へと飛ばされることとなった。
ナローアックスもまた管理人さんの変化したものであるという説があるが定かではない。
管理人さんの正体を突き止めようとしたものは、例え勇者アッシュであろうとも、次元の流刑地、ナーの狭間へとばされてしまうからだ。
先日200年ぶりに帰還した4人目の3魔王、漂泊者スクミズ・ウォーターは、鮮血の巨人ブラッド・ギガスの住む島の中央火山へ身を寄せているという。