第3話「バスに乗って死役所へ」
白い扉に入った俺は白い霧の空間にいた。徐々に霧は晴れ気が付けばどこかの道の上に立っていた。
赤沼「ここが次の世界なのか?異世界よくある魔法とかモンスターとかいんのかな?」
少し期待を胸にあたりを見渡す。
「特になにも変わってないけど・・・・あ、人がいる」
道の少し先にバス停の看板があり5、6人並んでるのが見え近づいてとりあえずバス停に並んでみた。
並んでいる前の人に話しかける
赤沼「あのここにバスが来るんですか」
内田「そうみたいですけど、私も来たばっかでよくわからないんですよ。でもほかの人も並んでいるからそのうち来るんじゃないんですかね」
赤沼「そうですか、あなたもその、死んだ人ですか」
内田「はい、先ほどまで病院で入院してたのですが、気づいたらここにいました。自分が癌でした」
「私、内田といいます。あなたは?」
赤沼「自分は赤沼といいます」
内田「赤沼さんはまだお若いですが、あのどうして亡くなったんですか」
赤沼「バイクで事故起しちゃって」
内田「そうですか、まだお若いのに」
2人が話しているといつの間にか赤沼の後ろにも何人の列ができており、そのあとよく見るバスが停車した。バスに乗り込みバスが発進し中で内田さんに事故のことを話した。
内田「そうですか。その女性が赤沼さんを」
赤沼「そうなんです。あの時の笑顔は怖かったけど、彼女もまだ若いのに死んで「黒と白」で黒を選んだことを思うと相当未練や恨みがあったんだろうなって今になれば何だかかわいそうにも思います。」
「だから特に彼女に怒りとかはあまり感じないですね。」
内田「そうですか、彼女が知れば、とてもあなたを殺めたことを後悔するでしょうね。」
「・・・・・」
赤沼「・・・・・」
2人はその後あまり話すことなくバスは終点駅に到着した。
アナウンス「終点、死役所前です」
バスが止まり下車すると、現世の市役所みたいな建物に大きく「死役所」と書かれていた。
入り口の前には「住民申請受付」の文字があり中へ入ると広いが普通の役所だった。
受付番号の紙を受け取り赤沼は「A受付」内田は「F受付」となった。
内田「じゃ~私はこっちだからここでお別れだね」
赤沼「はい、内田さんもお元気で」
内田「何言ってるんだい、私たちはもう死んでいるじゃないか」
赤沼「そうですね。すいません」
内田「ま~まだ1回死んでも続きがあるみたいだしここは第2の人生楽しもうじゃないですか」
そう笑って2人は別れた。
第3話「バスに乗って死役所へ」 終わり