第2話 「暗い部屋の白石さん」
彼女の不気味な笑みを見た後、突然目の前が真っ暗になった。気が付くと暗い空間にいた。
「ここどこ?なんも見えない。俺死んだよな。」
自分に何が起こったかも分かるし、ちゃんと意識もある。
「え、もしかして俺いきてる?助かった?」自分は助かったのかと思い少しほっとした。
周りを見渡すが、明かりはなく目が慣れるにつれそこが何かの広い部屋だというのに気が付いた。
「病院かな?それにしては暗すぎん。」
すると部屋の前方に明かりが付き誰かがいるのが分かりその明かりのほうに恐る恐る近づいていった。
近づくとそこには1人の男と左右に白と黒の扉が並んでいた。もう少し近づく。
男は姿は神父の恰好で、日本人ぽい顔、やせ形で少し気難しいそうな人だった。
神父「あ~君、もう少し前に来なさい」
男は静かな声で話してきた。さらに近づき神父の前に立った。
赤沼「すいません。ここは、どこですか。」
白石 「ここは死んだ者が最初につく場所であり私はここの管理をしている 白石という者です。さて君の名前は?」
赤沼「・・・赤沼関也です。」
白石「では、赤沼君、君は先ほど事故で命を落とした。お悔やみ申し上げます。」
「君は今からどちらか1つを選択しなければならない」と淡々に話す。
赤沼「やっぱり俺死んじゃったんですね。で、何を選ぶんですか」
白石「黒か白の扉を選んでください。1つは恨みや未練があるなら「黒の扉」へ行き霊魂となって現世をさまよう。」
「2つは死を受け入れ「白の扉」へ行き、次の世界の住人になるか。」
「さあ選びなさい。」
俺は今までの人生を振り返り悩んだが、答えはすんなり出た。
赤沼「俺は「白」のほうにいきます。」
白石「本当にそれでいいのか。」
赤沼「はい、今までパッとしない人生で働いて食って寝るだけで彼女もいないし、この年で死んだのは少しあれだけど特に未練もないから次の世界にいくのもなんかいいかなって」
白石「そうですか、わかりました。それではこちらの「白い扉」から次の世界に行ってください。」
俺は白の扉の前に立ち、扉をゆっくり開けた。
開けると中は白い霧の空間になっており、少し行くのに躊躇したが1歩、また1歩と中に進んだ。中に入り扉が閉まる音がして振り向くと扉の間から白石さんがこっちを見ていた。
俺は少しお辞儀をして白石の顔を見た。扉が完全に閉まる直後、白石が一言言った。
白石「この先の人生、気を付けてください。」
「ぎぃ~、バタン。」
扉が静かに閉じて消えた。
第2話 「暗い部屋の白石さん」 終わり